ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

不備は邪魔。

さて、私が客室清掃の現場責任者になって二年あまり、最も重点的に取り組んできたのは、不備を可能な限り減らすこと、それに尽きるわけである。

 

何せ、前任者までの時代は延々と不備に悩まされ続けてきたし、その頃私は応援で入ってたわけだが、何度も当時の責任者が「不備は出すな!」と鬼の形相でスタッフに厳しく怒鳴っていたのは脳裏にこびりついている。私は本社正社員なので、前任者や担当者から何度も不備の相談を受けていたし、会社の方も不備の話ばかりしていて、漠然と「ホテルは客室一つが1現場みたいなもんだから、そりゃン100室クラスのホテルじゃ不備の一個や二個出てもしゃーない」みたいに思ってたもんである。

 

人間なんだからミスはする。

 

それはその通り真理だ。間違えたり、見逃したり、忘れたり、気付かなかったり、と人である以上、どんな人間だってミスはする。その上、とんでもねー客もいるし、フロントからは矢の催促で「早く仕上げてください!」と急かされるし、人手不足だからいっぱい部屋数こなさないといけないし、肉体労働でヒーヒーだし、ってな感じでミスを誘発する要因はあまりに多い。そんな客室清掃で「不備出すな!」とかあり得ない・・・と私だって思う。

 

とは言え、仕事である以上はミスはダメだ。基本的にミスしていい仕事などない。そりゃミスの軽重はあるが、何れにしても原則的にはダメなものはダメだ。だから、フロントに不備については謝罪しなければならないし、対策なども考えないといけないし、仕事としてはきちんと対応していかなきゃならない。・・・というわけで、半ば諦めつつも責任者を引き受けた当初は前任者とあまり変わらない対応をしていたのだけど、すぐにいわゆる「不備」案件というのは客室清掃にとっては邪魔なものであるということに気づき始めた。

 

というのは、不備というのは何か?というと、種類は色々あるけども、大雑把にいうと、「不備は、それ一つで全部が台無しになり得る」ものだからだ。具体例を挙げると、どんなに頑張って綺麗な部屋にしたと思っても冷蔵庫を見落として前泊者の食べ残しがあったら返金にまで発展してしまう、あるいはそれさえなかったら星五つなのに星一つになってしまう、言わば一撃で死に至らしめる爆弾のようなものなのである。

 

それに対して、清掃品質というのはやや異なる位相にあると考えるといい。ちょっとはてなブログの編集機能を使って分かりやすく絵にしてみよう・・・

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・・・分かりにくいかw

 

例えば、清掃に問題なくても、部屋のドアを閉め忘れたらダメ、っていうのは不備ではあるが品質には入ってこないわけだ。もちろんそれを含めて清掃品質の一部という捉え方もあるが、ここではそういう考え方はしないとして、とにかく不備というのは一撃で努力を台無しにしかねないもの、と考えるのである(絵は関係ないなw)。

 

で、そういう捉え方をすると、ある程度は目を瞑っていい部分と、そうでない部分に分けることが可能になってくる。前者は例えば埃。目立つ部分の埃は取るべきだが、そんなに目立たない部分、というかほぼ100パーセントに近い確率で不備としては上がってこないような部分の埃ならそんなの清掃しなくていい、と考える事が出来るのである。で目を瞑ってはいけない部分、つまり目立つ部分の埃は重点的に清掃すべき、と分けて考えるというわけだ。

 

そこで、過去不備として上がってきた報告内容を、事細かに分類することにした。すると、そこには明らかに不備が多い項目とそうでない項目、あるいは普段気になってしょうがない部分でも全く不備に上がってこないような項目などにきっちり分類される事が判明した。あるいはまた不備が生じたときにひどくお叱りを受けたようなものや、返金にまで至ったようなものなど、重要度でカテゴリー化出来ることもわかったのである。

 

