ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

ホテル客室清掃業界は深刻な人手不足なのに観光収入だけは上がる?

前回記事が昨年九月だから、大体五ヶ月ぶりくらいかな?

 

気まぐれと言いますか、他にやりたいことややらないといけないことなど、色々ありましたので。ていうか例の小説、出しますよ\(^o^)/ 正式に決まったらこちらでもご報告いたします。

 

で、今回はこれ。

 

www.nishinippon.co.jp

業界ではずっと前から常識中の常識の話ですが、なかなかある意味優れた記事で、この記事だけでよく読むと内部事情が透けてきます。

 

まず、前半で労働契約上の不正の話がありますが、表にならない話なので実態は不明ですけど、大なり小なり不正はあるんじゃないでしょうか。不正しないと人が足りなくなって清掃完了出来なくなるわけですが。他、書いてない話ではあるけど、この業界で有給貰えてるなんて聞いたこともないしね。

 

それで後半にはもっと腹の立つことがさらっと書いてあります。

 

ホテルも施設改修・維持費の負担が大きいため、客室清掃の委託料を値上げしにくい

 

はぁ? 客室清掃だって美観「維持」の目的もあるじゃないか。ていうか、委託料をもっと上げないから業者は人件費を上げられなくて、結果、人手不足を招いているんじゃないか。何を勝手なことを言っているんだろうか。もちろん、それでも引き受けるビルメン業者側の責任もある。だからビルメン業者側はどんどん値上げ圧力をかけるべきだし、実際そうなっている。

 

ただ、求人情報などを実際に見てみると、「はぁ? お前らそれで募集するって気が狂ってんのか?」としか思えないような賃金レベルでの募集もまだ続いているようだ。最早、業界で足の引っ張り合いをしている時代は終わったのだから、利益の出ないような、あるいは労働者を酷使・搾取するかの如き募集条件でしか受託できないのなら、受託しないで欲しいと思う。

 

何れにしても、「お願いだから安くやってね」の時代などとっくに終わっているとホテル業界は考えを改めていただきたい。

 

 

客室清掃の三大難問。髪の毛・シャワーカーテン・埃について。

難問中の難問だと、個人的には思っています。

 

十年ほど前、フィリピンセブ島に社員旅行(豪勢だと思わないでください。きっちり親睦会費を給料から差っ引かれて、安い給料がさらに安くなってましたからね)に行った時に泊まったホテル。バスルーム髪の毛だらけでした。そのなん年後かに行ったサイパンでもセブよりはマシだったけど、髪の毛ありました。埃もそうだったし、シャワーカーテンも匂ってましたね。全世界のあらゆるホテルに行ったわけではないですけど、しょっちゅう聞く話ではあります。

 

1.髪の毛

以前に記事に書いたこともありますが、コロコロやテープなどで対応されている方も多いと思います。髪の毛が清掃後に残ってしまう要因は一つではありません。以下に箇条書きします。

 

  • バスタブなどの洗いですすぎ洗いにしっかりシャワーを流していない。
  • バスタブやバス内床面までしっかり掃除機がけしていない。
  • 頭巾等を使用せず、清掃員自身の髪の毛が落ちることまで配慮していない。
  • 拭き上げ専用タオルを使わず、使用済みバスタオルなどを使っているので、そのバスタオルに付着した髪の毛が拭き上げ後に残ってしまう。
  • 掃除機はかけているが、掃除機のゴミやフィルタなどの整備が行き届いておらず、しっかり吸えない。
  • 確認を怠っている。
  • お客さんの洋服などに付着した髪の毛が落ちているのに、お客さんが清掃が行き届いてないと誤解している。
  • 部屋の状態から明らかに抜け毛の多いお客様の後なのに、気を配って清掃していない。
  • シーツやデュベを客室内床面など髪の毛があると思われるところに、直置きしたりしている。

 

さっと思いつくだけでもこれだけありますし、まだまだあると思いますが、最大の理由は髪の毛は見えにくいことです。黒毛ならまだしも白髪ならどうか、とか。清掃員さんの視力の問題もありますし、そうなってくると結構厄介な話です。ではどう対策していくのか。

 

