ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

客室清掃現場責任者にとって大事な契約書について。

過去にこんな記事を書いてますね、私。

 

hotelsekininsya.hatenablog.com

 あるいはまたこんな記事も。

 

hotelsekininsya.hatenablog.com

 

でももしかすると、もっと大切な事があります。客室清掃現場責任者がしっかり頭に入れておかないといけないこととして。 

 

 業務委託契約で外部業者が客室清掃業務を請け負っているような場合は特に、客室清掃全般の業務内容は契約書に付随する仕様書に定められています。当然のことながら、仕様書に定めのない様々な細かい業務も、業務を実施していく中で発生していくわけですが、何れにしても契約の仕事であり、法的な責任という事を考慮すれば、仕様書を基本としてそれに準じた形で仕様書に定めのない部分まで考えて行く必要は絶対にあります。それ故、契約書・仕様書といったものはしっかりしたものを作成して発注側・受注側が十分認識しておくというのはどの仕事であろうと当然の話なのです。

 ところが、往々にして契約書や仕様書がずさんだったりする事もしばしばあるのが日本では多い、とよく聞く話で、なんと、私の今やってる当のホテルとの契約書には仕様書がありませんでした(えーーー!?と書いてても驚く話w)。多分前業者からの引継ぎなので、同じようにやってくれたらそれで良い、みたいなえーかげんな考えだったのでしょう。でも契約書に「業務内容は別途添付仕様書に示す」のような事書いてあるじゃないか、と。

 ホテル側でも問題になったので、時間がなかったのでやむを得ず、私が仕様書書きました、貴重な仕事時間削ってね。たかが現場責任者が大事な大事な契約仕様書を書くとか、しかも本社の確認もなしってどういうこっちゃ? まー私は本来は本社社員だけどさ、上司に問い合わせたら「そっちで勝手に作っておいて」だって・・・。

 

 これね、法的な問題が発生した時に、決定的な部分になるのが契約書なのでめっちゃくちゃ大事なんですよ。例えば、仕様書に記載のない作業をホテルから指示されて実施した時に、何かホテルに損害を与えてしまったとしたら、一体どっちの責任になると思います? もちろん契約書には通常、「記載のない事項については甲乙協議の上・・・」のような事が書いてあるんですけど、それでも揉めたら? ってことになりかねないわけです。だから可能な限り業務内容の子細を仕様書に落とし込んでおく必要があるわけです。

 

 ちょっと話したいことから脱線気味になりましたが、一言で言えば、契約書をしっかり頭に入れておきましょう、ということになります。もし、あなたが客室清掃責任者をやっている現場に契約書や仕様書がないのであれば、会社にお願いしてコピーをしっかり貰って下さい。

 

 とにかく日本の商慣習って、見積書・発注書・請求書だけで仕事するって事が頻繁に行われており(それすらなく銀行振込みだけで完結するって言う極端な例もかなりあります)、だから本来契約上の受発注関係でしかないのに、お金出す側と貰う側という主従関係が暗黙のうちに成り立って、そういういい加減な商慣習が「お客様は神様だー!」みたいな思想が蔓延ってしまう元凶になってるんだと思います。

 

 で、仕様書外のことをする事も多いとは思いますが、責任者は契約書の内容をしっかり把握しておく必要はあります。大事なことは、主従関係ではなく契約関係として仕事をしているという認識です。契約外だからあれはする・これはしない、ってことではありません。この辺を誤解している人が多くて、私が今の会社に入社したての頃に、とあるショッピングセンターの清掃責任者が「高さ1.8m以上のところは契約書に書いてないからやらなくていいんだ」と、きっちり壁の1.8mのところまで清掃して上は放ったらかし、だったのが忘れられません。当時はよく分かってなかったので「そんなもんなのかなぁ?」と思ってただけですが、趣旨は「脚立などを使用した作業は日常清掃には含まれない」ってことでしかないんです

 

 だったらそう書け!てのもあるけど、そんなね、契約書だってどんなに頑張って書いたって曖昧な部分は残ります。つーか、常識で考えろよ、と。壁の高さを2.4mとすれば、床面から1.8mまでは清掃しておいて、残る上部の60cmは汚いまんまとかおかしいだろ!・・・ってくらい妙な箇所があったんですよ。そりゃ、1.8m以上の部分をトータルで清掃するってんなら別契約で特別清掃でやるべきなんでしょうが、たかが2m幅範囲の箇所で下はヤニ汚れが綺麗に取れてて上は真っ茶ってどうなのよ?・・・杓子定規にも程がある!みたいな。そんなもん、1mくらいの低い脚立でささっとできるだろーがw

 

  でも、可能であればそうした細かい部分も契約書・仕様書に落とし込むべきではあるんでしょうけどね。現実にはそこまで細かく仕様書に落とし込まれてない事がほとんどなので、その辺は話し合うとか常識などを踏まえてやっていくしかないってことでもあります。何れにしても、繰り返すようですが契約書が基本です。それはそれとして、受発注双方で助け合い協力して仕事を進めていく事も大切ではあります。ホテルなんてのは特に何が起こるかわからない部分も多いので、当然契約書に縛られてたら仕事が進まない事もありますからね。

 

 ただ、決してホテルとは主従関係ではないということはしっかり認識しておく必要はおおありだと思います。