そのように不備をカテゴリー化した上で、分類された不備の項目ごとにその要因を可能な限り「見落としでした」のように曖昧なものではなく、なぜ見落としたのか?という具体的な要因を推定した。例えば見落としたのは時間に追われていたから、などである。すると対応策が出てくる。時間に追われていたのであるならば、時間的余裕を作ってやればいい、ではどうすれば時間的余裕が作れるか→作業の効率化を図る、などが具体的対応策になってくる。

 

そんな感じで、一つ一つの不備をとことん調べ上げて、事細かに具体的に対応策を色んな角度から捻り出し、場合によっては複数の不備項目が同じ要因から生じたもの(一番多いのが時間的な理由だったりするから)だったりするので、まとめて不備を減らす対応に繋がったものもあった。なお注意しないといけないのは、対応策自体を新たな不備要因にしないことである。要するに必要以上に仕事増やして余裕をなくすということは極力避けるってことだ。

 

かなり時間がかかったが、前任者の時代からおそらく不備総数は半減以上、多分十分の1くらいにまで減ったと思う。で、対応策といっても実はあまり大したことはしてなかったりする。本当に些細な工夫をしただけなのがほとんどだ。ナンバリングしてなかった備品にナンバリングしただけだとか、清掃資機材をちょっと増やしたり整備したりだとか、連絡を取りやすくしたりだとか、備品庫を整理整頓したりだとか、本当に些細な工夫ばっかりで、多分スタッフメンバーもあまり気がついていないだろう。実はそんな些細な工夫をひねり出す私は、もう脳みそが破裂しそうなくらいフル回転させて考えてきたんだけどねwどんだけいっぱい考えたと思ってんねん!て言いたいw

 

というわけで、大成功とまでは言わないまでも、別にスタッフにあまり叱りつけることなど無しに、不備は減らせた。すると、意外な事がわかってきた。不備が減ると清掃品質で今まで我慢してきた事がついに我慢できなくなってきたのだ(笑)。今までだったら「不備さえなきゃいーじゃん」だったのが、「不備にならないからって手抜きはいかん!」と公言するようになってしまったのであるwww

 

つーか、まぁ、やっと品質を上げる方向へ目を向ける事ができるようになったなぁと。ベッドとかあんまり綺麗じゃない人も結構いたけど、今後は頑張ってもらわないとね。私は辞めるけど、次の責任者には是非是非より上質なホテルを目指して頂きたいものである。

 

最初で最後の飲み会をした。

今日、責任者になって初めて主要なスタッフの何人かを集って飲み会をした。

 

ちょうど二年だと思う。そんな長い間、飲み会すら開かなかったというと意外に思われるかも知れないが、したいとは思っていたが、諸事情で出来なかったのである。

 

提案して一年掛かった。でも、開いて良かったと心底思う。心の中まではわからないのでみんながみんなと言うわけでもないかもしれないが、私自身は楽しんでもらえたと思う。

 

というより、ほんとに私自身がこれで悔いはないなと思うことが出来た。そう、私はこれで辞める決意をした。何度かこのブログでも書いたように思うが、辞めたい気持ちは変わらなかった。そもそも、これでは色々とやってられないという思いは強く、先が見えない。

 

ホテル客室清掃業務の未来がまるで見えない。お先真っ暗とまでは言わない。多分まだまだやりようはある。人員不足でしんどいし、今後もそう変わらないかあるいは悪化の一途になるであろうとは思うが、どうにかしてしのいでいけなくもないだろう。ただ、ほんとに個人的な事情で待ってられないのが私自身だから辞める他はない。

 

もし続けられたらもっとより良く出来る部分はまだまだあったし、ブログの読者にももっと色々と情報的なものを供給できただろう。しかし現実は待ってくれない。このままでは私が保たない。時間切れという他はない。

 

要は金である。あまりに酷く安い金額で引き受けた会社によって屍となる他はなかったのだ。それでも、私は私自身に頑張ったということは出来る。どうしようもなくひどい現場をここまでのレベルに引き上げる事ができたということは自己満足ではあるものの、自分自身に誇りを持つ。

 