まずは、上のように要因を可能な限り列挙していくことだと思います。私の方針は一つ一つ潰していくことでしたので、要因何十個レベルで地道に対策していきました。上には挙げてませんが、掃除機先端のヘッドを髪の毛をよく取ってくれるヘッドにしたりもしましたが、これはこれでそれだけでは済まない対応策も迫られました(そのヘッドを毎日整備する必要に迫られました)ので、一つ一つの対応策自体もよく考えて実行する必要があります。

 

他、清掃員の目視の前で、掃除機がけ済みのカーペットにコロコロをかけて、それでもこんなに髪の毛が落ちてるんだぞ、とか認識もさせたり、Webサイトからデータ取ってきて人間は1日あたり50本から数百本髪の毛抜けるんだぞとか言ってみたりとか。髪の毛ってそれくらい厄介なのです。

 

2.シャワーカーテン

シャワーカーテン問題は何度かこのブログでも記事にしています。お客さんの垢などを栄養分とする雑菌が繁殖するからなのですが、まずはしっかり匂いを嗅いで確かめる必要があります。そして、基本的には臭うカーテンを新しい洗濯済みカーテンに交換するわけですが、多くのホテルでは予備のシャワーカーテンを用意してはいますが、色々と問題がありこれも列挙します。

 

  • そもそも予備シャワーカーテン枚数が少なくて、その当日必要な枚数に足りない。
  • 回収した臭うカーテンをどうするのか。洗濯機がない、あっても乾かす場所がない、ハイターなどにつけ置きしているが、乾かしている時間もなく誰がするかも決まっていない。
  • 清掃員が匂いに鈍感
  • 清掃員が交換を怠る

 

サクッとあげれれるのはこの程度かな。匂いに鈍感な人は結構多いらしく、私はかなり敏感なので、よく「これ臭うけど?」「え?全然臭わなかったんですが・・」ということがありました。私、家庭でもダメなんです、雑菌臭のする布巾やらそれで拭いた食器、湿気のあるところで乾かされた雑菌臭のする衣類などの匂いが元々我慢できません。

 

なので、最も大切なのはシャワーカーテンを鼻に引っ付けるくらいにして匂いを嗅ぐことです。で、責任者側は必要なシャワーカーテンを毎日どう供給していくかに知恵を絞る必要がありますし、ホテルもケチってないでシャワーカーテンの予備をドカンと用意する必要もあります。髪の毛も大変だけど、シャワーカーテンも大変なのです。

 

3.埃

埃は、基本的には埃を溜めない、という認識を持つことではないかなと思ったりしています。これは上の二つとは別の観点で厄介な問題を含みます。埃は清掃中に舞い上がり、清掃後に落ちて溜まっていく、ということなのですね。ですので、埃が目立つ黒い表面素材などには、実際には少ししか溜まっていないのに目立つので溜まっているように見えて、清掃出来てないじゃないか!などと言われてしまうことがあるのです。そこを踏まえた上でポイントが三つあります。

 

  1. 埃がたまる箇所をしっかり把握しておく
  2. 埃を取る箇所をきっちり毎回の清掃で埃取り作業をする癖をつける
  3. 可能ならば清掃前と清掃後の二回、目立たない箇所は先に、目立つ箇所は後に埃取りをするタイミングを分ける。

後もう一つあるのですが、作業効率を考えて、清掃しにくい箇所などを選択して週一などの埃取り作業で済ませる箇所を検討してもいいでしょう。お客さんは触れないしあまり見ない箇所などで、毎日は必要ないかと思えるような箇所ですね。週一程度の頻度にすると逆に、清掃員はその日だけでいいので、その日だけはしっかりやってくれるようになります。他の日はそこはやらなくて済むので楽にもなりますしね。ともあれ、作業を習慣化させてしまうのです。

 

なお、清掃前後に分けるのは何故か。それなら清掃後の一回で済ませる方が良いのではないのか? という意見もあろうかとは思いますが、一つは清掃前でないと埃が取りづらい箇所もあるからです。あるいはその時に作業効率的に一気にやってしまった方が良いとか。もう一つは、埃の塊があちこちに落ちたりもするわけです。するとその場合は清掃前の方が良いということになります。清掃後に実施する箇所はあくまでも清掃中に舞い上がった埃の堆積を可能な限り防止するだけの意味しかありません。

