ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

取れない汚れ(?)をどうやって取るのか。

現場責任者として会社にホテルへ放逐されたみたいなものだから、そのぶん結構自由にさせて貰った。契約仕様のこととか、これはやるべきかあるいはやらない方がいいのか、色々と多方面に考えなくちゃならない面もあるものの、私は可能な限りなんでもやってみたい性質なので、ホテルの仕事ではないが過去には床面自動洗浄機をメーカーに頼まずに自分で修理したり挙句の果てには改造までしたりしている。クソ高い出張修理費を払うより自分でできるならやっちまえ!みたいなw

 

さて、ホテルでも毎日する普通の清掃作業では対応できない汚れなどをどうするか?という問題がある。もちろん、例えばベッド下除塵作業などなら特別清掃費を頂くという形で、会社から作業員を入れて貰って対応する、あるいは清掃では対応が困難な家具などの経年劣化に伴うものなどはホテルの方に対応してもらうなど、現場でやらなくていいという切り分けもあるわけだが、稀にどっちにも切り分けが困難というか、頭を悩ませるような問題が生ずることもある。

 

例えばうちのホテルでは、どーしても取れないカーペットの染みという問題に対応を求められたというか、普通にやるならもうカーペットを部屋ごと張り替えてしまう以外にない(※タイルカーペットじゃないから)というそうそう簡単にはホテル側としても予算承認できないような問題があった。私はその頃は、ただの現場応援としてチェッカーかメイドをしに来ていただけだったのだが、たまたまうちの会社の担当者とホテル側の人がそのカーペットの取れないシミについて協議しているその場に居合わせた。

 

実は、建築当初に余ってた資材を保管している場所を私は何故か知っていて、そこにその部屋のカーペット資材があることも知っていた。だからふと思いついたままをそこで私見として言っただけなのである。「そこだけ切り取って張り替えればいいんじゃないですか?」って。うちの担当者とホテル側の人は「え?そんなこと出来るの?」ってびっくりしてたな。いや、私も本当に素人考えで思いついただけで、職人でもないからそんなこと知らんしw

 

まさかホテル側もそれを大真面目に受け止めるとまでは全然思わなかったのだが、是非やってほしいと言い出しっぺの私にそのテスト施工の依頼が。しゃーない、じゃぁやってやろうじゃねぇかと、カーペットの部分張り替えやりましたがな。想像したよりもちょっと難しかったし、どうしたって切り貼りしたその境界線はくっきり見えてしまうという結果になったがホテル側はそれでいいと承認された。実は、私は内心「特別作業費としてうまくいけば金取れる」と思ってたんだけど、当時の担当者がサービス、つまり無償でやると決めてしまい、以降、同様に取れないシミを消したい時は全部サービスでうちの会社が切り貼りする羽目になってしまった。下請け根性のだらしなさというか情けなさというか・・・。でも、私はそれにもめげず、応援当時から思いつくことは何でも色々と考えて提案したりして来たので、別の部分で別途費用としてお金貰えたものもいくつかあるから営業にはなったのかな。

 

で、支配人がその応援当時から私のそういう性質をよく覚えてらして、私が責任者になると無茶なことも色々言って来ました。私に頼めばなんかいいアイデアが湧き出てくるとでも思ってたのでしょうかねw 壁紙が剥がれたところを修繕しないで何とか出来ないか?とか言われた時には即座に「無理ですっ!」と断りましたが。ただ、出来るのであれば何とかしたいなぁというのは支配人と共通認識は持っていたので色々やりましたね。例えば壁紙じゃないところの壁の部分の取れない汚れを「百均とかで売ってる塗料スプレーでごまかせるんじゃないっすか?」と冗談交じりに提案したら翌日、速攻で支配人が百均の塗料スプレー買って来て、自分でテストされて、「うまく行ったので後はよろしく!」とニコニコしてそのスプレーを私に渡されましたw

 

そんな様々な試行錯誤の中で、ダントツにあげたいのがこれ。

 

item.rakuten.co.jp

 

