ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

客室清掃責任者を始める上で立てた戦略。

今から二年強くらい前にホテルの客室清掃責任者となったわけであるが、前回書いたような請負単価の問題はずっと前から知っていたので、私の戦略の基本は単価アップをどうにかして実現すること、だった。結果的に単価アップは若干ながらも果たせたので、百点とは言えずとも、及第点だとは思う。

 

ともかく、戦略的にやらないとうまくいかないという読みが最初からあった。何故戦略的にやらないとうまくいかないかという説明の前に、戦略とは何かという、私個人の考え方を説明する。そんなに仰々しいものではなく、かなり大雑把なものだ。

 

戦略とは何か

辞書で引くと「組織などを運営していくについて、将来を見通しての方策」などとある。この意味からいうと、大切なのは「将来を見通」す事であり、しっかり目標を定めてそれを達成する為に計画的に業務を進めることである。計画自体は何度修正しようと構わないが(実際、失敗したアイデアは多い)、将来の目標、すなわち「単価アップ」だけは変わることはない。いずれにせよ、どんな些細な事柄であろうとも全ての目的は単価アップを果たすことでなければならない、というか少なくとも単価アップにつながるものでなければならない。

 

何故戦略的でなければならないか

漠然とした考えを排除する為だ。例えば、厳しく指導してたら品質も上がるだろうし、不備も減るだろうし、そうすれば多分ホテルサイドも信頼が増して、単価アップにつながるだろう、などというのがそれである。それではあまりに漠然としていて、具体性がなく、まるで精神論が過剰すぎて敗戦に至ったかつての大日本帝国軍隊みたいなものである。それも一つの戦略と言えないこともないが、戦略と呼ぶにはあまりに中身がないと言わざるを得ないだろう。戦略的でなければならないとはすなわち、百パーセント達成できるとは言わないまでも、目標達成をより確実にするものでなければならない、ということだ。

 

戦略は達成後を見据えたものでなければならない

というのは、継続的に単価アップが繰り返されるような流れを作らないとダメだってことである。あまりに安いからと行って大幅アップなど無理だし、かといって一度程度の小規模アップで納得されても困る。とすれば、一年契約更新単位くらいのスパンで値上げを繰り返すことが可能な流れの基礎を作らなければならない。その為には、品質などについて現状維持だけを目論んでいては絶対ダメで、絶えず向上していけるような背策を講じる必要がある。それもできる限り客観的なCSなどの数値指標のようなものが必要。実際に値上げを許可する権限者は部屋など先ず見ないのだから、数字が大事なのだ。

 

顧客は何を必要としているのか、を知ること

当然、不備を減らしたり、品質を上げるということは前提されているのだけれども、求めていることに対してお金が足りないと思わせないと、値上げというわけにもいかない。極端な話であるが、別に不備や品質は現状維持でホテルサイドがいいと思っていたりしたら、どんなに頑張ったって値上げなんか応じるわけはない。せいぜいが「いつも頑張っていただいてありがとう」程度の表明があるだけだ。もちろんそれは極端な例で、もしそんなホテルならば値上げなど最初から諦めるしかない(最低賃金の値上げなどで上げざるを得ない場合を除く)。

 

何れにしても、ここで大切なことはフロントとのコミュニケーションであることは疑いの余地はない。ただ単に相手の思惑を読み取るだけでなくて、こちら側の意思もなるだけ理解してもらう必要もある。前回の記事で述べたように、今の金額ではきついということをきちんと理解してもらわない限り値上げには結びつかない。私は何度も支配人から「頑張りが足りないのだから値上げなどちゃんちゃらおかしい」のようなことを言われ続けた。だから、実際にはそんなことはなくて頑張っているが無理なものは無理と理解させようと根気強く頑張ったのだ。で、「なるほどー、確かに今の人手不足をなんとかしないと品質上げるのも難しいよねー」とある時おっしゃられたのを聞いて私は涙した(してないしてないw)。

 

出来ることは全てやる、しなくていいことはしない、という区別が大切

常にお金のことを頭に入れよ、という話である。これまた前回話したように、基本は現在の清掃単価で出来ること以上のことはしてはいけない。逆に、その範囲内で出来ることは全部やる。・・・つったって別にきっちり時間を測れと言ってんじゃないしそんな必要もない。この辺のことは、ちょっと細かくなる話なのであるが、実際私が過去で色々と書いてきたことを読めば少しわかると思う。効率化を進めて出来ることを増やしたりとか、色々工夫したりとかで、コスト内に収める、みたいなね。でもコストをオーバーしちゃいかん、という話。

 

 

あとは、具体的な話になりすぎるので割愛。大体は今まで書いてきた中に多分ほとんど書いてます。実際には、仕事しながら計画してって感じで並行的にやってましたけど、戦略の大雑把な感じみたいなのは責任者になってすぐに大体は掴んでました。でも、うまくいくのかなぁという不安はめっちゃくちゃあって、めんどくさいからやめちゃおうかなぁと思ったこともしばしば。普通に、特別なことも考えずに責任者業務やってたらもっと楽だったかもしれませんしね。でも、難しいことやった方がしんどくても楽しかったのは事実です。・・・・自分の給料も上がらんのにバカなことしてんなぁとも思ってましたが(笑)

 

ではまたー