 

追記:

 清掃前とか清掃後とか変な言葉使いですね。ホコリ取りも清掃作業なのですから(-。-; で、ベッドメイク前半と後半というくらいに考えるといいと思いますけど、後半にする掃除機がけより前なのか後なのかという問題はありますが、埃取ってできた塊が落ちることを考えれば掃除機掛け前がいいだろうし、埃が目立つ箇所を無くしたいのであれば掃除機かけより後ということになろうかと。要は、ベストなタイミングでのホコリ取りがいいのではないか、という一つの提案です。一回で済ませたいところではありますが、一回ではベストな埃取りは無理じゃないかと思います。

 

 

他にも、鏡などに付着した水垢問題や、トイレの清掃をしっかりやるにはどうすればいいか、鏡やガラス面の手垢など、様々な清掃ポイントもありますが、ただ清掃員に「しっかりやれ!」では対策にはなってないと思います。対策とは対策前と対策後で効果がはっきり現れないといけないし、対策後には継続して同等もしくはそれ以上のレベルを維持していけるようになってないといけません。

 

人手不足の世の中であり、客室清掃はただでさえ不人気職種なので、口頭指導ばかりがエスカレートして軍隊方式になっては労働者が寄り付かなくなってしまい、自滅の恐れが高くなってしまいます。なので、知恵を絞ってそうならないように、出来る限り科学的に考えて合理的に、効率よく対応策を捻り出さなければなりません。

 

少なくとも私はそう思います。

 

 

フロントさんだって同じ人間。でもこっちだって同じ人間だ。

辞めた会社では、入社、初出勤のその日のその朝に「今からホテルに行って欲しい」と言われ、電車に揺られて三十分ほどのところにあるシティホテルクラスのホテルで研修、と言うよりはベッドメイカーをやらされました。

 

ビルメンテナンス会社なんて訳も分からず、何も知らずに入社したので、新鮮ではありましたが、ここまでハードワークだとは・・・と思ったのが懐かしい。いや、ホテルなんてある意味究極の肉体労働的な分野ですから、客室清掃がそこそこ特殊なんですけどね。一ヶ月で10キロ痩せました(笑)

 

要するに人手不足だったのですね。ともかく、そこで一ヶ月ほどベッドメイクの日々。ベッドばっかりですよ。それで、ものすごくベッドが綺麗なメイクさんが一人おられまして、今でもあんなに綺麗にベッドする人は見たことないんですけど、どうにかしてそのレベルに近づきたいと必死でやりましたね。今で思えばあのメイクさんが運命の出会いだったのかもしれません。モンゴルからの留学生の人だったんですけどね、あそこまでパーフェクトなベッドはまず目にすることはないでしょう。世界中のホテル探してもほとんどないでしょうね、きっと。そこ、大したホテルじゃないんですけどね。

 

えっと、それで本社で色々やってても、「あいつはホテルが合ってるらしい」と変な評判がたちまして、ホテルの人員不足になると決まって私が応援に行かされまして、最後は二年間と少し現場責任者やった訳なんですが、それまではフロントさんって「怖い」ってイメージがずっとあったんですけど、やってるうちにそれは仕方ない部分もあるんだなぁと少しずつわかってきました。

 

清掃を業者に委託してるってことは、基本、フロントさんは手出しできないんです。だから口を出すんだと(笑)。なんたって直接お客さんから怒られるのはフロントさん達です。でも、自分たちフロントでやったわけではないことで怒られるので、清掃に腹をたてるのも無理はありません。お前らがちゃんとやらないから私たちは怒られてるんだぞ、お前らのために怒られてやってんだぞ、と。

 

あるいは、ホテルのその上層部からもなんとかしろ!と怒られる。ところが、現場のフロントは委託業者にやらせる以外に方法がない。口出しするしか方法がないわけです。基本的にはね。ある意味、かわいそうな立場に立たされてる人達だなぁ、なんて思ったりします。ただ、私が責任者やったそのホテルのフロントさん達は、つか当時の支配人の方は、なんとか良くしようと言う気持ちの強い方でして、口出しだけじゃなくて、その先にある、具体的な対策のようなことを求められる人でしたので、こっちも頭使って考えることを必要としました。