ただしそれはいい人達に恵まれたからだ。私一人では絶対になし得なかっただろうし、むしろ助けてもらったのだと思わざるを得ない。なかなか普段一緒に仕事しているのにも関わらず、どうしても自分が責任者であるが故、厳しい目で見なければならず、人のあら捜しばかりしているようなところばかりで、心の底では多分信じていなかったように思うのだが、たった一回の飲み会で何が分かるのかとは思うけど、この人たちに任せて良かったと思った。そういう瞬間はたしかにあった。

 

もちろん先のことはどうなるかなんて私にはわからない。最大の問題は人手不足だし、こればっかりはいくらいい人達がいてもどうしようもない。もしかしたら、会社がこのホテルから撤退する羽目になるやもしれないが、それはそれ、何れにしてもどこかで私は区切りをつけなくてはならない。私個人が破滅するわけにも行かない。

 

ホントのことを言えばいつまでもいられる限りずっといたかった。やりきったか?、という意味での悔いは大いにある。それ以上に、私は現場が、このホテルが知らぬ間に好きになってしまっていた。従業員には色んな人がいるけど、一緒に仕事をしてきたという意味でみんなの事が好きになってしまっていた。多分そう思うほどに入れ込んでしまったからだと思う。寝ても覚めても現場の事ばかり考えてしまうくらい熱中していたのは偽らざる事実だ。

 

飲み会を終えて、1人になったとき不意に泣いてしまった。私は去らねばならない。大好きなかけがえの無い現場と仲間達をあとにして。

 

追記:このブログはまだ終わらせるつもりはありません。

背を伸ばそう!

清掃の人って、多分下ばっかり見てると思うんです。床に落ちてるゴミや埃、あるいは汚れを掃除するのが基本だから仕方ない職業病みたいなもので、しかも高齢者が多い職種だから腰の曲がった人も少なからずいるし、そんなわけで腰を痛めてしまいがちです。

 

腰というのはよく言われるように、人間の肉体的な弱点です。何故なら、腰は鍛える事が基本的には出来ないからです。脊髄には関節はなく、腰を曲げたりする運動は身体の色々な部位の筋肉が働いて可能になっているだけです。従って腰を支える筋肉がないため、脊髄を保護できず、姿勢の悪い人は腰が曲がった状態になってしまい、その状態で重いものなどを持ち上げようとすると腰が真っ直ぐな人より余計に負荷がかかり・・・・と悪循環に陥ります。

 

そうならないためには当たり前の話ですが、普段から姿勢をよくする事を心掛ける以外にはありません。実は個人的に私は何故か、小学生くらいの頃からこれを心掛けています。学校の授業では一人何故か机に座ってても腰を伸ばしているので、目だってしまい先生にもっとも当てられた記憶がありますw。とにかく、どうして姿勢をよくしておこうと思ったのか理由はよく覚えていません。

 

姿勢をよくする基本は三つです(昔、剣道の先生に教えられました)。

・顎を軽く引く。

・肩の力を抜く。

・立つ時には両足に均等に重心が掛かるように立つ。

何故か、背を伸ばす、という項目はありません。でもこの三つを心掛けるだけで確かに姿勢はよくなります。先生が仰っていたのは、重心を自由に動かせる状態を作れば、剣道の攻守に瞬時に対応できる、というような事だったと思います。

 

あと、普通によく言われるとおり、重いものを持ち上げる時などは出来るだけ腰を使わず膝を使いましょう、ってことですかね。

 

で。何故このブログでこんな事を書いてるのかというと、客室清掃作業をするメイドさんってば、作業にばっかり捉われて部屋の中を実はあんまりよく見ていないって事が多いんじゃないかと思うからなんです。作業は大変で、清潔さとスピードが求められるし、ベッド動かすのも大変だし、って感じなので仕方のない部分はあるんですけど、でもどうもやっぱり姿勢のいい人の方が部屋をしっかり見られているように感じる事が多いんです。

 

