ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

ホテルのほんとの裏話

最初に書いた記事で、裏話みたいなのはあまり好きではない、のようなことを述べた。例えば、ホテルには実は必ずどこか空き室があり、その日どうしてもその地で泊まらないといけなくなって、「満室です」と断られても、何らかの方法でその無理なところをお願いすれば泊めてもらえることは可能、みたいな話。こうした類の話は、私はあまり好きではない。如何にも私はホテルの裏話を知ってますよ~みたいな、そういうの。

 

いちおうこの例えばの話について述べておくと、他のホテルはどうだか知らないが、私が現場責任者をするホテルではそれはない。このホテル、常時全て売り切ろうとする。満室と言われればほんとに満室である。そもそも需要に供給が全然追いついていない観光地なので、部屋を開けておくだなんて無駄なことをするわけがない。重要顧客様の緊急の宿泊要請すら断っているのが現状である。

 

さて、これぞほんとの裏話というわけで、ホテルの裏側、つまり集客施設にはバックヤードというものがある(ないとこもある)のだけども、ホテルのバックヤードというのは、私の知る限り、大抵滅茶苦茶狭い。例えば、私が常時勤務している客室清掃の控え室は倉庫の一角、多分3畳半くらいのスペースしかない。一度テレビで帝国ホテルのバックヤードを見た事があるが、あんなクソ広いバックヤードは羨まし過ぎて仕方ない。

 

一般論として、ホテルは売るべきスペースを最大限取りたいからそうなってしまう。酷いところになると、バックヤードスペースそのものがないに等しいところもある。ビジネスホテルに多いけども、従業員用エレベーターすらなく、アメニティなどの在庫備品を外に設けた倉庫で管理している、みたいな所も見た事がある。フロントさんはどうしてるのかと思ったら、コンビニのバックヤードよりもまだ狭い、人が二人で身動きが取れなくなるくらいの狭いスペースでパソコン叩いてた。

 

消防法という法律は、よく知られているように、非常通路や階段をきちんと確保したり、あるいは可燃物を置いてはいけないスペースを指定していたりする。こうしたバックヤードの狭いホテルでは消防法がきちんと守られているところがどれ程あるのか甚だ疑問である。うちのホテルでは・・・・それはいくら私が特定されないように書いているからといって、ちょっとそれは言えないけどもねw。尤もお客様の万が一の事はちゃんと考えてはいるので御安心下さいw

 

とにもかくにも、ほんとに狭くて、備品類の置き場所にすら困る始末で、アメニティなどの在庫を余裕取りたいのにそれも出来ず、毎日在庫が足りるのか不安を抱えながらどうにかこうにかやりくりしているわけだ。とにかく常に最低限の発注量で済ませるほかないもんだから、こないだのシルバーウィークみたいにアメニティとかの工場が止まる期間に合わせて、期間的な余裕を持つ必要があるときには、その発注できない期間にいくらくらい減るか予測せざるを得ず、その予測だってお客さん次第で変わってしまうので、こないだなんかほんとにギリのギリで何とか間に合い、フロントに烈火のごとく怒られずに済んだ、みたいな状態。あれ、ほんとあと一日遅れてたら死んでたよw

 

さて、私は客室清掃業務をしているわけだが、その中の裏話というのをしてみよう。ベッドメイク作業というものがある。もちろん、ホテルによりけりで、色んなタイプのベッドメイク仕様があるわけだ。ビジネスホテルによくあるように、最低限のシーツ的なものだけのところから、布団カバーのない布団にシーツを組み合わせたものや、布団カバーもちゃんとあり、枕が何個もあったりするものなど、色々である。その中で、いわゆるシティホテルやそこそこ高級なホテルで一般的なのは、専門用語でデュベと呼ばれる布団カバーのあるタイプで、私のホテルでもそうである。このデュベは下側から布団が入れられるようになっていて袋のようになっている。

 

さて、普通のシングルサイズベッドを普通のメイドさんが、シーツ類全て外した状態から完成させるまで普通何分だと思われるだろうか? 私は最初やった時、今から考えると全然汚い仕上がりだったけど、ワンベッド組むのに10分掛かった。しかし、普通のメイドさんはこれを3分以内でやってのける。慣れとは恐ろしいもので、私の現在のスピードは2~3分。早い人になると2分未満でやってしまう。以前、二人でベッドメイクしている光景を別の業者さんのホテルで見学した事があるけど、確かキングサイズくらいだったと思うが、あんなの全然遅い。一人でやった方が全然早い。

 

ここで話したいのは、ベッドメイクのスピードではない。大変だー大変だー肉体労働きついー、と言われるような作業は、不思議なもので慣れてしまうとどんどんそのスピードが上っていく、という事実の方である。最初3室しか出来なかった人が一ヵ月後には同じ時間でその倍をやれてしまう。当たり前のように聞こえるかもしれないが、私はこれってすごいことだと思っている。しかも、最初より全然綺麗にできてしまう。人によって多少の差こそあるが、老若男女あまり関係ない。

 

ただ、稀にだけども、あまりにも上達しない人もいるにはいる。数ヶ月前、採用したある人はちょっと常識で考えてもありえないほど、最初から何事も遅かった。どんなにゆっくりやったって1時間でさえも掛かる筈がないのに、二時間かけてやっと。いっぱい手直ししないと売り物にならない状態だったし。で、一ヶ月経ってもまるで成長しないので、さすがに丁重に辞めてもらった(この深刻な人手不足、こちらから首にすることなどまずないのです)。あの人にはさすがに驚いたなぁ。

 

なお、ベッドメイク以外の客室清掃の手順って、特に家庭の掃除と変わるところはありません。埃取って、汚いところがあれば水拭きしたり、壊れているグラスがあれば交換したり、アメニティを揃えたり、ゴミを捨てたり、掃除機かけたり。だから、わりと誰でもそっこーで習熟出来る仕事なんだよね。覚えなきゃならん仕様とかはルールとかはあるけども、そんなには難しくないし。極端な話、お客さんからクレームが出なきゃそれでいいんだしw

 

とりあえず、今日は仕事帰りに現場からテキトーにブログってみた。ではまた。