 

そりゃ厳しい人でしたけど、そうやってこっちも努力していると、そこは認めて下さる方だったので、ある意味、楽しく仕事出来たのです。まぁ、稼働率がクソ高くてホテルも儲かっててCSやサイト得点なども高いので、その面では安心してらっしゃったのかもしれませんけど、頑張らせてくれた、と言う言い方は変だけど、あの支配人がいたからこそやりがいがあったとは言えますね。ほとんど褒めてはくれませんでしたけどね(笑)

 

あと、支配人を含め、フロントさんスタッフとの風通しも非常に良くて、結構仲よかったです。ああいう空気はなかなか他のホテルではないような気もします。だからこそ辞める間際ぐらいにはあのホテルが好きにになってて、後ろ髪引かれるような気持ちになったのかもしれません。仕事ですから、なぁなぁにならないよう、出来るだけ一線は引いてましたが、極端な話、少々のミスは「そういうこともあるよね」と思ってもらえてたと思います。

 

そこなんですよね、大事なのは。人間なんだからミスをすることもある、って。一生懸命やっててミスをする分には、ミス自体はいけないことだとしても、その反面である程度は仕方ないと思ってて欲しい。割と、まだまだ無茶を言うフロントの方も結構いらっしゃるようで、要するに「お前達に任せてるんだからしっかりやってもらわねば困る、金払ってんのはこっちだぞ」みたいな態度を取る方もおられるんです。それは違うだろ、と。お金払ってんのは宿泊利用されるお客様じゃないかと。

 

同じホテルの屋根の下で働いているのだから、私としてはそう言う認識を持ってもらいたいのです。それで一緒に頑張りたい。だからこそ、フロントさん、ホテル側の人に言いたいのだけど、差別すんな!と。いまだに「清掃のおばちゃん」扱いする人もいるので、そういうところにはムカつきます。清掃の側も、そういう扱いをされていることにもっと苛立って欲しい。私個人は、そういう考え方を改めない人たちを見返してやりたいとすら思ってます。

 

・・・・・え? で、お前は今、仕事、何をやってるんだって? すみません。それはまだまだ言えませんm(_ _;)m

 

『ホテル 客室清掃 人手不足』でググってみた。

既にお気付きの方もおられるかと存じますが、このブログのタイトルと宣伝文句を変えてあります↑。

 

いちばん最初につけたタイトルは『過労死するかもしれないとあるホテルの現場責任者』だったかと思いますが、本当に過労死するかと思うくらい責任者になりたての頃はきつい思いをしました。最初の頃は責任者ってそんなもんなのかなぁと漠然と思ってましたが、実際にやってみるとそうではない事が徐々にわかってきました。

 

悪いのは誰かと申しますと、ホテルが直でパートさんなどを雇って客室清掃されている場合は除きますが、受託して請け負っているビルメンテナンス会社などの清掃会社です。「人手を入れて回せばいい」としか考えてない会社が非常に多いようです。そうした会社の多くは割りとすぐに撤退します。客室清掃を舐めてかかってるんですね。

 

私の勤めていた会社もそんな考え方でしたが、その会社にとっては売り上げだけは大きいので撤退するつもりはないみたいですけどね。でも偽装請負やってるって話は前にした通りで、酷い話です。

 

とにかく、人を入れて回せばいい、だなんて考えてるから現場が劣悪になるのです。私は、それは結果の話であり、そうするには職場環境を、働く人にとって可能な限り良好なものにする必要がある、と考えました。そうする事で、酷い人手不足でもどうにかこうにか回すことのできる土台が作れるだろう、と考えました。それでもかなりきついものではありましたが、私が過労死など考えないようになる程度にはうまくいったわけですね。

 