ステンレスって「熱焼け」ってのがあって、熱で色が変色してしまうんだな、これが。で、ホテルの客室内でステンレスで熱焼け起こすものといえば、電子ポットや電子ケトルなどの湯沸かし器。直接火を使うものなんてないと思うのでそんなにひどく熱焼け起こすわけでないけど、それでも微妙に熱焼けを起こして徐々に見栄えが悪くなっていく。で、神経質なお客さんがアンケートに「ケトルのステンレス部分が汚い」とか書きやがるw 支配人も当然私に「何とか君の力でどうにか出来ないのか?」とか根拠なく言ってくるw

 

もちろん私も、それが出来るなら何とかしたいとは思ってたんだが、当初はステンレスの熱焼けだなんてことすら知らなかった。ただ、私もかなり諦めが悪いので、色々調べてたらどうやらそれがステンレスの熱焼けというものであることが判明し、たどり着いたのが上の商品な訳です。試しに買ってみてやってみてびっくりするくらい簡単に熱焼けが取れました。あまりに簡単に取れるので、全客室のケトルの熱焼け取り・・・は使い切っちゃった時点で諦めたけどね。安いから私費で買っただけだしw でもこれ一個でかなりのケトルを処理できました。

 

一般的な市販商品ではどうもこれしかないみたい。実は、うちの会社の取引先問屋にも熱焼けを取れるのなんかないか?と別の試供品もらったけどそれだと全く効果なし。ま、単に美観の問題だけだからそんなにニーズはないんでしょうね。でも、上の商品の効果はこういうケースに限り絶大とは言えるでしょう。いやーほんと熱焼け取るの楽しかったなぁw

 

というわけで、今回はなんかためになるという話ではなくて、単なる自慢話に過ぎなかったですけど、諦めず色々探求してるとどうにかなることも結構あるというお話でした。でもできればお金をきちんと貰うようにしましょうね!

メイドはきついよ。でもメシは美味いよ!

 

hotelsekininsya.hatenablog.com

 

こんな記事自分で書いておきながら、私という人間はいったい・・・・

 

いえね、最近はもう責任者の業務自体は別の人に任せてほとんど応援で清掃に入ってるんです。その方がずっと精神的に楽チンだからさ。ストレスはないしあんまり考える必要もないし、その意味では滅茶苦茶楽です。その上責任者やってたから清掃でやらなきゃいけないこと全部頭に入ってるし、ほんとに嘘みたいに楽。

 

だけど、メイド作業は肉体的にはかなりきつい(笑)。いやもうマジでみんな良くやるなぁと感心します。責任者故に一切手抜きなしでやってるからかなぁとも思いますが、毎日あまりにも御飯が美味しく食べられるので、それはいいことだけども、そんだけしんどいってことでもあります。

 

うちのホテルは一室一人清掃で、その後をチェッカーがチェックするって体制でやってるんですけども、こんだけ何から何までを所定の時間でクリアしなきゃいけないって鬼か?と自分が責任者の立場なのにそう思ったり(笑)。しかもやっすいあんな給料で(私はメイド給与じゃないけど)。賃金の話はこのブログで何度もしてきたので今更多くは語らないけど、常識的に考えて無理っす。求め過ぎにも程がある。

 

ただ、「今日も一日頑張ったなー」っていう実感はなかなか得難いという気もしますね。びっしっとベッドを張って、他もほぼ完璧に綺麗にして、って作業は気持ちいいものです。それを予め自分で決めた所定の時間内にこなせたりすると、なんつーかな、ちょっとした満足感がある。単純な作業だけど、しかし、なかなか他の仕事ではあんまり得られない満足感かもしれません。清掃の仕事って客室清掃以外にも色々ありますが、客室清掃は毎日非常に高いクオリティを求められる事が多いと思うので、その意味では達成感は高いんじゃないかなぁ。

 

それに、「ご飯が美味しい」っていうのは最高ですね。一生懸命仕事して、くたくたに疲れて帰ってきて、夕飯を美味しく食べられるって何物にも変えがたい瞬間かもしれません。これで給料さえもっと良かったら何も言う事はないのに(笑)

 

・・・というわけで、私が最近ハマってる、自分ではてなブクマしたレシピタグからおすすめレシピを紹介。

cookpad.com

 

これ中毒性高いです。カレー粉を色々と変えてみると風味も違って楽しめますよ。

 

saruwakakun.com

 

こちらは最近のブクマなのでまだ全然試してませんが、簡単に作れるっていいですよね。

 

www.hotpepper.jp

 

