ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

忘れ物と悪魔の証明

わー、めっちゃサボってたwww

 

記事の更新をしてなかったのは、単にサボっていただけの事である。前記事の続きを思いつかなかったからではない(思いつきで書いてるのバレバレw)。しかし、忙しいのは相変わらず忙しい。人も相変わらず足りてないし、不備だって出て怒られるし、現場の人間関係諸々、相も変わらず毎日大変である。

 

唐突だけど、非常に個人的な話だけど、そもそも私はとあるビルメン会社の社員であり、次期現場責任者候補に引き継ぐまでの中継ぎである。たまたま、前の現場責任者が唐突に辞めることになって、現場責任者が可能なのが私しかいなかったから、私がやっているだけのことだ。しかし・・・・本音を言うと、もう一年弱もこのホテルにいて、仕事はそれなりに頑張ってやってきたし、決してつまらない仕事ではないのだけど、飽きたw

 

もう一度言うが、私は社員であり、そりゃ社命であれば可能な限りなんでもするけど、同じ仕事をずーっとしたいタイプではない。職種は同じであってもいいけど、1つの現場に張り付いて毎日が同じことの繰り返しというのは正直、退屈以外の何物でもない。いや、毎日忙しいから実務という意味では決して退屈ではないのだけど、気持ち的・精神的には退屈で仕方がない。それもあって、業務の細かいところなどを色々と変えたりしてきたわけだ。だけど、それにも限界がある。また、あまり変え過ぎると回りが付いて来れなくなってしまう。現場というのは出来るだけルーチンワーク化の中で動かすべきなのだ。基準というかさ、そこは流石に変えられないということは山ほどあるわけだ。例えば、客室の中の配置を勝手に動かすことは出来ない、とかさ。

 

でもそれなりに、色々と変えてきた。前にも書いたように合理化・効率化、或いは朝礼やるにしても以前よりはずっとマシになったと思う。短い時間しか朝礼時間は取れないけど、その中で必ず毎日違った事を言うとか、色々とね。でもそういうのを、8割方くらいだとは思うけどやり尽くした感じがしてて、これ以上やっても特に大きな意味もないだろうし、次の責任者がその部分は変えていけばいいと思うし。それに、私の立場はどうしたって中継ぎだから中途半端にしか出来ない。出来る限り、次の責任者が困らないようにはするつもりだけど・・・・・と、しかし、どうしても1つだけなかなか困った問題があって、それだけは少しでも改善したいとは思っている。

 

それは「忘れ物」問題だ。何故これが困った問題なのか。

 

忘れ物というのはゴミや巻き込みなども含む、こちらが回収してしまうお客様の私物の事である。いや、実際にはそこは困った問題ではない。実際に回収してしまったのなら、必ずどこかから出てくるから、そこは別にいいのだ。問題は、実際には存在しない時がある、ということなのである。

 

例えば、いわゆる顧客扱いになってる頻繁にホテルを利用するお客様がいて、一見して良心的な印象のいいお客さんがいたとしよう。そのお客様があるものを部屋に置き忘れた、とでもホテルに申告したとしようじゃないか。当然忘れ物やゴミ、果ては巻き込みまで捜す必要がある。でもどこからも出てこない・・・・なので、お客様に「探しましたが見つかりませんでした」と報告がなされる。そこまではいい。そう、実際にお客様の勘違いか何かで存在しないことだって当然あるのだ。

 

だが、存在しない事は厳密に言うと証明できない。いわゆる「悪魔の証明」って奴である。

d.hatena.ne.jp

 

ここにはアイルランド全土とか広大な土地の事が書いてあるが、それより遥かに狭いホテルだって実際同じである。探す為の労働力や時間は限られているのだ。

 

実は、最近フロントに無茶苦茶厳しいお叱りを受けたのである。特定は困るのでちょっと事実を変えてお話しするが、そのお客様の失くした物はロレックスの腕時計だった。客室内はもちろんゴミを含め巻き込みまで探し、クリーニング業者にリネン類を出してからもそのクリーニング業者に再度探してもらった。だがどこからも見つからなかった。なのでホテルはそのお客様にやむを得ず「ありませんでした」と報告するほかなかった。ところが・・・・その三日後見つかったのである。何処から?

 

誰もが想像もしなかった、リネン類を収めている倉庫から見つかったのである。一体全体どうしてそんなところにあったのか? どう考えても、客室→ゴミまたは回収したリネン類以外のルートはあり得ない。その途中に倉庫があるはずがない・・・と思っていたら、あったのだ。というかあったと類推する他ない。というのは、回収したリネン類をメイドが一旦保存する為リネン袋のあるところまで持っていくのだけど、倉庫はその手前にあり、おそらく、回収したリネン類を持っていくその途中で巻き込まれていた腕時計が転げ落ちてその倉庫に入ってしまい、しかも、これまた見つけ難いところに挟まってしまったのだ。

 

実はホテルに報告すべきかどうか一瞬迷った。一旦「ない」と報告してしまったものを、「あった」とはなかなか報告し難いのだ。しかしモノはロレックスの高級腕時計。報告しましたがな。会社まで含めて大問題になりましたわな。「君は全て探したと言ったはず。普通の忘れ物ならともかく高級腕時計だということを認識してたのか!」みたいな。始末書も書きました。とほほ(そんなもん分かるわけねーだろ!と内心ほんと嫌になりながらね)。

 

で、この事例の解決策、つまり二度と同じことを繰り返さない対策は一応出せたんですが、実際のところはそれ以外にも悪魔の証明になる場合はいっぱいあるのです。例えば客室内の探し方に問題があって、隈なく探した筈なのに探しきれていなかった場所から出てくるとか、或いは部屋番号を分かるようにしているゴミであっても、その部屋番号を間違ってるとか、メイドが出来心で盗んでしまうとか、もうね、色んなケースが考えられてしまうので、実際のところ「悪魔の証明」になる事案はめっちゃ難しいんですよね。

 

宿泊約定には一応、宿泊契約としてお客様とホテルとの間に、お客様が忘れたものについてはホテルは一切責任は取らないという免責事項は必ず書いてあるのに、やはりサービスを売る側としてはそういうわけにもいかないという。ホント困ったものです。

 

今日もたんまり忘れ物出ました。つくづく忘れ物はしないで欲しいと願うばかりなのでございます(笑)