ホテル客室清掃責任者というお仕事

とあるホテルに客室清掃責任者として常駐しています。毎日クソみたいに忙しいです。お暇を誰か下さい。

忘れ物について思うこと。

tugetter でこんな記事があり、はてなでもホットエントリーしてたので、私の目にも止まったわけだが。

 

togetter.com

 

ツイッターでも書いたけど、確かにね、ゴミ箱に入れずに放ったらかしにされてチェックアウトされてしまうと、ゴミ箱に入ってないものは忘れ物だ、とそう考える他はない、――というのがどうやら業界の建前。

 

まずそのことについて言いたいが、そんなわけはない。現実に働いてみたらいい。ゴミ箱に入ってないものを忘れ物で全て出す、なんて出来るわけないぞ。そんなことしたら、エゲツないことになる。とにかく量が多すぎる。もちろんそうじゃない場合の部屋の方もあるけど、とてもじゃないけど、ゴミ箱に入ってないものを全部忘れ物で出すなんて出来っこありません。

 

99%ゴミだし、99%忘れたとの申告もないのが現実です。多分、問題になりそうなのは1%よりも遥かに少ないです。だからそういうのは建前の話に過ぎず、現実には無理なのは少し考えたらわかる話で、実際に毎日忘れ物の取りまとめ処理してた私も、清掃終了後におろして来てくれる忘れ物でさえも、ホテルに無断で黙って捨ててました。見りゃわかるんです、そんなもん保管する意味などないって。もちろん確率的に絶対にあり得ないとまでは言い切れないけど、キリのない話でもあります。

 

当然、メイドさんが部屋で掃除してる時だってそうです。どんなに几帳面な人だって、床に落ちてるお菓子は捨てます。紙くずだって。なので、ティッシュペーパーに包まれてた入れ歯も一緒に捨ててしまい、面倒なことになったこともありました。そういうリスク込みで仕事する方が、クソ真面目にやるよりずっと効率もいいし、問題も最小化出来るのです。真面目にやりすぎると、どうでもいいようなことで、責任者側もメイドさん達を怒らなければならなくなりますし、解決方法みたいなことまで考えて行かなければならず、そんなの現場にとって一つもいいことなどありはしないのです。ホテルに怒られる時は怒られればいいのです。その方が遥かに楽なのです。

 

結構いい加減だと思われるかもしれないけど、忘れ物はあまりにもたくさん出てくるし、99%以上は結局捨てるだけだし、実際に忘れ物に分類されているものを見たら、知らない人は絶句するはずです。だって、それでも大半が脱ぎ捨てた靴下の片割れだとか、旅行でしか使わない歯磨きセットだとか、そんなのばっかりなんだから。ある程度適当にやってさえも、そんな感じなんだからね。

 

もちろん、お客さんがゴミは全部綺麗にゴミ箱に片付けてくれて、忘れ物は一切なし、というのが清掃側にとっても理想というのはあります。ただ、現場をやった私が見る限り、半数以上のアウト部屋は概ねそうなってたと思います。概ねそんなに部屋は散らかってないし、忘れ物もありません。だから、散らかった部屋が目立ってしまうのではないかとも思いますね。もちろん、かなり汚れてて苦労した経験も何度もありますけど、全体から見ればそういうのはほんの僅かです。

 

結局、同じ話になりますけど、苦労したら苦労する分見合うだけの何かが得られるのか? という話になります。単にお金だけの話ではありません。出来ることは出来る範囲でするけど、不必要なまでにきっちりやる必要もない、というのが私の考えでした。どのみち、どんなにきっちり仕事してもリスクは消えるわけではないので、それならばある程度のリスクを覚悟して、リスクコントロールの方に重きを置いた方がいいだろうと。例えば何かあった時の事後処理を迅速にかつ適切に行えるよう配慮を怠らない、とか。仕事していく以上、事件や事故が起こらないことなどあり得ないんだから。

 

で、トゥゲッターの話に戻りますけど、画像を見た多くの人が「大変そうだからしっかりゴミ箱に捨てて忘れ物の確認もしよう」と仰っておられるようで、現場の人にとってもありがたい話だとは思いますけど、現場の人はそれが仕事なのだし、仕事する側としては、そうしたリスクコントロールまで考えて業務に取り組むことが大事なのであって、お客さんにお願いなど不要だと思います。マナーはお客さんが自分自身で判断すれば良いことだし、押し付けることでもないかな、と。

 

そんな風に思いました。