これ、ピーマンの奴、大ブームになったそうですが、早速試して見ましたがほんとに簡単でいくらでもご飯が食べられます。何より超簡単。

 

では、ご飯を美味しく食べる為に皆さん頑張りましょう!w

客室清掃責任者に必要な資質。

私の前任者は、常に神経ピリピリ過敏な気性の激しい人だった。簡単に言えばビシバシ怒りまくるのがイコール指導、みたいな。だから、いつも現場はピリピリ、とにかくその前任者の責任者を怒らせてはダメだ、あるいは怒られるのは嫌だ、と言う空気が支配しているようなところがあった。

 

そんな人だったが、神経過敏症でかつ責任感も結構あったから、その為に過大なストレスを抱え込む羽目になってしまい、うつ病を罹患してしまうことになる。それで、とうとう現場にあまり来られなくなってしまい(体が実際に体調不良を起こしてしまったらしい)、それで私が引き継ぐことになったのだが、私はどう言うわけかうまい具合というか、前任者とは性格が真逆で、かなり鈍感だし、気性はいたって常に平静だし、それでうつ病に至ることなく現場を楽しめたのかもしれない。責任感? 自分でそれを評価するのは困難だが、前任者ほどにはなかったのは確かだ。

 

だって極端な話「謝ったら済むだろ」というくらいにしか思ってなかった・・・というのは極論にしても言い過ぎだとは思うけど、私は謝ることに対してはそんなに苦痛だとは思わない。今まで散々謝り倒してきたからね、色々と(笑)。現場責任者をする前にマンション管理担当者をやってて、担当したマンションの理事会におっそろしく怒りまくる声のでかい理事がいらっしゃいまして、その人に散々怒られた経験が生かされたのかもしれません。もはやその理事に対してはいかなる反論も許されず、どんなに理不尽でも謝るしかなかったもんね。どうか気を鎮めてくださいませと何度祈る気持ちになったろう(笑)

 

じゃぁ、私のような鈍感で謝ることにも抵抗のないような人間がホテル客室清掃現場の責任者に向いているのであろうか? 私はそれはちょっと違うという気がしている。私は単に器用になんでも無難にやっちゃうタイプなだけで、それは向き不向きとは違う。私自身は、向き不向きで言えば前任者のようなタイプの人の方が客室清掃責任者に向いているように思うのだ。

 

というのは、私は私で大変だったからだ。私は怒るのが大の苦手だから、ない知恵を本当にカラカラになるまで絞りまくる必要があった。怒らずに現場をよくするなんて、自分で言うのも変だが、めっちゃくちゃ難しかった。怒ることの出来る人ならば一発ビシッと怒れば済むところを、私は何時間も場合によっては何日も頭の中で考えて解決方法を考え出さねばならなかったのである。でも、感情に任せて怒ると言う技に長けた人ならば、そんなに考える必要もなかろう。瞬発力さえあればいいのだ。喩えて言えば、ビシッと怒ることの出来る人はロケットかジェット機のようなもので、私は旧型複葉機かはたまた飛行船のようにのんびりとしか出来ない。

 

だが、客室清掃は待ってくれるわけではない。さっさと一つ一つの問題をやっつけていく必要がある。となれば、色々思案して時間をかけて解決していくなんてよりは、ドカンドカンと爆弾を落としていく、みたいな方が客室清掃責任者の資質としては合っていると思うし、むしろ必要なんじゃないかなと思う。で、現場に常にピリピリした緊張感を発生させて、みんなに仕事をしてもらう。そうしないと、働いている人には申し訳ない言い方だが、例えば手抜きが横行してしまいかねなかったりすると思うからだ。人間誰だって楽したいのだからね。私は手抜きをある程度認めつつ、クオリティを落とさない、向上させよう、だなんてとてつもなく面倒なことをやらざるを得なかったのだ。

 

なんだか自己否定みたいになったけど、とにかく私は私で本当に大変だったからね。こんなの真似すべきじゃない。客室清掃責任者はきちっと怒ることが大切だと思う。ただ、一つだけ自己肯定すべきだなぁと思うのは、「諦めない」ことだと思ったりしてる。実は前任者は諦めが良すぎると言うか、ダメな人をすぐに見限って辞めさせたり、出来ないことはスパッと「そんなの無理」とか、あれは良くないなぁと思ってたんだよね。一見ダメそうに見える人でも、実はそうでもないと言うことはよくある。もちろん、本当にダメな人はいるけど、この人手不足業界でそんなに諦めよくスパスパ切ってどーすんの?とは思ってたからね。