姿勢が良いと、自然と視野が少し広くなります。多分、そういうことなんじゃないかなと思うんですが、血行なんかもよくなったりして、脳を含めた身体全体の調子もよくなる、という効果もあったりするんじゃないでしょうか? ともあれ、腰が曲がるよりは遥かに良い事だけは間違いありません。よいこと尽くめだと私は思ってます。

 

とにかく、下ばっかり見ないといけないし、しゃがんで作業する事も多いお仕事なので、普段から背筋を伸ばすように心掛けるととってもいいんじゃないかと思いますよ~。

 

 

客室清掃現場責任者にとって大事な契約書について。

過去にこんな記事を書いてますね、私。

 

hotelsekininsya.hatenablog.com

 あるいはまたこんな記事も。

 

hotelsekininsya.hatenablog.com

 

でももしかすると、もっと大切な事があります。客室清掃現場責任者がしっかり頭に入れておかないといけないこととして。 

 

 業務委託契約で外部業者が客室清掃業務を請け負っているような場合は特に、客室清掃全般の業務内容は契約書に付随する仕様書に定められています。当然のことながら、仕様書に定めのない様々な細かい業務も、業務を実施していく中で発生していくわけですが、何れにしても契約の仕事であり、法的な責任という事を考慮すれば、仕様書を基本としてそれに準じた形で仕様書に定めのない部分まで考えて行く必要は絶対にあります。それ故、契約書・仕様書といったものはしっかりしたものを作成して発注側・受注側が十分認識しておくというのはどの仕事であろうと当然の話なのです。

 ところが、往々にして契約書や仕様書がずさんだったりする事もしばしばあるのが日本では多い、とよく聞く話で、なんと、私の今やってる当のホテルとの契約書には仕様書がありませんでした(えーーー!?と書いてても驚く話w)。多分前業者からの引継ぎなので、同じようにやってくれたらそれで良い、みたいなえーかげんな考えだったのでしょう。でも契約書に「業務内容は別途添付仕様書に示す」のような事書いてあるじゃないか、と。

 ホテル側でも問題になったので、時間がなかったのでやむを得ず、私が仕様書書きました、貴重な仕事時間削ってね。たかが現場責任者が大事な大事な契約仕様書を書くとか、しかも本社の確認もなしってどういうこっちゃ? まー私は本来は本社社員だけどさ、上司に問い合わせたら「そっちで勝手に作っておいて」だって・・・。

 

 これね、法的な問題が発生した時に、決定的な部分になるのが契約書なのでめっちゃくちゃ大事なんですよ。例えば、仕様書に記載のない作業をホテルから指示されて実施した時に、何かホテルに損害を与えてしまったとしたら、一体どっちの責任になると思います? もちろん契約書には通常、「記載のない事項については甲乙協議の上・・・」のような事が書いてあるんですけど、それでも揉めたら? ってことになりかねないわけです。だから可能な限り業務内容の子細を仕様書に落とし込んでおく必要があるわけです。

 

 ちょっと話したいことから脱線気味になりましたが、一言で言えば、契約書をしっかり頭に入れておきましょう、ということになります。もし、あなたが客室清掃責任者をやっている現場に契約書や仕様書がないのであれば、会社にお願いしてコピーをしっかり貰って下さい。

 

 とにかく日本の商慣習って、見積書・発注書・請求書だけで仕事するって事が頻繁に行われており(それすらなく銀行振込みだけで完結するって言う極端な例もかなりあります)、だから本来契約上の受発注関係でしかないのに、お金出す側と貰う側という主従関係が暗黙のうちに成り立って、そういういい加減な商慣習が「お客様は神様だー!」みたいな思想が蔓延ってしまう元凶になってるんだと思います。

 

 で、仕様書外のことをする事も多いとは思いますが、責任者は契約書の内容をしっかり把握しておく必要はあります。大事なことは、主従関係ではなく契約関係として仕事をしているという認識です。契約外だからあれはする・これはしない、ってことではありません。この辺を誤解している人が多くて、私が今の会社に入社したての頃に、とあるショッピングセンターの清掃責任者が「高さ1.8m以上のところは契約書に書いてないからやらなくていいんだ」と、きっちり壁の1.8mのところまで清掃して上は放ったらかし、だったのが忘れられません。当時はよく分かってなかったので「そんなもんなのかなぁ?」と思ってただけですが、趣旨は「脚立などを使用した作業は日常清掃には含まれない」ってことでしかないんです

