ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

客室清掃の不備をどうやって減らしていくか?について。

前記事でチーズケーキさんからありがたいコメントを頂いて、このタイトルで何か意義のあることを書けないかな? と思った次第。但し、私の知識と経験なんて全然大したことないし、頭の中でしっかりまとめて書く記事でもないので(いつも思いついたままダラダラ書き綴っているだけだw)、そのあたりはご了承願いたい。

 

・優秀な人を雇う。

一時期、不思議な事に特に募集条件を大きく変えたわけでもないのに、応募者がガンガン面接に来たことがあった。全く夢の様な時期で、どうしてあんなに応募者が来たのか未だに分からないが、ともあれ、その中には酷い人も数人いた。例えば、普通初心者でも1時間あれば一室終えられるのに、その人は2時間掛かっても満足に仕上げられることが出来なかった。週に1〜2度しか来られなかったとはいえ一ヶ月間の研修時期の最後になっても、である。もちろん、全然部屋はぐちゃぐちゃ。あんなに使えない人が世の中にいるというのが不思議なくらいだった。さて、その人はあまりにも例外とは言え、人には能力の差があるというのが当たり前の考えるまでもない現実で、出来る限り優秀な人を雇うことがどんな職場だって当然のことではあるのだが、もちろん、一般的にメイドさんは不人気職種であり、そもそもそんなに応募者は来ないから、そういう余程ひどい人しか切ることは出来ないのも現実。だから、優秀な人を雇えば不備を減らすことは出来るという理屈はあってるけども、それでは人員を充足させるのが難しくなり、しかも、ある意味少数精鋭制ではその人達を酷使することになり、結果的に不備はそのせいで増えてしまう危険性がある。もちろん出来るだけ優秀な人を雇うべきではあるのだが、優秀な人は待遇に対する目だって厳しいし、「こんなのやってらんなぁ〜い」と低賃金やキツイ労働環境などに対する判断も早かったりするから、結果として逃げられてしまう可能性も高くなる。なので、優秀な人を雇うという方針は、前述したような極端に酷い人は例外としても、あまり拘るのは良くないと思う。ただ、そうは言っても優秀な人にいて欲しいというのは当然のことなので、低賃金を解消できなくても他に魅力的な何らかの条件を与えるという方法もある。例えば、人より早く綺麗に部屋を仕上げるならインセンティブを与えるとか(不公平感を与えない範囲で)。

 

・厳しく指導する。

私にはこれが出来ない。色々と事情はあるのだが、一番大きな理由は単純に「苦手」だからである(笑)。そりゃ怒るときには怒るけども、苦手という自覚があるしどうしても理性が勝ってしまう(笑)人なので、怒るのが難しくてねぇ・・とほほ。それにみんな一生懸命頑張ってるはずだという思いが強くて、そういうメイドさんたちに厳しくして辞められたら困るという不安感が強烈で、やっぱり厳しくは出来ないんだなぁ。確かに、理性的に優しく出来る限り丁寧に指導したって、プライドの高い人はそれでもプライドを傷つけられたという気持ちを持つことだってあるだろうし、その逆に自信をなくす場合だってあるかもしれない。・・・みたいに、厳しく指導するという方針に対してはどうしてもマイナス思考になってしまう。多分、飴と鞭の使い方なんだと思うけど、私は飴の方を使いたい(笑)。というわけで、人はその人に合った指導方針をすれば良い、としか言いようがない。

 

・細かく指導する。

これは厳しくすることとは別の話になる。ていうか、これは出来る限りやった方がいい。というのは、ほんとにちょっとしたことでクオリティが上がるというのは厳然たる事実だからです。例を挙げると、埃って毎日連続的に少しずつ溜まっていくものですよね? だから、毎日その少しずつの埃を取っていけば埃はあまり溜まらなくなります。ということは常に誇りが少ない状態を作っていけます。だから、ここは絶対埃が溜まると分かっている部分を、毎日拭くようにしておきさえすれば、掃除は楽になるし、安心にも繋がります。だから、細かく細かく埃の溜まる部分をピックアップして、メイドさんに毎日拭く場所をここだと指導し、あるいは毎日拭かなくても一週間の決まった曜日に一度拭かせるとか、作業能率を踏まえた上で無理のない範囲をしっかり考えてやらせていくことが重要だと思います。しかも、そういう常に綺麗な部分を作っていけば今まで見えてこなかった部分も見えてきます。そうやって細かく細かく1つずつ丁寧に潰していく、実はこれが私の今やっている方針なのです。これをあまりにも一度にやってしまうと、その逆に他のやらないといけない部分を見過ごしてしまったりするので、あっちを潰したと思ったらまたこっちみたいに、イタチごっこになりかねません。ただでさえホテルの不備ってイタチごっこみたいなことが頻繁にあります。だから次に述べる事柄が非常に大切になります。