 

ともかく、諦めが悪いと言うのも必ずしもダメってことではないのだ。これに関してはいずれもう少し詳しく書くつもりです。

「ホテルの客室清掃ってキツイですか?」について思うこと。

一般的に言えば、・・・・そんなもんやってみるまでわかるか!www

 

ホテルだって千差万別、人間関係やら、あるいは働く内容とかとにかく色々と諸条件が違うことは当然だし、それにやる人自身の向き不向きなど、なかなか一般的な回答は実は難しいのだ。なのに、ネットなどでは「ホテルの客室清掃ってキツイらしいよ〜」とか一般的な回答が蔓延っているようで困る。

 

辞めると決めて今はまだ私が在籍しているホテルだが、働いてる人によってすら違うんだからね。一番遅い人の倍以上の部屋数をその遅い人よりずっと早く終えて、じゃぁ部屋はどうかというとバッチリ綺麗にしているという化け物みたいなAさんはちっともきつくないらしい。何せ、朝、子供を保育園に預けてからホテルで働き、それを終えると大手百貨店の食料品売り場で働いて夕方子供を迎えに行き、という生活を週休1日でやってのけているんだからね。

 

また、ホテルを十把一絡げに全部一緒みたいにいう人がいて困る。まず、ホテルの形態の違いというのがある。ビジネスホテルとシティホテル、あるいはリゾートホテルなど形態が違うだけでやり方もかかる時間も何もかも違うと言って良い。「私は1日15部屋」「え〜?そんなにできないよ。私はせいぜい7部屋だからあなたってすごいね」という会話はホテルが違うと成り立たない意味不明な会話と言って良い。いやマジでそんな会話をネットで見ました。あのな、ホテルって日本じゃ1万件くらいあるんやぞw

 

さて話は少し変わって、私は最近、ほぼ毎日チェッカーをやっている。責任者をやる以前、応援でホテルに呼ばれて来ていた時期にもずっとチェッカーしてたけど、チェッカーを終えてからも他の仕事のために会社に戻らないといけなかったためとにかく速攻で終わらせる必要があった。だから応援当時はかなりキツかったのを覚えている。何せホテル内だけで毎日一万五千歩くらい歩いてたから(わざわざ万歩計で測ったのだw)、ヘトヘトヘロヘロ。

 

それがだ、今はその応援当時よりもさらに早くチェッカー出来るようになってて、しかも全くしんどくないのだから自分でも驚く。責任者業務を経て身につけた知識に物を言わせている部分もあるのだろうけど、以前の応援当時は正直手を抜いてたが(手抜きしないと次の仕事に間に合わない)、今は全く手抜きせずにやってる。とにかく、全然楽チン、正直、チェッカーがきつい仕事だなんて信じられないくらい。あまりにも早くやってしまうので、他の人から怪しまれないかと思い、こっそり最後の部屋で時間潰しにテレビ見てくつろいでたりする(こらこらw)。

 

メイドもするが、私はベッドがあんまり上手じゃないのでスピードは並と言ったところだけど、これも別にしんどくはない。まぁ、上手なメイドさんは上手に手抜きしてることも知ってるけど、責任者故に手抜きできない体になってしまったのでスピードは致し方あるまい。とにかく肉体的にも精神的にもチェッカーもメイドもあまりにも楽すぎる仕事としか思えなくなってしまった。

 

ここで「それは責任者業務がすっごく大変だからでしょ?それと比較しちゃうんじゃない?」と思われるかもしれないが、実のところここ一年くらい責任者業務も全く大変なものではなくなってしまっていたのが偽らざる感想。・・・そもそも私は、きつい仕事は楽になるように努力を積み重ねて工夫しまくる、というのは身に染み付いてしまっておりまして、実際のところ人手不足によるキツさからは解放こそされませんでしたが、それ以外の部分ではほんと気楽に仕事しておりましたのです。

 

話は脱線してしまいましたが、ともあれ、どんな仕事だってうまく馴染んで慣れちゃえばきついということはそんなにないと思います。なのでもしかしてGoogle検索で「ホテル 客室清掃 キツイ」で悩んでいてここに辿り着かれた方は是非一度客室清掃の世界で働いて見てください(笑)