 

 だったらそう書け!てのもあるけど、そんなね、契約書だってどんなに頑張って書いたって曖昧な部分は残ります。つーか、常識で考えろよ、と。壁の高さを2.4mとすれば、床面から1.8mまでは清掃しておいて、残る上部の60cmは汚いまんまとかおかしいだろ!・・・ってくらい妙な箇所があったんですよ。そりゃ、1.8m以上の部分をトータルで清掃するってんなら別契約で特別清掃でやるべきなんでしょうが、たかが2m幅範囲の箇所で下はヤニ汚れが綺麗に取れてて上は真っ茶ってどうなのよ?・・・杓子定規にも程がある!みたいな。そんなもん、1mくらいの低い脚立でささっとできるだろーがw

 

  でも、可能であればそうした細かい部分も契約書・仕様書に落とし込むべきではあるんでしょうけどね。現実にはそこまで細かく仕様書に落とし込まれてない事がほとんどなので、その辺は話し合うとか常識などを踏まえてやっていくしかないってことでもあります。何れにしても、繰り返すようですが契約書が基本です。それはそれとして、受発注双方で助け合い協力して仕事を進めていく事も大切ではあります。ホテルなんてのは特に何が起こるかわからない部分も多いので、当然契約書に縛られてたら仕事が進まない事もありますからね。

 

 ただ、決してホテルとは主従関係ではないということはしっかり認識しておく必要はおおありだと思います。

 

プロフェッショナル意識は大切。

客室清掃の求人募集広告を読んでいると時折こんなコピーを見かけます。

家庭の清掃と同じですから誰にでも出来ます。

確かに、拭き掃除したり掃除機かけたり、やっている事は大して違わない。ホテルのベッドメイクは家庭にはたぶんあんまりないと思うけど、布団のカバー替える延長線上にあるから同じと言えなくもありません。

 

だけど極論すりゃ、どんな仕事だって、可能性としては誰にでも出来る仕事だ。99.99999%あり得ないとしても、可能性だけを言うならプロ野球選手にだってなれる。それは言い過ぎとしても、世の中「私には無理だ」と思う人が多いのか、そうした「誰にでも出来ます」ってキャッチコピーは有用なのかもしれない。とにかく、ホテル客室清掃の仕事は売り手市場、簡単だよーみたいなアピールも必要なのだろう。はい、実際簡単です。この世界を舐めてもらって結構です。むしろ舐めて掛かって欲しい。大したことはありません。但し・・・なんてな但し書きもありません。肉体は駆使しますけど、しんどかったら辞めちゃえばいいんですから。

 

でもね、その仕事で多少なりともお金貰うってだけで、世間ではプロと呼ばれるんです。プロフェッショナルには必ず仕事に対する責任が伴います。どんな簡単な仕事にも例外はありません。しかし、悲しい事にそれが分かってない人が少なからずいるんですよね。うちの現場にもいるんですよ、そういう人が。具体的に書きますと・・・・

 

Aさんはベテランといっていいでしょう。表面的に見る限りあまり問題のない仕事をします。まぁそれなりに長くやってるからそこは当たり前でしょう。ところが、Aさんは基本、言われたとおりにしか仕事をしないんです。例えば、客室内なんて何か破損してたり傷ついてたりってことはしょっちゅうあるのに、滅多に報告しないんですよ。で、こっちは「客室内で気付いた事柄は何でもきちんと報告して下さい」って指導している。で、例えばシャワーホースに破損があったとすれば、大抵の人はきちんと報告してくるんですけど、Aさんは「気付かなかった」って平気で言うんです。あのね、気をつけてくれとまで言わなきゃいけないの?あるいはシャワーホースの破損を必ず確認しろとまで指導しなきゃいけないのか? そんな細かいこと言い出したらはっきりいって指導項目は莫大なものになる。