これはものすごく単純な話で、みんなで頑張ろうと思える職場じゃなきゃ、誰が頑張るか?ってことですね。ただでさえ肉体労働できついんだから、頑張ろうって思える職場じゃなきゃダメなわけです。そのためには、どう考えたって働いている人のことを単なる労働力としか考えないだなんてダメ。頑張るっていうのは意思であり「気持ち」なんだから、その気持ちに応えていかないとダメ。ダメダメ尽くしですけど、ともかくそこで働いてよかったと思ってもらわないとね。

 

でもそういう考えって、自分なりには正しいと思ってやってきましたが、実際どうなんだろうと思いまして、この記事のタイトルでググってみたら、一発目にヒットしてるサイトがなかなかいいこと書いてありましたので紹介。

 

hitokuru.atimes.co.jp

 

 

 

内容は読んでいただくとして、タイトルがいいですね。ホテルに限らず、いわゆる清掃員ってすっごく見下されることの多い職種です。先日も、私が結構気に入っている作家の小説を読んでたんですけど、多分無意識だと思いますけどその作家も清掃員を「清掃のおばちゃん」扱いしてるんですよね。アメリカなどでも割と職業蔑視されている職種なのですけど、アメリカだったらお客さんからチップもらえるのが普通だしね。日本じゃチップすらないんだぞって。

 

結局、客室清掃という仕事を非常に魅力のある仕事だと思ってもらわないと人手不足は解消の方向に向かわないと思います。そのためには、現場の自助努力として上記リンク先のように客室清掃員もホテルのスタッフとして平等・公平に扱う、なくてはならない労働力だと考えてもらうような仕組み作りが大切だと思います。

 

理想的を言えば、清掃を委託して別会社にやらせる仕組みそのものを無くして欲しいところですが、現実的にはそうもいかないと思いますので、まずは受託する清掃会社がもっと客室清掃のことを真面目に考えて取り組むべきだと思います。そうしなければいつまでたっても安かろう悪かろう→出来ませんでした→撤退します、が繰り返されるだけだと思います。

 

 

客室清掃あるある話

ホテル客室清掃関係者の皆様、というかこのブログをご覧になられておられる皆様、いかがお過ごしでしょうか?

 

私? 再就職はどうなったのかって? それは・・・正直に書いてしまうと、見る人が見たら完璧にバレてしまうので書けませんm(_ _)m

 

ただし、良い事がありました。前に書いたこの記事。

 

hotelsekininsya.hatenablog.com

 

の中で紹介した小説がなんと、1072作品中の6作品のみに与えられる入賞作品になりました! 書籍化の予定もあるそうです。暇だから書いただけなのに、どういうことなんでしょうか(笑)

 

kakuyomu.jp

 

人生何が起こるかわからないものです。仕事辞めてどうしようか、もしかしてうまくいかずにこのまま人生破綻して生活保護とかになったら? などと不安な日々を過ごしてたのに、こんなこともあるんですね。びっくりです。

 

ですが、天下の角川書店に多少なりとも認められたというのを良いチャンスと考えてまして、ホテル客室清掃をテーマになんとか小説できないのかなと模索中です。以前にこのブログでも1記事だけそんなのがあるんですけど、もっときちんと書けたら良いのになと思ってます。

 

さて、今回は客室清掃あるある話をいくつか。

 

鍵持って帰ったらダメでしょ!

客室清掃するには客室の扉を解錠しないと作業できないので、ほとんどのホテルでは客室の鍵を開けるためのマスターキーを清掃の方に貸し出します。色々なタイプのホテルがあるので、カードキーだったり、シリンダーだったりするわけですけども、これを清掃終了後に返却し忘れて持って帰っちゃう人がいるんです。そうなると、責任者はホテルに毎日まとめて返却しないといけないので、全部揃ってないとさぁ大変。誰だ!持って帰ったのは? ってなります。

 

一般的には貸出時にきちんと記録を取っているので、例えば四階フロアキーなら誰に貸し出したのかはすぐにわかるので、帰っちゃったその人に携帯電話に連絡するわけですが、これがすぐに出てくれない事がある。私の経験でも連絡つくまで延々待って、普通なら夕方6時には帰るのに9時まで帰れない事がありました。あるいは連絡ついて私物のバッグなどを探ってもらっても鍵はないという人がいて、「まさか紛失?」と慌てつつその人に戻ってきてもらって探させたら意外なところに置き忘れてたとかありましたね。私の責任者時ではありませんが、実際に紛失したこともあります。

 

とにかく、鍵の管理はきっちりやらないとダメなんですけど、実態としてはなかなか難しいこともあり、無くしたら大変な事になるとわかってても人間がする事ですからミスは付き物という完全解決は難しい話でもあります。

 

開けたらダメな部屋を開けさせるな!