賃金の闇。偽装請負が蔓延っているであろう客室清掃業界について。

洋の東西に関わらず、とんでもねー指摘をするお客様がおられる。以前は「日本人は特にうるさい」などと思っていたが、色々経験していると現実はそんなことはなくて、日本人が特に、などということはないと思うしかない。この前は、アフリカ大陸からお越しになられたと思われるお客様が「部屋に小さな小バエが一匹いて非常に不快だった」とアンケートにしたためられた。もう、この様なことを公のブログに書く事自体差別的なことだ。

 

というわけで、こまけーことを仰るかどうかは個々人によるのであって、その人がどこ出身であるかなど全く関係がないのである。我々が持つ先入観とやらをものの見事に打ち砕くのが現実なのだ。

 

だがしかし。先入観によるいわゆる差別というのは駄目だとしても、日本における職業別賃金格差というのはどうにかならんのかとは常々思っている。高貴な職業の賃金は高くて、我々のようなホテル客室清掃労働者の賃金が低いというのは、これはれっきとした職業差別であるに他ならない。なるほど、世間には難しい仕事や簡単な仕事があり、そうした質的な差から賃金格差が生じる、とは常識的な考え方である一方、すべての労働者は等しく同じ単位としての労働時間を供給しているのだから、今のような賃金格差は大きすぎる。安倍政権は同一労働同一賃金方針を打ち出しているが、もう一歩踏み込んで労働に対する価値というものを考えていただきたいものである。

 

というような、少々小難しい話はさておき、客室清掃におけるメイドさんたちへの賃金の支払いというのは、求人募集媒体に掲載される内容を見る限りいわゆる時給制が大半である。しかしながら、時給制なのは法律上の問題としてそう公に向けては記載しないとややこしい問題があるからという事情もあって、実際には部屋数に応じた歩合制となっているところもおそらくかなりある。隠された闇の部分であるからその実態は不明である。

 

「ややこしい問題」とは労働法における雇用とは、時間や日数等を単位とする固定給を基本とするのが大原則であり、それ以外の制度で雇用関係とする事は非常に困難か*1あるいは禁止されているからだ。全ての雇用者はそのように労働法規により権利が守られているのだが、日本の労働法規を司るべき関係機関の脆弱さもあってほとんど取り締まられていないと思われる。そうした違法な歩合制、一般的にいう請負契約としているところはホテル客室清掃では多分かなり多いはず。これおそらく大半はいわゆる「偽装請負」である。

 

請負契約とは法的には、

  1. 作業の完成について事業主としての財政上及び法律上のすべての責任を負う
  2. 作業に従事する労働者を、指揮監督する
  3. 作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定されたすべての義務を負う
  4. 自ら提供する機械、設備、器材(業務上必要なる簡易な工具を除く。)若しくはその作業に必要な材料、資材を使用し又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでない

 

 

偽装請負 - Wikipediaより引用

 

の条件を満たさなければならない。どこのホテルに上記四条件を満たす個人事業主メイドさんがいるだろうか? 例えば1、もしクレームで返金しなければならなくなってメイドさんが返金するというのならば条件を満たすかもしれないがそれは先ずないだろうし、2の言う労働者と指揮監督者は個人事業主だから両者ともメイドさん自身なのだけどメイドを指揮監督する責任者がいない現場などあるはずがないし、3は使用者が自分自身なので飛ばすとして、4なんかメイドさんはまさに単に肉体労働提供してるだけだしね。

 

何故企業がホテル客室清掃のメイドさんたちを請負契約するかというと、雇用保険社会保険を考慮する必要がないこと、有給を与える必要がないこと、あるいはもう法で定められる地域最低賃金など全く考慮する必要がないなど企業にとって都合がいいからである。また企業は委託しているホテルから消費税込で委託料金を貰っているが、個人事業主に消費税納付義務はありえない(1000万稼げるわけがない)から、この辺をうまくやると消費税分すらもちょろまかしてしまえる。たぶん他にも私が気付いていないだけで、利点はまだあるだろう。

 