 

いちいち細かい事までいわないと分からない人って、プロ意識がない、あるいは意識が低いんだと思います。ただただ、お金くれるから仕事してるだけって言うか、最低限のことをしさえすればいいんだ、みたいな、そういうのってはっきり言ってプロじゃない。私は本気で、Aさんには辞めて欲しいと思ってますが、人員不足なのでそんな贅沢は言えないため、我慢するしかありません。もちろん人が十分増えた時点で解雇を通告するつもりです。

 

客室清掃って要するに、宿泊されるお客様に対して、快適な客室にする事、そのために仕事してるわけであり、不快な思いをさせてはいけない、という意識が不可欠なんです。特に高いクオリティを求められるレベルのホテルではほんとにその意識が大切です。確かに、じゃぁどこまでやればいいのか?っていうのはありますが、少なくとも意識だけは常に持ってなきゃならない。自分のした仕事に何か不備があるかもしれない、気付かなかった事があるかもしれないって多少なりとも不安を持ってやらないといけない。

 

私たち、上の立場に立つ人間はもちろん完璧であればいいのにとは思いますが、実際には完璧は求めていません。そんなのは無理です。ただ、仕事に対して誠実であって欲しい。一言で言えば、「向上心を持つ事」なんですけど、そんな堅苦しいことは言いません。深く考える必要もないです。でも、辞めて欲しいとか思われるような仕事をしないで頂きたい。

 

なんだか、異常なくらい説教っぽくなってしまいましたが、Aさんにはほとほと困ってます。実際Aさん以外に辞めて欲しいと思う人はおらず、つまりそれくらい酷いんです。「言われたとおりには仕事する」って上では表現しましたが、Aさんはちょっとでも基本以上のことを指示するようなものなら、とたんに「なんでそんなことしなきゃならないの?」って文句ブーたれるんですよ。ほんと、人手が足りてたら辞めさせたい!・・・はぁ(溜息)。

え?ホテルが南京事件で揉めるって何事?

www.itmedia.co.jp

 

取引先の偉いさんが「あのホテルはダメだ、委託業務なんてやるべきじゃ無い」と、何年か前に私にそう語った記憶がある。どういう理由でダメだったのかまでは覚えてないが、アパとは別の有名ビジネスホテルチェーンの方が遥かにマシだ、とは仰っておられた。多分、安さで売ってるようなビジネスホテルってのは外注委託料金がかなり安いことが多いので、そう言った話なのだと思う。

 

アパホテルって、あのド派手なTVなどのメディアにもよく登場する社長が有名なのだけど、まさか、南京大虐殺論争を蒸し返す事態を引き起こし、もしかすっとある種の国際問題になりかねない(既に在中日本大使館に抗議すべきなどと中国では言われているみたいだし)事態になろうとか、想像の斜め上すぎにも程がある。

 

で、これ、多分、アパホテルって日本全国に6〜7万室持ってるそうだから、全客室に本を置くようにすれば、6〜7万部*1は確実に売れたことにすることができる!って考えたからなんじゃ無いかと邪推するw 自腹切ることにはなるが、社長夫婦なんてそもそもお金持ちなんだからどうってことない額だし、ベストセラーってことにしとけばもっと売れるって読みもあったりしたのかも。あるいは単にベストセラー作家って箔づけが欲しかっただけなのかもしれないw

 

しかし、中国人観光客もかなりの比率で宿泊するであろうアパホテルの客室に南京事件否定本置くとか、自殺とは言わないが、自傷行為に等しいとしか思えない。これで確実に中国人観光客の一定割合について稼働率を落とすことになったわけだからね。中国にもアパホテルあるそうだけど営業できなくなるんじゃないだろうか。ともあれ、損失は結構なものになりそうである。(しかし、かなり前から置いてあったらしく、今までよく問題にならなかったなと思う。英語はあったけど中国語がなかったからかな?)