そうやってともかく鍵を開けて部屋を掃除するわけですけど、開けちゃダメな部屋ってあるわけです。これもホテルによりけりで、フロントへの連絡など一切不要のインジケーターシステムを取っている場合や、フロントに電話でいちいち確認の必要な場合のあるホテルなどがあるわけですけど、清掃側が誤って開けてしまうのならばそりゃお詫びしないとダメでしょうけど、ホテル側が間違った指示を出す場合もあるんですよね。

 

こっちは、そりゃ一応ノックで確認はしますが、お客さんだって寝てる場合もあってノックに気づかないってこともあります。私、ホテル側の完全なミスで一日に2部屋も間違って開けさせられました。しかも2部屋ともお客さん素っ裸・・・。お客さん、めっちゃ怒りましたけど、ノックにも返事なかったらこっちは開けるしかないでしょ。まぁ、ホテルさんの方がお詫びしてくれましたけどね。あれはほんとヤメてほしい。

 

飲み物のコップは洗え! or 洗うな!

これも割とある話だと思います。連泊中のお客様が部屋に備え付けのグラスやマグカップなどを使用されるわけですが、しばしば飲み物が残ったままの状態になっている事があります。これ、洗うんでしょうか? それとも洗っちゃダメ? どっちの場合でも怒られた事があります。それで、ホテルによってはそういう時はどうするかという、注意書きなどを置くなどで対応してる場合も多いかと思いますが、・・・注意書きなんか読まない人も多いんですよね。

 

それで、分かってくれるホテル側の人であれば、「そういうこともあるよね」程度で済むんですけど、分かってないホテル側の人に怒られたりなんかすると、例えば取り決めで「基本的に飲み物のある場合は洗わない」となっていてその通りにしてお客さんに怒られたっていう場合だと、「臨機応変に対応できないあなたたちが悪い!」みたいに怒られてもこっちも気分が悪かったり・・・。ある程度はお客さんに怒られても仕方ないっていう割り切りは必要だと思うんですが。

 

というわけで今回は三つほどあるある話してみました。あ、本出たら買ってね!(笑)

 

ホテルのシーツなどは全交換すべきなのか?

またこんな記事がTogetterでまとめられていた。

 

togetter.com

 

まとめられている方の、@suzukyuin氏はツイートなどをさっと拝見した限り、いろいろな国に旅行されてらして、利用者としてホテルに色々な意見を持たれており、有料でそうした意見を読ませてくれるブログみたいなサイトも持っておられる。3,808円てクソ高い気がしますが・・・。

 

氏によれば、ホテルの客室清掃やってる人たちはサボる気満々で、部屋が綺麗に見えたら清掃をサボるのが当たり前の世界なんだと、極論すればそういうことらしいです。どうなんですかね? 私は主体的に関わったホテルは一件だけだし、他のホテルのことなど知りませんからなんとも言えませんし、一般的なことも言えません。

 

ただ、私の関わった限りでいうと、このブログでも何度か言及しているように、きちんと清掃させるってなかなか困難です。こうも人手不足だと、厳しく言って辞められるのも困るし、だからと言って手を抜かれるのも困るって話で、どうにかして自分のやった清掃というか仕事に対して、誇りを持って欲しいという気持ちで指導はしてました。

 

厳しくしなかったわけでもありません。みんなで協力して、いいホテルを作り上げていく一助になろうと、そういう雰囲気づくりって言うんでしょうか、そのために必要であるならば、結構厳しいことも言いました。例えば私がチェッカーに入った時などは、ベッドメイクが綺麗でない場合には必ずやり直しさせました。こんなベッドでは売りに出せない、あなたは何を考えてこんな酷いベッドで清掃を終えたなどと言うのか、たった一室ですらも、この部屋に泊まられるお客様はそれがこのホテル全体のイメージにしてしまうんだから、ホテルグループ全体のイメージの悪化にすら繋がる、それが今やネットで世界中に拡散されてしまう世の中なんだから、そこまで考えてやりなさい、みたいにかなり厳しく言いました。