しかも、メイドさんたちにも非常に説明しやすい利点もある。「個々人で清掃スピードが違うから、公平に部屋数でお金払う制度にしているんだよ。みんな同じ時給だったら不公平でしょ」とか。そのとおりと納得しがちになる人も多いが、スピードが違う・清掃数が違うってことで賃金差を公平にしたいんだったら時給のほかに何かインセンティブ的な費用をつければ済む話だ。それなら別に違法ではない。実際の理由は全然そんなところにはなくて、そもそも私がこのブログでほんとに口が避けてしまいそうになるくらい何度も言っているようにホテルが外部企業に委託する料金単価が安過ぎるからである。だから、請負企業は危ない橋を渡ってでも仕事を得、利益をどうにかして確保しようとしてしまうのだ。

 

酷いところになると、(請負の場合は換算時給として)地域最低時給をはるかに下回る賃金しか支払われていないホテルすらあるらしいと聞く。こうした業界の闇の部分、実態として放置されているとしか思えないのだが、おそらく日本人の多くが労働法規に無知すぎるという問題が根にあるのではないかと思う。例えばいまだに「有給ってないんですよね?」とか聞いたりする人がいるんだけど、有給の最低ラインは労働法規に定められていて、それは労働者の権利としてきっちり保障されているものであり、有給を企業が労働者に与えない事は厳格に違法なのである。

www.icare.jpn.com

流石に、こうも人手不足で困り果てるしかない状況になってきたからか、客室清掃の求人情報レベルでは概ね「有給あり」程度の事は広告にうたっているものが多いようだが。だが、本来謳う必要などない。あまりにも日本人が労働者の権利を知らなさ過ぎるから企業になめられてるのだ。

 

だから、客室清掃従事者は世間に対し声を上げて欲しい。このブログでこうしたことを書くのも私としてはその一助となればと思うからだ。とにかく安い業務委託料金しか払っていないホテルは料金をもっと上げて欲しい。安い料金でやってくれる企業に任せたいのは分かるが、それが違法を招き、メイドさんたちを苦しめているという事を分かっていただきたい。

*1:請負契約でもハローワークを含め労働者を募集できるが、その際にハローワークや広告企業のチェックが入るので面倒なのだろう

掃除機の掛け方について。

例えばこんな話がある。

 

バスルームの壁は上から洗うの?下から洗うの?

ベッドとバスルーム、どっちを先にすればベストなの?

洗剤をかけてからすぐ洗うのがいいの?それとも少し置いておくの?

 

・・・どーでもいいよ、綺麗にさえしてくれたらwww

つーか、せめて最後に十秒でいいからさ、すぐに次の部屋に行かずに今やった部屋をチェックしろよwお前らしょっちゅうアメニティとか忘れんだろw

 

こだわりたきゃこだわってくれても構わない。特に三つ目の洗剤をちょっとの間置いておくのは理に適ってはいる。最近の業務用洗剤は反応性の高いものが多いので速攻で洗い始めてもそんなに違いはないが、場合によっては洗剤をかけて置いておくだけで洗わずに汚れが取れてしまう場合も結構あるから、実は洗う時間の節約になる場合もある。なんとかとハサミは使いよう、って話で、掃除だって智恵の絞りようはいくらだってある。

 

しかしながら、さすがに客室清掃で最初に掃除機がけなんて話はないだろう。やたらと食べかすが散らかってるとかそうした状況を先に片付けないといけない状況でもない限り、掃除機がけは最後の方で実施するのが常識だ。これに異論のある人はいないだろう。・・・が、私には未だに掃除機がけが最後でなければならない理由がよくわからない。えええ?と意外に思われる方も多いであろうが、もちろん、部屋をきちんと片付けて置かないと掃除機がけはやりにくいというのは分かる。あと掃除中に床にわざとゴミなどを落として置いてあとで掃除機で一気に吸い取るってやり方も普通だ。だからもちろん掃除機がけは最後にやるべきである。

 

でも、私が疑問なのは、埃は一体どこにあるのか?という点に尽きる。そう、知っている人も多分結構いると思うのだが、清掃して終わって、しばらく時間を置いてどこか適当に埃のたまりやすいところを注意深く観察すると、埃が溜まっているのだ。場所によっては、きちっと拭いた筈なのに指先で撫でてやるとそこそこ埃が指先に付いてくる。もちろんその埃は清掃後も空気中に留まっていたものがゆっくり時間をかけて堆積したものであって、そんなものクリーンルームでもない限りどこだって普通にある話だ。それにホテルのあるところなんて大抵街中・市街地だから、そもそも空気環境自体が埃っぽいのだから止むを得ない話だ。

