ホテル客室清掃責任者というお仕事

とあるホテルに客室清掃責任者として常駐しています。毎日クソみたいに忙しいです。お暇を誰か下さい。

不備は邪魔。

さて、私が客室清掃の現場責任者になって二年あまり、最も重点的に取り組んできたのは、不備を可能な限り減らすこと、それに尽きるわけである。

 

何せ、前任者までの時代は延々と不備に悩まされ続けてきたし、その頃私は応援で入ってたわけだが、何度も当時の責任者が「不備は出すな!」と鬼の形相でスタッフに厳しく怒鳴っていたのは脳裏にこびりついている。私は本社正社員なので、前任者や担当者から何度も不備の相談を受けていたし、会社の方も不備の話ばかりしていて、漠然と「ホテルは客室一つが1現場みたいなもんだから、そりゃン100室クラスのホテルじゃ不備の一個や二個出てもしゃーない」みたいに思ってたもんである。

 

人間なんだからミスはする。

 

それはその通り真理だ。間違えたり、見逃したり、忘れたり、気付かなかったり、と人である以上、どんな人間だってミスはする。その上、とんでもねー客もいるし、フロントからは矢の催促で「早く仕上げてください!」と急かされるし、人手不足だからいっぱい部屋数こなさないといけないし、肉体労働でヒーヒーだし、ってな感じでミスを誘発する要因はあまりに多い。そんな客室清掃で「不備出すな!」とかあり得ない・・・と私だって思う。

 

とは言え、仕事である以上はミスはダメだ。基本的にミスしていい仕事などない。そりゃミスの軽重はあるが、何れにしても原則的にはダメなものはダメだ。だから、フロントに不備については謝罪しなければならないし、対策なども考えないといけないし、仕事としてはきちんと対応していかなきゃならない。・・・というわけで、半ば諦めつつも責任者を引き受けた当初は前任者とあまり変わらない対応をしていたのだけど、すぐにいわゆる「不備」案件というのは客室清掃にとっては邪魔なものであるということに気づき始めた。

 

というのは、不備というのは何か?というと、種類は色々あるけども、大雑把にいうと、「不備は、それ一つで全部が台無しになり得る」ものだからだ。具体例を挙げると、どんなに頑張って綺麗な部屋にしたと思っても冷蔵庫を見落として前泊者の食べ残しがあったら返金にまで発展してしまう、あるいはそれさえなかったら星五つなのに星一つになってしまう、言わば一撃で死に至らしめる爆弾のようなものなのである。

 

それに対して、清掃品質というのはやや異なる位相にあると考えるといい。ちょっとはてなブログの編集機能を使って分かりやすく絵にしてみよう・・・

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・・・分かりにくいかw

 

例えば、清掃に問題なくても、部屋のドアを閉め忘れたらダメ、っていうのは不備ではあるが品質には入ってこないわけだ。もちろんそれを含めて清掃品質の一部という捉え方もあるが、ここではそういう考え方はしないとして、とにかく不備というのは一撃で努力を台無しにしかねないもの、と考えるのである(絵は関係ないなw)。

 

で、そういう捉え方をすると、ある程度は目を瞑っていい部分と、そうでない部分に分けることが可能になってくる。前者は例えば埃。目立つ部分の埃は取るべきだが、そんなに目立たない部分、というかほぼ100パーセントに近い確率で不備としては上がってこないような部分の埃ならそんなの清掃しなくていい、と考える事が出来るのである。で目を瞑ってはいけない部分、つまり目立つ部分の埃は重点的に清掃すべき、と分けて考えるというわけだ。

 

そこで、過去不備として上がってきた報告内容を、事細かに分類することにした。すると、そこには明らかに不備が多い項目とそうでない項目、あるいは普段気になってしょうがない部分でも全く不備に上がってこないような項目などにきっちり分類される事が判明した。あるいはまた不備が生じたときにひどくお叱りを受けたようなものや、返金にまで至ったようなものなど、重要度でカテゴリー化出来ることもわかったのである。

 

そのように不備をカテゴリー化した上で、分類された不備の項目ごとにその要因を可能な限り「見落としでした」のように曖昧なものではなく、なぜ見落としたのか?という具体的な要因を推定した。例えば見落としたのは時間に追われていたから、などである。すると対応策が出てくる。時間に追われていたのであるならば、時間的余裕を作ってやればいい、ではどうすれば時間的余裕が作れるか→作業の効率化を図る、などが具体的対応策になってくる。

 

そんな感じで、一つ一つの不備をとことん調べ上げて、事細かに具体的に対応策を色んな角度から捻り出し、場合によっては複数の不備項目が同じ要因から生じたもの(一番多いのが時間的な理由だったりするから)だったりするので、まとめて不備を減らす対応に繋がったものもあった。なお注意しないといけないのは、対応策自体を新たな不備要因にしないことである。要するに必要以上に仕事増やして余裕をなくすということは極力避けるってことだ。

 

かなり時間がかかったが、前任者の時代からおそらく不備総数は半減以上、多分十分の1くらいにまで減ったと思う。で、対応策といっても実はあまり大したことはしてなかったりする。本当に些細な工夫をしただけなのがほとんどだ。ナンバリングしてなかった備品にナンバリングしただけだとか、清掃資機材をちょっと増やしたり整備したりだとか、連絡を取りやすくしたりだとか、備品庫を整理整頓したりだとか、本当に些細な工夫ばっかりで、多分スタッフメンバーもあまり気がついていないだろう。実はそんな些細な工夫をひねり出す私は、もう脳みそが破裂しそうなくらいフル回転させて考えてきたんだけどねwどんだけいっぱい考えたと思ってんねん!て言いたいw

 

というわけで、大成功とまでは言わないまでも、別にスタッフにあまり叱りつけることなど無しに、不備は減らせた。すると、意外な事がわかってきた。不備が減ると清掃品質で今まで我慢してきた事がついに我慢できなくなってきたのだ(笑)。今までだったら「不備さえなきゃいーじゃん」だったのが、「不備にならないからって手抜きはいかん!」と公言するようになってしまったのであるwww

 

つーか、まぁ、やっと品質を上げる方向へ目を向ける事ができるようになったなぁと。ベッドとかあんまり綺麗じゃない人も結構いたけど、今後は頑張ってもらわないとね。私は辞めるけど、次の責任者には是非是非より上質なホテルを目指して頂きたいものである。