ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

事件はホテルで起きている。

ちなみに「踊る大走査線」は大っ嫌いだ。あれが面白いと言う感覚がどうしてもわからない。あんなのより、ラッセル・クロウ主演の「L.A.コンフィデンシャル」の方が一万倍面白い。ネット配信でやってくれないかなぁ。

 

ホテルでいつもどきどきするのは、バカみたいだが、客室のドアを開ける瞬間である。もしかして人が死んでいるのでは?、とどうしても考えてしまうのは私だけかもしれないが、可能性はゼロではない。無論、そんな状況に出くわした事はこれまで一度もないが、どんなに慣れても、どうしてもドアを開けるときだけはドキドキしてしまう。

 

他の人に話を聞くと、そんな想像はしないものの、ドアを空ける瞬間が一番緊張すると言うのは大体みんな共通している。開けて見るまで分からぬ部屋の状況。ノックをしチャイムを鳴らして「失礼しまーす、客室清掃係でございまーす」と開ける前に耳をそばだてて中から音がするかしないか確認し、開錠してそーっと開けるあの瞬間。99%特に変わらぬ普通の光景がそこにあるだけなのだ。お客様はいない、多少部屋が汚れている・・・そんな感じ。

 

だが、例えば、しっかり確認してお客様がいない筈なのに、たまにお客様がいらっしゃる事がある。グーグー寝てるとか、シャワー浴びててこちらの挨拶やノックを聞いてなかったりだとか、色々だ。システム的に、大抵のホテルではある程度はお客様の在・不在は確認出来るのではあるが、実際にいらっしゃるかどうかは開けないと分からないのである。

 

私は2回ほど、背筋の凍りつく体験をしている。一回は、誰も返事しないし、おそらく誰もいないだろうと普通に開けると・・・・刺青の背中をこちらに向けた男性がいた、というものである。そして、その男性の向こうには床カーペットに土下座をしている若い男性が、という光景。その刺青男性は首だけを僅かにこちらに向けて、

 

「すまんのぅ、掃除はもうちょっと待ってくれや、悪いな」

 

その男性がかけていたサングラスがきらっと光ったような気がした。私は冷や汗を流しながら後ずさりするように静かに退出した。あの光景は一体なんだったのか? 彼らの関係は? 当然何も分からず仕舞いだったけど。なお、お部屋自体は比較的綺麗にお使いでして、掃除の手間はそれ程掛かりませんでしたw

 

もう一回は、同様に誰も返事しないし、システム的には先ずお客様は在室していないであろうと判断できた状況で、にもかかわらずお客様がいらっしゃったという事件である。いや、それ自体はまぁないではない。しかし、まさか、まさか、夏の真っ盛りでエアコンもかけずにクソ暑いお部屋の中で、男女が布団の中で絡み合っているとか、想像の域を超えていた。なんとまぁ、ベッドの傍まで行ってすらそのことに私は全く気付かず布団を捲り上げようとして手を伸ばしたのである。寸でのところで、布団がもぞもぞ動いたのと女性のあの声が聞こえたので、私はその姿勢で固まってしまった。あんなに肝を冷やしたのはない。いやもうね、お前ら勘弁しろ、とw

 

その後わりとすぐに、男性の方が部屋から出てきて、普通に「僕らすぐに出かけるんで掃除お願いします」と直接仰られたのには、普通に返事はしたが、多分私は妙な表情をしてたと思うw

 

まぁね、ホテルだからね、男女がお部屋で絡み合うことは当然あるわけだし、ゴムとか色んな器具とかお部屋にあるのもそんなに珍しいことでもないし、明らかに生理中にやったとしか思えないベッドの惨状にため息付きつつムカつくことも多いし、まぁでもお仕事ですからそれはそれで仕方ない。扉の向こうから喘ぎ声とか聞いたのも何度もあります。もう慣れたので特になんとも思いません。でも、30度をゆうに超えるクソ暑い夏の真っ盛りの昼日中にエアコンもかけずに布団の中で乳繰り合うなんぞありえんだろwwwあれ気付かずに布団引っ剥がしてたらどうなったんだろ?www

 

あと、これはホテルならよくある話だとおもいますが、開けちゃいけないのに間違えて開けてしまいお客さんがお着替え真っ最中のところだったりして、むっちゃくちゃ大クレームを出してしまい平謝りしたことも何度かあります。いわゆるDDカード(お部屋に入らないで下さい)がドアノブに掛かっているにもかかわらず、オイラはやってしまいましたw

 

どうぞ絶対開けられたくない場合は、内側からの確実な施錠(ドアチェーンとかね)をお勧めしますw