 

正直な気持ちを言えば、Togetter記事みたいに言われて、それが一ホテルにとどまらず、世界中のホテルというものすべての現実にさえ思われかねないので、世界中のホテルでもしっかり清掃はやって欲しいものですけど、もちろん、そんなの無理です。現実は違うんです。ここでも暴露したように、トイレは洗わないし、バスタブはザラザラ、埃はきちんと清掃しない、掃除機の使い方もなってない、グラスはちゃんと洗わない、なんて日常茶飯事。もちろん、ちゃんとやる人はやりますので、やらない人もいるっていう話ですけどね。

 

私はこの現実について、よくお金の話をしますけど、それだけでは決してありません。安い賃金でもしっかり清掃する人はするんです。多分、私の責任者だったホテルでも大半のメイドさんは、どちらかと言えばそこそこしっかり清掃する人の方が多かったと思います。それでもまだ足りないとは私自身は思ってましたが、大変なんですよ、客室清掃って。単純な仕事ではありますが、決して簡単ではありません。ちょっと油断しようものなら即不備・クレームが出る世界です。

 

そうした緊張感が常にある客室清掃の世界で、またお金の話・人手不足の話しますけど、そうした中で頑張ってるメイドさんたちのことを思えば、多少の不満はあっても、労を労う気持ちの方が大きくて、不必要なまでに厳しく仕事させるなんて、私には出来ませんでした。そうしたしっかりやってくれるメイドさん達には感謝する一方で、あまり厳しくはしない方針が、いわゆる手抜き清掃をする人たちにも影響を及ぼしていたことは否定できません。だって、とにかく毎日与えられた全室を清掃しなきゃならない。一室たりとて落とすことはできません。多少の不備が出たって、クリアできないかもしれないという不安に比べたら屁でもありません。

 

内心では、そうしたしっかりやる人とやらない人に対する、不公平さみたいなところに対しては、忸怩たるものがありました。ずるい人が結構いるのも知ってたけども、そういう人に限って人よりも多く部屋数をこなしてくれてたりしたし、人手不足で、部屋数歩合制でやってる以上、厳しくは言えないんですよね。だからこそ、時給制+インセンティブ制度にすべきだって話も社内では散々しましたけど、結局は言い訳だけど、清掃単価が上がらないと出来ない話だし、ちまちま出来ることをやるしかなかったです。

 

さてそういう現実の話はさておき、シーツ交換の話。どうなのかなぁ、そりゃツインの部屋で片方しか明らかに使ってない場合などは一方しか交換しないってのは当然でしたけど、聞けば、使ってないアメニティですらも交換しちゃうホテルもあるんだとか。アメニティの場合は種類・数・セット方法を含めた話なので、出来るかどうかもあるし、ホテル側の考え方とかもありますから、ホテルで違うとは思いますけど、アメニティはともかくとしても、基本的に未使用ならば交換の必要はないと思いますね。

 

もっとも、未使用かどうかがわかりにくい危険性というのもあるので、交換した方が安全って考え方もあります。一度、タオルでそういう経験があって、誰が見たって使用したようには見えないのに、タオルの折りたたまれたその間に前泊者の私物が挟んであったとかあったし、最低限確かめておく必要はあるとは思います。

 

ただ一つだけ、指導で私はよく言ってましたけど、「お客さんをなめるな」ってことでしょうかね。結局、お客さんを舐めたような仕事をするからダメなんです。もっと怖がって仕事して欲しい。その気持ちだけで、シーツ交換しないで清掃を終わらせるなんて出来ないはずなんですけどね。でも、お金も貰えたらそれでいいっていう人も多いですから、なかなか難しいですね。

 

忘れ物について思うこと。

tugetter でこんな記事があり、はてなでもホットエントリーしてたので、私の目にも止まったわけだが。

 

togetter.com

 