 

・基本を抑える。

もうどんな事だって、これが最も大切。だけど、何が基本なのかをきちっと定義することは実はなかなか難しい問題でもあります。客室清掃・メイドの基本ってなんなのか? ホテルによっても仕様も違うし、支配人などの上の人だって変わってくる。例えば、前の支配人はベッドメイクにうるさくなかったから、それ以外の部分に気をつけたほうが良かったとか、このホテルの客層はこうだから、とかそれこそホテルによって重点的なことはバラバラだと思います。しかしだからこそ、基本を出来るだけしっかり抑えてしまうことは大切です。そこは責任者となる側が自由に考えていいと思います。スピードを売りにするのか、あるいはフロントとのコミュニケーションを大切にするのか、やはり品質を重視するのか、あるいはまた細かくベッドだけはビシっと綺麗にするのか、色々あると思います。肝心なことはそうした基本をしっかり抑えて、軸をブレないようにすることだと思います。色んな不備は出るけども、そこだけはしっかりやってるって自信を持てる部分があれば、それ以外のところもしっかり見えてくるのです。これは前述した細かく指導することの利点に似ていますが、細かく細かく丁寧に1つずつ不備になる部分を潰したと思っていても、やっぱり潰し切ることは出来ず不備として出てくるものなのです。だって、人だって入れ替わりもあるわけですし、時間が経てば元の木阿弥ってことも頻繁にあるからね。しかし基本をしっかり抑えるってことは、時間が経ってもその基本があり続ける限りは変わりません。なので、どういうことを基本にするか、言い方を変えれば何を売りにするのか。それをしっかり考えて抑えることが大切なのではないか、と私はそう思います。

 

・可能な限りの効率化、あるいは合理化。

そんなの当たり前じゃん、って思うかもしれませんが、意外に無駄な部分って色々とあるものです。例えば、私が責任者になってこんなことがありました。アメニティや備品などを一括して置いている倉庫は非常に狭く、またホテルからあまり在庫を持たないよう厳しく指導されていることもあって、私が責任者になる前から、倉庫はそんなに無駄には使ってない、と思い込んでいました。ところが、実際やってみるともっと整理できたのです。倉庫管理って、実はただ単に物置に物をおいてるだけじゃなくて、管理方法の工夫によっては使い勝手が全然変わってきます。具体的な話はあまり出来ませんが、私がやったのはもちろん無駄な部分を徹底的に省くことではありましたが(使いもしないゴミのようなものがいっぱい出てきました(笑))、臨機応変に使えるようにすることでした。単にスペースを開けるだけではなく、動かしやすく、空きスペースを作りやすく、取り出しやすく変えていきました。まだまだ、狭い倉庫とはいえ大量に在庫がありますし、そんなに時間も取れないので理想通りというのは程遠いですが。さて、メイド作業だって同じです。例えば大半のホテルはエレベータで上下移動しますが、当たり前のことですが上下移動を減らせば効率は上がります。だから私は出来るだけ、スタッフが上下移動しないようにしました。エレベーターって普通そんなに何台もありません。みんなが使ってしまうので、待ち時間も発生しますから移動時間は全体としてバカにならない場合だってあります。例えば10人のスタッフがいて一人あたり2分減らしたらそれだけで全体で20分稼げることになります。50人いたら100分ですよ。その100分を例えば責任者が備品をまとめて運ぶ時間に置き換えて20分で済むとすれば80分浮いてくるわけです。その80分をまるまる使って貰えるということにはならないとは思いますが、その分清掃作業に集中してもらうことで不備を減らすことに繋がります。

 

だらだら思いつくまま書いてみましたが、・・・・うーん、こんなの当たり前かもしれないですね。ていうか、ほんと私って大したことやってないなぁと自戒。

 

なお、自戒は・・・じゃねぇやw次回は具体的にこんな工夫をしましたー、みたいなことを身バレしない範囲で書いてみたいと思います。

 

こちらからは以上です。