ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

ホテルのシャワーカーテン問題。

溜息。

 
今日、ちょっと暇があったので仕事中は禁止されてるけど、私が勤めるホテルのネットでの口コミ情報を流し読みしてたんだ。
 
最近では当たり前のようにネットで口コミなんて書かれてしまうわけだ。トリップアドバイザーだの、楽天トラベルだの、じゃらんだの、グーグルにだってある。で、ホテル側だってもちろんそうした口コミをチェックしてるし、悪く書かれると当然気にするし、清掃がダメな事が書いてあるとこっちに注意もしてくる。
 
うちのホテルに対する清掃評価は、ありがたい事にそこそこ高めになってる。日々の苦労が報われるってもんだ。しかしそれはそれ、悪評価を具体的に書かれる時は結構辛辣なものもしばしばある。埃っぽかっただの、バスルームが臭かっただの、ゴミや髪の毛があっただの、酷いのになると「もう二度と利用しない!」とか。
 
まぁ、こっちだってそんなお客さん、二度と来なくていい。確かに厳しい目で指摘してくれるのは今後に役立つ情報を与えてくれたという意味では有難いし、貴重ではある。しかし、偽らざる気持ちとしてうるさいお客さんにはあまり来てほしくない。どうぞよそのホテルに泊まってください。お願いしますm(_ _)m
 
さて、今日その口コミを読んでいると、「シャワーカーテンが臭かった」というご指摘を見つけた。バスルームのバスタブとその外を隔てる為のシャワーカーテン。実は、これが結構大変で、おそらく殆どのホテルが苦労していると思う。
 
ホテルでは一般的にはシャワーカーテンは毎日全数交換なんてしない。やってるのは恐らく超一流ホテルの一部だろう。ではどうやってるのか…その前に臭くなる理由であるが、これはお客さんの皮脂よごれがカーテンに付着し、それを栄養分とする雑菌が繁殖するからである。
 
しかし、それをバスルーム内で洗う事は出来ない。何故なら、濡れてしまって乾かすのが難しいし、そもそもメイク中にきっちり洗うなんてできない。なので、洗って乾かしたものと交換するしかない。で、臭いカーテンを交換するわけだが、実は清掃時に臭ってなくてもその後に臭い始める場合がある。雑菌が繁殖するからだ。
 
だから、安全側を考えると理想的には全数交換がいいだろう。でもそれをしようとするとコストの問題が出て来るのだ。先ず全数交換するのだから最低限客室数と同じだけ予備を用意する必要がある。さらに一般的ホテルでは洗濯物を外部業者にさせているから、その洗濯代が発生する。シーツ等の交換はホテルの常識として原則として全数交換せざるを得ないが(だからといって未使用のものまでは交換しないよ)、シャワーカーテンが実際に臭くなる数はおそらく一割にも満たないかその程度と考えられるので、それでその分のみを交換するというわけだ。
 
でも、前述したとおり、清掃時に臭ってなくてもその後に臭い始めるというシャワーカーテンがあり得てしまう。これが厄介なことに予測がつかない。例えばローテーションでも決めて交換していくと言う方法が考えられるが、シャワーカーテンが臭うのはお客さんの使い方によるので、ローテーションどおりにはならない。こちらとしては出来る限り雑菌を繁殖させないよう、可能な限り乾かす事に努めるが、それでも少量の水分が残っていたり、バスルームを使用されることにより濡れて微量に残っていた雑菌が繁殖し始めて臭うという事がある。極端な場合、前日に交換したにもかかわらず翌日に悪臭を放っているカーテンだってしばしばある。
 
ほんとにシャワーカーテンは難物であるのだ。しかも、シャワーカーテンの種類にもよるけども、濡れることにより、他の臭いを吸収し、バスルーム内を臭わせる原因ともなる。例えば排水口の悪臭や併設されているトイレの悪臭など。全く厄介な代物なのだ、これ。消臭剤を散布して誤魔化すとかそういう方法もないわけではないが、私の現場に限っては今のところ消臭剤もあまり効果がなさそうである。
 
臭い関連で言うと、嗅覚には個人差があるというのも困ったもので、我々清掃側の人間には全く臭わないのにお客さんがクレームつけるって事がある。これ、別にお客さんが難癖つけてるのではなくて、実際に臭ってしまうからだとは思ってはいるが、バスルームの話に限定するけど、清掃中は当然バスルームのドアを開けてやっているし、洗剤などの臭いもあるし、清掃後バスルームのドアを閉めてから後で徐々に臭いがこもってしまう、ということなのではないかと推測するが、だからっつって全部屋を何時間も清掃完了してから臭いを再度チェックなんて出来るわけもない。換気の問題もあるとは思うけども。
 
ともかく、臭い対策というのは非常に厄介な話なので、こちらとしては結構大変なのでございます。