ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

ホテルのシーツなどは全交換すべきなのか?

またこんな記事がTogetterでまとめられていた。

 

togetter.com

 

まとめられている方の、@suzukyuin氏はツイートなどをさっと拝見した限り、いろいろな国に旅行されてらして、利用者としてホテルに色々な意見を持たれており、有料でそうした意見を読ませてくれるブログみたいなサイトも持っておられる。3,808円てクソ高い気がしますが・・・。

 

氏によれば、ホテルの客室清掃やってる人たちはサボる気満々で、部屋が綺麗に見えたら清掃をサボるのが当たり前の世界なんだと、極論すればそういうことらしいです。どうなんですかね? 私は主体的に関わったホテルは一件だけだし、他のホテルのことなど知りませんからなんとも言えませんし、一般的なことも言えません。

 

ただ、私の関わった限りでいうと、このブログでも何度か言及しているように、きちんと清掃させるってなかなか困難です。こうも人手不足だと、厳しく言って辞められるのも困るし、だからと言って手を抜かれるのも困るって話で、どうにかして自分のやった清掃というか仕事に対して、誇りを持って欲しいという気持ちで指導はしてました。

 

厳しくしなかったわけでもありません。みんなで協力して、いいホテルを作り上げていく一助になろうと、そういう雰囲気づくりって言うんでしょうか、そのために必要であるならば、結構厳しいことも言いました。例えば私がチェッカーに入った時などは、ベッドメイクが綺麗でない場合には必ずやり直しさせました。こんなベッドでは売りに出せない、あなたは何を考えてこんな酷いベッドで清掃を終えたなどと言うのか、たった一室ですらも、この部屋に泊まられるお客様はそれがこのホテル全体のイメージにしてしまうんだから、ホテルグループ全体のイメージの悪化にすら繋がる、それが今やネットで世界中に拡散されてしまう世の中なんだから、そこまで考えてやりなさい、みたいにかなり厳しく言いました。

 

正直な気持ちを言えば、Togetter記事みたいに言われて、それが一ホテルにとどまらず、世界中のホテルというものすべての現実にさえ思われかねないので、世界中のホテルでもしっかり清掃はやって欲しいものですけど、もちろん、そんなの無理です。現実は違うんです。ここでも暴露したように、トイレは洗わないし、バスタブはザラザラ、埃はきちんと清掃しない、掃除機の使い方もなってない、グラスはちゃんと洗わない、なんて日常茶飯事。もちろん、ちゃんとやる人はやりますので、やらない人もいるっていう話ですけどね。

 

私はこの現実について、よくお金の話をしますけど、それだけでは決してありません。安い賃金でもしっかり清掃する人はするんです。多分、私の責任者だったホテルでも大半のメイドさんは、どちらかと言えばそこそこしっかり清掃する人の方が多かったと思います。それでもまだ足りないとは私自身は思ってましたが、大変なんですよ、客室清掃って。単純な仕事ではありますが、決して簡単ではありません。ちょっと油断しようものなら即不備・クレームが出る世界です。

 

そうした緊張感が常にある客室清掃の世界で、またお金の話・人手不足の話しますけど、そうした中で頑張ってるメイドさんたちのことを思えば、多少の不満はあっても、労を労う気持ちの方が大きくて、不必要なまでに厳しく仕事させるなんて、私には出来ませんでした。そうしたしっかりやってくれるメイドさん達には感謝する一方で、あまり厳しくはしない方針が、いわゆる手抜き清掃をする人たちにも影響を及ぼしていたことは否定できません。だって、とにかく毎日与えられた全室を清掃しなきゃならない。一室たりとて落とすことはできません。多少の不備が出たって、クリアできないかもしれないという不安に比べたら屁でもありません。

 

内心では、そうしたしっかりやる人とやらない人に対する、不公平さみたいなところに対しては、忸怩たるものがありました。ずるい人が結構いるのも知ってたけども、そういう人に限って人よりも多く部屋数をこなしてくれてたりしたし、人手不足で、部屋数歩合制でやってる以上、厳しくは言えないんですよね。だからこそ、時給制+インセンティブ制度にすべきだって話も社内では散々しましたけど、結局は言い訳だけど、清掃単価が上がらないと出来ない話だし、ちまちま出来ることをやるしかなかったです。

 

さてそういう現実の話はさておき、シーツ交換の話。どうなのかなぁ、そりゃツインの部屋で片方しか明らかに使ってない場合などは一方しか交換しないってのは当然でしたけど、聞けば、使ってないアメニティですらも交換しちゃうホテルもあるんだとか。アメニティの場合は種類・数・セット方法を含めた話なので、出来るかどうかもあるし、ホテル側の考え方とかもありますから、ホテルで違うとは思いますけど、アメニティはともかくとしても、基本的に未使用ならば交換の必要はないと思いますね。

 

もっとも、未使用かどうかがわかりにくい危険性というのもあるので、交換した方が安全って考え方もあります。一度、タオルでそういう経験があって、誰が見たって使用したようには見えないのに、タオルの折りたたまれたその間に前泊者の私物が挟んであったとかあったし、最低限確かめておく必要はあるとは思います。

 

ただ一つだけ、指導で私はよく言ってましたけど、「お客さんをなめるな」ってことでしょうかね。結局、お客さんを舐めたような仕事をするからダメなんです。もっと怖がって仕事して欲しい。その気持ちだけで、シーツ交換しないで清掃を終わらせるなんて出来ないはずなんですけどね。でも、お金も貰えたらそれでいいっていう人も多いですから、なかなか難しいですね。