ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

巻き込みと芸能人ホテル強姦事件について。

ちょうど一ヶ月ぶりの更新。

 

関係者が読んでここがどこか特定できそうな話ならいくらでも書くことはあるのだが、そうでないような話を書くのはやはりなかなか思いつくものではない。大して記事数はないこのブログだけど、過去記事読んでると色んな事を書いてきたのだなぁと思う。読んでくれた人のためになるような話を書くというスタンスでずっと書いてきたけど、果たしてホントにためになっているのだろうか?

 

どこのホテルも似たようなものだなぁと思うような話を最近は入ってきた人から聞いた。実は、何回か書いたと思うけど、いわゆる巻き込みがなかなか減らないので延々困ってるんだけど、その人は他のホテルで働いていたというので聞いてみたんだよね。すると、他のホテルでも同様に巻き込み事案というのは発生しているそうな。ただ、うちのホテルでは到底不可能なある仕組みによって、巻き込みそのものはなくならないものの、手早く発見出来る様になっているらしい。羨ましい話である。しかし、どう考えてもうちのホテルでは同じ仕組みを取り入れることは無理と考えざるを得ず、溜息しか出なかった。

 

メイドさんレベルで言うと、とにかく事前にしっかり確認しろ、ということでしかない。だが、どんだけ口をすっぱくして指導したところで、ミスしない人間というものは存在しない。或いは、巻き込みを滅多にしないような優秀な人ばかり雇うなどというのも、現実の人材不足と安月給を考えれば夢物語である。実際には、繰り返し繰り返し何度も何度も諦めずに「巻き込みに注意して下さい」と指導し続けているので、それを指導しないよりかは幾分かはマシにはなっている筈であるが、そういう努力でこれだけ減らしましたー!みたいな報告は、実際に比較して数える事が出来ない以上これも不可能である。で、たまに巻き込みが出るとフロントから渋い顔をされる・・・対策なんかも求められたりする。

 

こないだなんか、巻き込みで見つかったお客様の私物、その人インバウンド客で、本国に即効帰ってしまってたので航空便費用が発生した。思ったより高くなかったけどね。とにかく、巻き込みには頭を抱えている。

 

実際、現場全体というか、仕事全体の流れから、契約金額やら契約仕様まで含めた上で考えないと、巻き込みを激減させるなんて土台無理な話である。ホテルの構造まで絡んで来る話だし、そうした制約ががんじがらめにありすぎて結局どうにも出来ないまま。・・・・実はうちの会社の方が数十万程度負担するだけで減らせるって事が分かってるんですが、どう考えたって負担するわけねぇから、正直諦めざるを得ない。

 

というわけで、これを読んでくれたほかのホテルの人から、巻き込み問題にどういう対策をしてるのか、あったら聞いてみたいなーとか思ってます。よろしくお願いしますm(_ _)m

 

閑話休題

 

ちょっと記事が短いので別の話をしよう。最近のホテル関係で世間を賑わせている話。

 

www.asahi.com

 

お母さんの高畑淳子さんは大好きな女優さん。息子さんのことはほとんど知らなかったけど、今回の事件後の記者会見などは正直可哀想で見てられなかった。いつだったかテレビでご自宅の様子を映してて、子供の為に一生懸命お弁当作ってた姿が忘れられない。母子家庭だそうですが、せっかく頑張っておられたのに・・・・。

 

で、この事件、高畑裕太が悪いのは当然として、ホテルにも責任があると言うブログ記事があった。

 

www.kinoblo.com

 

概略、こうした事件はホテルではよくありがちな事で、女性従業員一人で男性客の部屋を訪ねるなどリスク管理が出来てないと言わざるを得ない、だそうである。私はただの雇われ客室清掃責任者で、そういう事件がよくありがちだとか全然知らんのだけど、女性従業員を自室に引きずりこんで強姦とか、そんなによくある話なのかなぁ?

 

女性スタッフのお尻を触ったりという程度なら聞いた事はあります。昔研修してたビジホですが、酔ったお客さんに抱きつかれたという話も聞いた事はありますけど、強姦はさすがに聞いた事がありません。まー、業界のことはあんまり知りませんから、もしかしたら業界内では一般的な話なのかもしれません。

 

ところで、関連する話って訳でもないんですけど、ある知人に「メイドさんと客室でエロい事出来たりするの?」とか聞かれたりした事あるのですが、正直、あり得ません。クソ忙しいのにそんなこと考えてる暇のある奴なんかいる訳ねーだろ、とw 大体、フロアをみんな忙しくあっちこっち行ってるのに、見られたらどーすんだよwww

 

でも私、ベッドに1~2分横たわったことはあります。一人で。特に何もせずw

ホテルサイドから見た不備を減らす対策は?