 

しかしこの埃たちは、もしかして掃除作業中に空気中に舞い始めたものなのではないのかな?とか思ったりするのだ。で、その埃たちの一番最初に多くあった箇所ってもしかして床面じゃないの?、と。だったら最初に埃を掃除機で吸っておいた方があとで貯まる埃も少なくなるんじゃないのかな? だって、床面って埃の貯まる箇所で一番広いわけだし。・・・ま、そんなこと言ってたって掃除機自身が埃を舞い上げてしまうわけだからそうは理想的にはいかないんだけどねw

 

と前置き(↑実は全部前置きだw)が長くなったが、何れにしても、カーペット繊維の中に埃が最もたくさん含まれているのは当然の話。だからダニの住処になったりする。だから掃除機がけはできるだけ丁寧に行うべきなのだが、これ、すでに述べたように客室清掃に最後の方でやるもんだから、結構多くの人があんまり丁寧にやってなかったりするんだよね。一刻も早く次の部屋に行きたい、あるいは帰りたい、休みたい、とか考えてしまうのは人の性分って奴だからよく分かるw

 

でもね、お客さんってば丁寧に掃除して綺麗な部屋に泊まりたくって、埃溜まってる部屋なんて嫌なんだ、基本的に。上で延々述べてきたように、埃が最も多く溜まっているのは床面であり、それが清掃作業中に空気中に多く舞い上がる、そして溜まるのだから、出来る限り掃除機で吸い取っておくのが埃をあまり堆積させないことに繋がるはずである。もちろん、他にも小さなゴミとか髪の毛とか可能な限り吸い取るべきだ。だが、一方で早く帰りたいというのも分かるw

 

そこでだ、だったらプロらしくプロらしい方法で掃除機作業をやろうではないかというのがやっと本題の話である(長すぎるw)

 

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相変わらずわかりにくすぎるというか下手すぎる絵でスミマセンw

 

これ、ビルメン業界に入って先輩社員から教えてもらった方法なんだけどね、掃除機がけする区域を例えば一回あたり1平米くらいに決めてその区画を単位に順序よく掃除機がけを進めていく、で必ず掃除機のヘッドは前に通ったところと次に通すところを少し重ねるようにして移動させていく、同じように区画ごとにも重ねて、そうやって全体を掃除していくって感じ。文章にするとそうなる。

 

床面ワックス清掃知ってる人なら、ポリッシャーがけとかもそうだし、あるいはカーペット洗浄機とかでも考え方自体は同じだよね。多分知ってる人なら、釈迦に説法みたいな話だと思うけど、わりと知らない人が結構いて、私もこの業界入るまで知りませんでした。

 

このやり方を知らない人で、特に掃除機がけの下手な人って、掃除機が抜けるところが多くなったりする。あるいは別の話だが、掃除機には本体があってコードがあってそれがコンセントに繋がってるってことを忘れて、掃除機を倒してしまったりぶつけたり、コンセントプラグを破壊したりするんだな、これが。ところが、区画ごとに掃除機がけするようにすると、全体の面を意識するようになるので、抜けがまず少なくなる。で全体を意識してるから自分の位置も把握するようになり、掃除機本体が今どこにあるかとかコードの長さは足りてるか、などもしっかり意識しながら清掃ができるようになるんすな、これが。しかも、丁寧に清掃できるし、効率的だから速い、と良いことづくめなのでございます。・・・と私は思う。

 

多分、区画ごとに掃除していくっていうのは、箒がけだったり、あるいは床面自動洗浄機だったり、あらゆる掃除の基本中の基本なのかもしれない。ベストなのかどうかはよくわからんけど、少なくとも掃除機がけのベストな方法の一つであるとは思います。

 

とにかくお前ら、コンセントプラグ壊すな!修理ばっかさせんじゃねーよwww

 

 

客室清掃の品質を計量評価する、ということ。

現在勤務している会社は、全国に何万社かあるであろうビルメンテナンス会社のうちのおそらくは弱小に分類されるくらいの小さな会社である。いつ滅びてもおかしくない、と個人的には思っていたりするが、だからこそ大したノウハウもないくせに生き残っていこうと厄介なホテルに手を出した、というか散々赤字を垂れ流しても手を引く勇気がなかったのだろう。

