ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

客室清掃責任者に必要な資質。

私の前任者は、常に神経ピリピリ過敏な気性の激しい人だった。簡単に言えばビシバシ怒りまくるのがイコール指導、みたいな。だから、いつも現場はピリピリ、とにかくその前任者の責任者を怒らせてはダメだ、あるいは怒られるのは嫌だ、と言う空気が支配しているようなところがあった。

 

そんな人だったが、神経過敏症でかつ責任感も結構あったから、その為に過大なストレスを抱え込む羽目になってしまい、うつ病を罹患してしまうことになる。それで、とうとう現場にあまり来られなくなってしまい(体が実際に体調不良を起こしてしまったらしい)、それで私が引き継ぐことになったのだが、私はどう言うわけかうまい具合というか、前任者とは性格が真逆で、かなり鈍感だし、気性はいたって常に平静だし、それでうつ病に至ることなく現場を楽しめたのかもしれない。責任感? 自分でそれを評価するのは困難だが、前任者ほどにはなかったのは確かだ。

 

だって極端な話「謝ったら済むだろ」というくらいにしか思ってなかった・・・というのは極論にしても言い過ぎだとは思うけど、私は謝ることに対してはそんなに苦痛だとは思わない。今まで散々謝り倒してきたからね、色々と(笑)。現場責任者をする前にマンション管理担当者をやってて、担当したマンションの理事会におっそろしく怒りまくる声のでかい理事がいらっしゃいまして、その人に散々怒られた経験が生かされたのかもしれません。もはやその理事に対してはいかなる反論も許されず、どんなに理不尽でも謝るしかなかったもんね。どうか気を鎮めてくださいませと何度祈る気持ちになったろう(笑)

 

じゃぁ、私のような鈍感で謝ることにも抵抗のないような人間がホテル客室清掃現場の責任者に向いているのであろうか? 私はそれはちょっと違うという気がしている。私は単に器用になんでも無難にやっちゃうタイプなだけで、それは向き不向きとは違う。私自身は、向き不向きで言えば前任者のようなタイプの人の方が客室清掃責任者に向いているように思うのだ。

 

というのは、私は私で大変だったからだ。私は怒るのが大の苦手だから、ない知恵を本当にカラカラになるまで絞りまくる必要があった。怒らずに現場をよくするなんて、自分で言うのも変だが、めっちゃくちゃ難しかった。怒ることの出来る人ならば一発ビシッと怒れば済むところを、私は何時間も場合によっては何日も頭の中で考えて解決方法を考え出さねばならなかったのである。でも、感情に任せて怒ると言う技に長けた人ならば、そんなに考える必要もなかろう。瞬発力さえあればいいのだ。喩えて言えば、ビシッと怒ることの出来る人はロケットかジェット機のようなもので、私は旧型複葉機かはたまた飛行船のようにのんびりとしか出来ない。

 

だが、客室清掃は待ってくれるわけではない。さっさと一つ一つの問題をやっつけていく必要がある。となれば、色々思案して時間をかけて解決していくなんてよりは、ドカンドカンと爆弾を落としていく、みたいな方が客室清掃責任者の資質としては合っていると思うし、むしろ必要なんじゃないかなと思う。で、現場に常にピリピリした緊張感を発生させて、みんなに仕事をしてもらう。そうしないと、働いている人には申し訳ない言い方だが、例えば手抜きが横行してしまいかねなかったりすると思うからだ。人間誰だって楽したいのだからね。私は手抜きをある程度認めつつ、クオリティを落とさない、向上させよう、だなんてとてつもなく面倒なことをやらざるを得なかったのだ。

 

なんだか自己否定みたいになったけど、とにかく私は私で本当に大変だったからね。こんなの真似すべきじゃない。客室清掃責任者はきちっと怒ることが大切だと思う。ただ、一つだけ自己肯定すべきだなぁと思うのは、「諦めない」ことだと思ったりしてる。実は前任者は諦めが良すぎると言うか、ダメな人をすぐに見限って辞めさせたり、出来ないことはスパッと「そんなの無理」とか、あれは良くないなぁと思ってたんだよね。一見ダメそうに見える人でも、実はそうでもないと言うことはよくある。もちろん、本当にダメな人はいるけど、この人手不足業界でそんなに諦めよくスパスパ切ってどーすんの?とは思ってたからね。

 

ともかく、諦めが悪いと言うのも必ずしもダメってことではないのだ。これに関してはいずれもう少し詳しく書くつもりです。