 

さて、南京事件というと、実は私も過去にど素人レベルではあるがかなり詳細に調べ上げて、ネットで議論してた経験がある。歴史には疎いので日中戦争の細かい話はあんまり知識ないのだけど、その書かれていたという内容は相当酷い。

 

www.apa.co.jp

 

例えば、

中国は日本軍が南京で三十万人を虐殺したと主張しているが、そもそも当時の南京市の人口は二十万人であり、三十万人を虐殺し、その一ヶ月後には人口が二十五万人に増えていたなどあり得ない

だなんて、一体これ、何十年前の議論なんだ? というくらいだ。例えば以下のページを読んでほしい。

二十万都市で三十万虐殺?

南京の人口は増えたか

この手のネット議論では超有名なゆうさんという人のページだが、このサイト自体が今ではもうあまり見られない古さを感じさせる(失礼)ことからもわかるように、ネットでも何年も前に詳細に論駁を受けている。南京事件に関する人口議論は、結構色々な資料を突き合わせて調べないとなかなか分かりにくいんだけど、要はこの否定論自身に都合のいいような数値を持ってきてあたかも「そんなわけないじゃないか」と思わせたいだけなのである。

 

このブログは南京事件を議論する目的はないので、これ以上は述べないけど、他もあまりに幼稚で酷い内容である。こんな内容の本を、中国人観光客も多く利用するホテルの客室に置くとか、頭おかしいと言わざるを得ない。

 

で、「撤去するつもりはない」って? やっぱあの辺の人たちって、どうしようもないね。現場で働いてる人たちに同情するしかないです。そりゃ、言論・思想は自由だけど、南京事件とか過去に何回外交問題になったと思ってんの? それくらいナーバスな問題なのにね。

 

 

*1:間違ってました。実際には3万室くらいだそうです。そう書いてあった記事はど忘れしてしまったのでリンクは示せません。すみません

ホテルの偉い人とお話しする機会があった。

今回は短い記事です。

 

われわれ雇われ業界の現場清掃人間が普段接するホテル側の人って、せいぜい支配人クラスどまりである。その上の、例えばホテルチェーンの元締め会社の人とか、オーナー会社の人などと接する機会はほとんどないに等しいし、話する機会など皆無である。所詮は下っ端、こき使われる最下層貧民・・貧民は余計か(笑)、ともかくそういうカースト制度なので当然だ。

 

が、この前、わけは話せないが、ホテルの偉い人とテーブル挟んで小一時間ほどお話しする機会があった。流石によく知ってらっしゃる方で、フロントに日々厳しく言われて、人手不足もあって大変だろうというような話をされた時には涙が滴り落ちた(話はホントだが涙なんて真っ赤な嘘w)。直接その人の下で働いているわけではなく、所属する会社は別だけども、ああ、こういう人の下で働いてたんだなぁと思ったら、いいホテルで働いてたんだなぁなんて思ったりもした。すごくこちらに対して気を使っていただいて非常にあり難い気分にさせられた。

 

「じゃぁもっとお金下さい」だなんてもちろん言えなかったわけだが、業界のことは良くご存知で、非常に安い金額で引き受けていることに対しての御理解があった。その偉い人の一存で委託金額が上げられるわけではないのが現実なんだろうし、それは仕方ないと理解しているが、相手は決して鬼・悪魔ではなかったのが分かったのが何よりの収穫だった。

 

特に、中国人やフィリピン人などの外国人を雇わざるを得ない現実をよく理解されていて、日本人が理想だけどそれは無理だろう、というような話を色々された。で、外国人を雇うことによる様々なリスクなども非常によく理解されておられた、というか私などよりもずっと知識・経験が豊富なようであったので、非常に勉強になった。

 

別にこの話、何か特にオチがあるわけではないが、なんつーか、やっぱ人って、人格みたいなところが一番大切な部分なのかもしれない。私など全然褒められた人格じゃないと常々自分で思ってるけど、他人からそう思われてみたいなぁと思ったり。偉くなれれば、だけどねw