ホテル客室清掃責任者というお仕事

とあるホテルに客室清掃責任者として常駐しています。毎日クソみたいに忙しいです。お暇を誰か下さい。

ちょっと連載小説を始めようかなと思い立ったので書く。タイトルはまだないw

第一話「開けてはいけない引き出し」

 

「御崎くーん、次の部屋は2号室でお願いね」

 

と、フロアチーフの山本さんが客室のドアを開けて僕に指示を出した。

 
くっそ・・・2号室ってさっきまでDDカードだった部屋じゃねぇか。15:00過ぎたら清掃しないでいいからって思ってたのになぁ。
最後の仕上げに、掃除機を使ってたはずの別の人が清掃してる部屋にその掃除機を取りに行くついでにふと2号室を見ると確かにドアには「清掃して下さい」のカード。
あーあ、今日はちょっと早く帰れるかなと期待して、いつもの遅めの昼食を松屋で定食でも食おうかと思ってたのに、それも無理か。
掛け持ちの塾のバイトが間に合わないもんなぁ・・・、塾の授業計画書まだ出来てないし。
 
「どうしたの? 御崎君溜息なんかついてさ」
 
通路をすれ違ったチーフの山本さんが怪訝そうな顔で僕を見る。
 
「だって、あの部屋DDで終了かと思ってたんで」
「あれぇ?御崎君は自分で15:00まで待つって言ってたんじゃなかったっけ?」
 
・・・確かにね。だって、他のメイドさんは早く帰りたい人ばっかりで、俺も帰っちゃったら山本さんがやらなきゃならなくなるし、可哀想かなぁと思ってさ。
それに・・・・山本さん、このホテルじゃ一番可愛いチーフさんだし、個人的にタイプな人なんだよね。年は俺より10上だけど、チーフでは一番若い。
 
「それはそうっすけど、やっぱ15:00回っちゃうとアレだし」
「あ、そうだったね、確か掛け持ちのバイトしてたんだよね? じゃぁ私が変わってあげようか?」
「いえいえ、大丈夫ですよ!自分で言ったんだからきっちりやります」
 
僕はそう言うと、掃除機を片手に部屋に戻ろうと歩き出した。
 
「あー、そうそう、2号室ね、さっき部屋の中見たら結構お客さんの荷物が多くて。あとで一緒に入るけど、気をつけてお掃除してね」
 
・・・ぐぅ、マジかよ、ステイだからさっさと終われるとか思ってたのに。
 
掃除機掛けを終えてその2号室のドアを開けてもらおうと、別の部屋をチェックしてる山本さんに声を掛けた。
 
「チーフ、2号室開けて下さい」
「あ、御崎君、ちょうどよかった、ベッドの下のゴミ取ってくんない?私じゃなかなか手が届かなくて」
 
僕はその声にその部屋の中に入ってちょっとドキッとした。
だって、山本さんの格好が・・・・なんつーかその、カーペットの上に四つんばいになって上半身はベッドの下に腕を伸ばしてるもんだから、そのお尻が。
 
「もう!何ぼさっと突っ立ってんのよ!このエロ餓鬼が!」
 
低い濁声でしかしドスの聞いたその口調で僕は我に帰った。
 
「ああ、ベッドの下っすよね? 僕が取りますんでそこ退いて下さい」
 
ベッドの下を見ると、お菓子の袋みたいなゴミが落ちていて、僕が手を伸ばしても届くかどうかのところにあった。
・・・でもふと思う。ここってホテルなんだよな。そのホテルの客室に男と女が二人きり。しかもその女である山本さんは俺のタイプ。で、この状況は何だ?ベッドの下のゴミを一生懸命取ってるだけってさ。なんかちょっと悲しくなるよなぁ。
 
「取れましたよ」
「ありがとね。じゃ、2号室いこっか」
 
山本さんにその2号室のドアを開けてもらうと、中からほのかに香る香水のような匂いがした。
 
「そうそう香水臭っぽいんだよね、ここ。今日はステイだから別にいいけど明日のこともあるから窓はちゃんと開けてお掃除してね。あと、バッサバサ忘れないでね」
 
バッサバサってのが、巻き込みを防ぐ為の呪文になってるよな、ここのホテル。昨日も誰かメイドがお客さんの私物を回収したシーツに巻き込んじゃったって朝礼で言ってたっけ。俺もそういや、確かここに勤め出した二年前にテレビのリモコン巻き込んじゃって結構怒られたよな。
 
…つか、もう2年か。早いなぁ。
今年の教員採用試験、絶対受かって、こんな激安バイトからさっさと足洗いてぇ。去年までは、この仕事で疲れ果てて勉強出来なかったけど、流石に最近はそんなに疲れないから結構勉強も出来てると思うし。
 
とにかくさっさと終わらせて、とっとと帰ろうと、巻き込みをしないように「バッサバサ」、つまり布団を数回大きく振って、念のためベッドの中に私物がないかどうか確認するための作業に取り掛かった、その時だった。
 
ヒラヒラと小さな紙切れが宙を待った。
 
「やっべぇ、紙切れ一枚だってクレームになるからちゃんと取っとかなきゃ」
 
実際、たかが紙切れ一枚の紛失でかなりのクレームになった、というのを聞いた事がある。
僕はカーペットの上に舞い落ちたその紙切れを手に取った。
 
「いつもお掃除ありがとうございます。あと3日ほどここにお世話になります。あと、お願いがあるのですが、机の引き出しは開けないようにお願いします」
 
それは備え付けのメモ用紙で、結構丁寧な筆致でそう書かれていた。
 
ふむふむ、机の引き出し開けるなって事は、中の備品とかも確認しなくていいってわけね。ちょっとラッキー。よく怒られるんだよな、入れとかなきゃいけない案内用紙とか忘れたりしてさ。
 
その後、その私物の多い部屋でテキパキとベットメイクし、バスルームもさっさと終わらせて、掃除機かけたりとか色々しつつ最後の確認をして、そろそろ部屋を出ようかなと思った時、何気にその開けてはいけない引き出しに何故か視線が止まった。
 
「開けちゃいけない…でも、開けたって閉めときゃバレないよな」
 
辺りを見渡して誰も見てない事を確認しつつ、少しドキドキしながら僕はその引き出しをそーっと開けたのだった。
 
〈続く〉
 
追記:ネタがない時は連載小説っぽいのでも書いてみようかなと思っただけです(^^;
  続きは書くのでしょうか?書かないのでしょうか?それは分かりませんwww