ツイッターでも書いたけど、確かにね、ゴミ箱に入れずに放ったらかしにされてチェックアウトされてしまうと、ゴミ箱に入ってないものは忘れ物だ、とそう考える他はない、――というのがどうやら業界の建前。

 

まずそのことについて言いたいが、そんなわけはない。現実に働いてみたらいい。ゴミ箱に入ってないものを忘れ物で全て出す、なんて出来るわけないぞ。そんなことしたら、エゲツないことになる。とにかく量が多すぎる。もちろんそうじゃない場合の部屋の方もあるけど、とてもじゃないけど、ゴミ箱に入ってないものを全部忘れ物で出すなんて出来っこありません。

 

99%ゴミだし、99%忘れたとの申告もないのが現実です。多分、問題になりそうなのは1%よりも遥かに少ないです。だからそういうのは建前の話に過ぎず、現実には無理なのは少し考えたらわかる話で、実際に毎日忘れ物の取りまとめ処理してた私も、清掃終了後におろして来てくれる忘れ物でさえも、ホテルに無断で黙って捨ててました。見りゃわかるんです、そんなもん保管する意味などないって。もちろん確率的に絶対にあり得ないとまでは言い切れないけど、キリのない話でもあります。

 

当然、メイドさんが部屋で掃除してる時だってそうです。どんなに几帳面な人だって、床に落ちてるお菓子は捨てます。紙くずだって。なので、ティッシュペーパーに包まれてた入れ歯も一緒に捨ててしまい、面倒なことになったこともありました。そういうリスク込みで仕事する方が、クソ真面目にやるよりずっと効率もいいし、問題も最小化出来るのです。真面目にやりすぎると、どうでもいいようなことで、責任者側もメイドさん達を怒らなければならなくなりますし、解決方法みたいなことまで考えて行かなければならず、そんなの現場にとって一つもいいことなどありはしないのです。ホテルに怒られる時は怒られればいいのです。その方が遥かに楽なのです。

 

結構いい加減だと思われるかもしれないけど、忘れ物はあまりにもたくさん出てくるし、99%以上は結局捨てるだけだし、実際に忘れ物に分類されているものを見たら、知らない人は絶句するはずです。だって、それでも大半が脱ぎ捨てた靴下の片割れだとか、旅行でしか使わない歯磨きセットだとか、そんなのばっかりなんだから。ある程度適当にやってさえも、そんな感じなんだからね。

 

もちろん、お客さんがゴミは全部綺麗にゴミ箱に片付けてくれて、忘れ物は一切なし、というのが清掃側にとっても理想というのはあります。ただ、現場をやった私が見る限り、半数以上のアウト部屋は概ねそうなってたと思います。概ねそんなに部屋は散らかってないし、忘れ物もありません。だから、散らかった部屋が目立ってしまうのではないかとも思いますね。もちろん、かなり汚れてて苦労した経験も何度もありますけど、全体から見ればそういうのはほんの僅かです。

 

結局、同じ話になりますけど、苦労したら苦労する分見合うだけの何かが得られるのか? という話になります。単にお金だけの話ではありません。出来ることは出来る範囲でするけど、不必要なまでにきっちりやる必要もない、というのが私の考えでした。どのみち、どんなにきっちり仕事してもリスクは消えるわけではないので、それならばある程度のリスクを覚悟して、リスクコントロールの方に重きを置いた方がいいだろうと。例えば何かあった時の事後処理を迅速にかつ適切に行えるよう配慮を怠らない、とか。仕事していく以上、事件や事故が起こらないことなどあり得ないんだから。

 

で、トゥゲッターの話に戻りますけど、画像を見た多くの人が「大変そうだからしっかりゴミ箱に捨てて忘れ物の確認もしよう」と仰っておられるようで、現場の人にとってもありがたい話だとは思いますけど、現場の人はそれが仕事なのだし、仕事する側としては、そうしたリスクコントロールまで考えて業務に取り組むことが大事なのであって、お客さんにお願いなど不要だと思います。マナーはお客さんが自分自身で判断すれば良いことだし、押し付けることでもないかな、と。

 

そんな風に思いました。