 

もちろん、経営判断というのは大変な度胸の上に成り立つものだろうから、続けることもそれはそれで大いに勇気が必要な決断であるのかもしれないが、他の事例も知ってるだけにズルズルと続けざるを得なかったのであろう、としか思えなかったりする。社員を安くこき使えばいいだけだ、さすれば費用負担も大したこともないだろう、とかね。

 

そんな風に、自分の会社をバカにしたようにしか思えないのは、ほんとに何の指図もせずに現場にただ社員を放逐しているだけだからだ。必要な金だけは多少は出してやるが、後は勝手にお前らで何とかしろ、みたいな。せめてもう少し管理・コントロールしたらどうかと思う。そりゃ放逐された方が楽だけどさ、会社としてどーなのよ?それって。

 

・・・と毎度の如く会社に対する愚痴を冒頭に書いてみましたがw、今回のテーマは客室清掃の品質に対する計量評価です。要するに数値で点数つけるってこと。

 

なぜそんな事を思いついたかというと、前記事では不備を実際に減らしたと書きましたが、これ結構細かくデータを取り続けまして、実際の件数で具体的に月毎に集計データとしたんです。で、グラフ化して、不備対策としてやった事をそのグラフの時系列上にプロットしていったんですね。明確というまでにはわかりませんでしたが、ある程度はどういう不備対策が効果を発揮したかということは明確にできました。

 

それで、資料にして会社に報告したんですが、反応は「へー、そうなんだ、よかったね」ってな感じなだけでした。まぁいいんですけどね、こっちはただ放逐されて好きにやってるだけだから。んなことしたって単価上がるわけでもないし、売上的になんかこ効果あるわけでもなし。わたし的には、会社としての一つのノウハウ資産になると思うんだけど・・・まぁいっかw

 

ただこう、何がしかの数値目標がないと、頑張るったって何を目標に頑張ればいいのかちょっと不明瞭な感じがするんです。例えばですね、ホテルサイドはいろんな旅行関係サイトの五段階評価とか、あるいはアンケートの評価点数とかでとりあえずの顧客満足度、いわゆるCSって奴を測ってたりするわけです。

顧客満足 - Wikipedia

 

で、私としては不備は減らしたので、次は品質を向上させたいと、そのためにはできる限り数値評価を取り入れたい、みたいな構想を結構前から持っていたのですが残念ながらそこまでは出来ず仕舞いです。アイデア自体はそんな大したものではありません。そもそも私はただただない知恵絞ってるだけで、本とか読んで勉強するのは嫌いだし、難しいことは出来ない人だし(笑)

 

例えば、50人のメイドさんがいるとして、一人何室かずつ部屋の出来栄えを五段階で点数つけていくんです。

 5・・・完璧じゃないか!エクセレント!

 4・・・ふむ、後少しでエクセレントなのに惜しい。

 3・・・普通だね。

 2・・・もうちょい頑張れよな。

 1・・・勘弁してくれ、これじゃ給料泥棒だ。

みたいな感じで。それで、何か品質向上の対策を実施して、その前後で点数を比べると、そういう対策にほんとに効果があるのかどうか計測できるんじゃないのかなぁ、と考えたわけです。

 

細かくチェックリスト作って、項目ごとに、ってやり方もあるのは知ってますが、これかなりめんどくさいんですよね。その上、チェックリスト方式って個人的にはほとんど使い物にならないとしか思えないんです。そうじゃなくて、清掃品質なんてアンケートの五段階評価と同じで主観で決まるものでしょ? だったら上の例のような主観評価の五段階評価程度で十分だろ、と。

 

それに、これならば、むしろ細かい項目に適用していけます。例えばベッドの出来栄えに限定して五段階評価するとかして、ベッドメイクを集中して教育指導し、前後で点数を比較する、ってやり方が考えられます。あるいはお客様への挨拶とかちゃんと出来てるか?みたいなのも測定できます。チェックリスト方式みたいな、あれもこれもそれもまとめて細かくチェックする、といっためんどくささもなく、比較的簡単にできると思うんです。

 

てな事をやりたかったけど、どうですか?誰かやってみてその効果を教えてくれないかな?・・・1円にもなりませんが、はてなスターはいっぱい差し上げますよw