ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

ホテルの客室清掃というお仕事について

このブログを立ち上げる切っ掛けとなったのは、ホテル客室清掃業務の現場責任者を務める私がはてなの匿名ダイアリ(いわゆる増田)に幾つか記事を投稿したらそれなりにトラバやブコメがついたので、ホテル客室清掃業務の色々な話を書いたらそこそこPVもあるのかなぁと思ったり。…それはないかw

 

業界の裏話みたいなことは、それが本当かどうか実際のところ疑問のあるものも多いし、本当はこうなんだ〜みたいなのは個人的には好きではあるけども、しかしながらそれを真に受けるのもどうかとも思う。それを書いた人にも考えがあったり、あるいはその人がそうだからといってじゃぁその業界なりの全てがそうだとは限らないし、あるいはまた嘘だって含まれるものも多いだろう。なにせネットはデマ全盛だからね。

 

というわけで、最初に断っておかなければならないのは、このブログで私が書くことの全てを事実や真実と思わないでほしいということである。特定はされたくないから事実を書いていても適当に嘘は織り交ぜるし、内容が一般的な話であってもそれが業界の全てであるとも思って欲しくない。ただし、記事に対して誠実さだけは保とうとは思っている。デマを広めようという気はさらさらない。

 

で、早速だけども、業界の一般的なことというのは意外に私は知らない方だと思う。例えば、ホテル客室清掃業務の大半は、ホテルがビルメンテナンス会社などに業務を委託している、と思っているのだけどその割合や実数などは全然知らない。あるいは細かい話で、メイドさんがベッドからバスルームまで一室を一人でしている方が多いのか、それともベッドメイクの人とそれ以外の清掃で人を分けているのか、あるいはまた何人かでチームを組んで一室ずつやっているのか、それらの形態のどれが代表的なのかも知らないし、私の知らない形態も多分色々あると思っている。ともあれ、繰り返すけどここに書く内容は私個人の知る範囲のことに限られるものであるということだけは覚えておいて欲しい。もちろん特定を避けるための多少の嘘も含まれる。

 

ホテルというのはざっと日本に約10,000軒くらいあるらしい(ちなみに旅館は概ねその4〜5倍程度)。客室数はおおよそ80万室くらいだったかな?、従って一軒あたりの客室数の平均は80室くらいなのであるけども、私が責任者を務めるホテルはその数倍の客室数があるから大き目のホテルということのなるのだろう。ともあれ、そのホテルで私は客室清掃の責任者を務めている。好き好んで責任者やり始めたのではなくて、私はとあるビルメンテナンス会社の社員なのだけども、急にやってくれと下命されたのでやっているだけである。それまではマンション管理したり、床のワックス清掃みたいな定期清掃班だったり、ロープ抱えて窓拭きしてたり、害虫駆除やったり、電気工事やったり、配管の面倒見てたりと、色んなことをしていた。もちろん、ホテルの応援でメイドさんとかもやったりもしていた。ビルメンなんてのは色んな資格がいることから技術職と思われがちだが、実際のところは便利屋みたいなもんである。私は特に職種に拘りはない方で、わりとやれと言われたら嫌がらずになんでもやる人間みたいだ。

 

それで、ホテルの客室清掃業務なんだけども、世間的にはメイドさんは体力的にきついーと思われがちな職種だと思う。「ホテル 客室清掃」でググってみるといい。きつくて一週間で辞めたとかそんな話がゴロゴロしている。確かにおっしゃる通り、体力的に優しい職種でないことは確かである。それは間違っていない。いないのだけど、それは一面的なものの見方でしかない。これは本当の話で嘘ではないと断っておくけども、うちのホテルで働いているメイドさんの数人は60後半の女性である。しかも、そのうち何人かは若い人よりも早く清掃をこなす。人によるけども、人間の適応能力というのは本当に驚くべきもので、正直、数週間程度やったくらいで「きつい仕事」というイメージだけで語って欲しくない(いやほんと、そのイメージがきつすぎるからか人手不足で困ってるんですよw)。

 

他のホテルではどうなのか知らないけども、僕は責任者だけども、そんなメイドさんたちの上に立つ立場上、もちろん厳しいことも言わざるを得ないけども、気持ちとしては頭が上がらないことも事実である。ほんとによくやってくれる。だから、帰りに挨拶に来るメイドさんたちには必ず「ありがとう」の言葉を欠かしたことがない。というより、いつのまにか自然と出てくるようになった。人数が足りない日が多くて、無理をお願いすることも多く、またホテル側からも品質などのことで色々言われるので厳しい指示を与えたりしなければならないこともしばしばあり、ほんとにメイドさんたちに感謝するしかない。

 

ところで、その一般世間的なホテル客室清掃業務のイメージには他にも待遇面での厳しさをいう人もいるようだ。私は他のホテルのことはあまり知らないのではあるけども、私の見聞きした範囲では、それはホテルによってそれぞれ違うと思う。例えばノルマ制にしているところがあったり、完全時給制のところもあったり、部屋数制のところもあったり、色々だと思う。これは、それぞれホテルによるとしか言いようがない。チームを組んで一室ずつ清掃していくような場合や、担当を分けて清掃していくような場合であれば時給制が適しているだろう。それならば、時間当たり清掃数があまり変わらないからだ。しかし、一人で一室清掃していく場合には時給制は適切とは言えない。何故なら一人一人のスピードが違うので、メイド全員を同じ時給になんかしてたら不平不満爆発するに決まっているからである。だからノルマ制や部屋数制もあり得てしまうのである。ただそれが労働基準法上、問題があるということはあるのだけども、労働量をきっちり部屋数で計れてしまうので、個人的には、一人一室清掃である限り、部屋数を基準とした給与体系がホテルメイドには適していると思う。

 

ちなみに、うちのところではノルマ制ではあるが、無茶は言わないし、メイドさんたち同士で部屋数を融通し合ってくれても別に構わないという制度にしている。ホテル全体として指定された全ての部屋が清掃できたらそれでいいので、そこがコントロールできる限り、柔軟にやってくれたらいい、と。

 

みたいに言ってるけど、正直な話、そういう制度にせざるを得ないお金の事情があるというのが本当のところなんだけどね。

 

ともあれこのブログの一記事目はこれで終わり!