「客室清掃 不備」でググッたらこんなページがヒットした。ちなみに私のパソコンだからかもしれないがトップは私のブログ記事だったw

 

hotelman-the-phantom.seesaa.net

 

いやなかなかにほんといい事が書いてある。

一向に改善されない日常清掃の不備に業を煮やした宿泊部門の責任者が、直接客室階に出向いて徹底した指導を行ったとしても、.ただでさえ精一杯の持ち時間を削られて不快な小言を聞かされるメイドさんたちの感情を害する以外は何も得られません。

 

 そのとおりだーーーー!私などは厳しく怒られると休みの日ですらも延々そのことばっかり考えて、休日も楽しめないんだぞ!(^^;

 

これしかし、ここにも書いてあるとおり、客室清掃は外部委託が多いので、どうしてもホテルサイドは「こっちが金払ってやってんだから」みたいな意識になるんだと思います。極端な話、我々は客だぞ!と。

 

でもよく考えて欲しい。同じ建物の中で働く仲間なんです。フロントさん、あなたたちだってホテルを運営する会社からお金貰って働いているという意味で外部委託業者の従業員も変わらないんですよ、と。そりゃもちろん、我々外部委託業者は、所属する会社の命に従って動いている以上、ホテルだけじゃなく先ずは所属会社の利益なりというところを考えないといけないので、会社としての責任も当然ありますが、委託して任せてるんだからちゃんとやれ!という視点だけではダメなのではないかと思います。

 

その上、実態として多くのホテルは外部委託業者に十分な対価を支払ってなどいません。だから、かなり深刻な人材不足にほとんどの業者が悩まされ続けています。しかし酷いホテル側の人になると「その金額でやるといったのはあんたの会社なんだからそんなの知らん」という態度をとる人だっています。そりゃ理屈はそうです、そうですけど、安くていいものなんつー欲張りが色んな問題を生じさせてしまう大きな要因になっているって事は考えるまでも無い事です。

 

ほんと、上の紹介ページに書いてあるように、客室清掃を一度自分たちでやって欲しい。それもお試しとかじゃなくて、戦力になるつもりで。どれだけ大変か、身を持って実感しなければ、不備なんか減らないと思います。頭の中だけじゃダメなんです。体を使って動かして経験して初めて見えてくることはいっぱいあると思います。そうやって、客室清掃やってる人達と一緒に努力して考えていけば、不備は確実に減らせると思います。

 

今回は良いページを見つけたので、思わず紹介したくなったわけですが、最後にほんとに良いこと書いてあるなぁと思ったところを引用して終わります。

しかし、「同じ釜の飯を食った」相手からの依頼であるとなれば話は自然と違って来ます。一度くらいは夕暮れ前の飲み会に誘われているかも知れません。日頃の愚痴や不満をたっぷりと聞かされて、皆さんがとても傲慢に見えている事を気付かされているかも知れません。もう、そこには何らかの血の通う人間関係が生まれている筈なのです。そしてもう一つ、思わぬ効果も期待が出来るでしょう。
それは「配慮とねぎらい」です。清掃の実習に入った初日、あなたは何室を仕上げる事が出来ると想像されますか。決められた時間内に指導を受けながらであればまず三室が限界でしょう。一週間の実習でも十室には遠く及ばない。その事を嫌と言うほどご自身の肌で感じ取られる筈なのです。あなたのホテルのメイドさんが一日に何室を仕上げているのか。どんな思いで作業をされているのか。何を面倒に感じて、どんな風に時短をされているのか。そればかりではありません。何を嬉しく思い、何を励みに感じ、何に対してなら誠心誠意に応えてやろうと考えて貰えるのか。そのヒントが山の様に得られるのではないでしょうか。あなたはさらに気付かれる筈です。客室清掃の不備に苦情を訴えているお客様に対して、本当は自分たち自身がそうさせているのかも知れないと言う事をです。関連する部署との信頼関係こそが、苦情を断ち切るためには欠かせないのだと確信も!!出来るでしょう。旅館であれば「布団敷き」や「茶替え」さんの経験も貴重なものとなるに違いありません。

 

 

どうやったらベッドを早く出来るのか?【決定版】

アクセス流入検索ワードで目立つのが「ベッドメイク 早く」の類である。以前に私もこんな記事を書いた。

 

hotelsekininsya.hatenablog.com

 あるいはこんなんとか。

 

hotelsekininsya.hatenablog.com

 

他でも書いたと思うが、ともあれ、やっぱり多くの人がベッドメイクを早くやりたいと思っているのであろう。結論から言おう、心配するな、頑張ってやってたらそのうち早くなるよ、と。

 

頭動かすより体動かしてたら体が覚えてくれる、と私は思う。で、どうしたって個人差はあります。うちのメイドさんで驚嘆するほど速い人がいますが、あんなの誰も真似できません。信じ難いことに平均時間の半分以下で一室やってしまう人ですけど、多少雑なところはあるけど大きな問題もなく仕上げてしまうんで、一体どうやったらあんなに早く出来るのか見当もつきません。異次元の速さというしかない(^^;

 

というわけで、ともかく結論は「頑張ってやれ。さすればそのうち勝手に早くなる」なんですが、上の過去記事でも多少のコツは書いてるのでそれも読んでいただくとして、今回はちょっと視点を変えて考えて見ましょう。要するに、「ベッドメイクを早くしたい」あなたは早く帰りたいんだと(笑)

 

ならば、ベッドだけにこだわる必要はありません。ベッド以外を早くやればいいんです。トータルで時間を減らせばいいんですから。如何に要領よく作業するか、って事です。ただこればっかりは、ホテルによりけりの部分が多いので具体的に書くことは難しいですが、例えば、フロアのリーダーさんにお伺いを立てて次に入る部屋を指示してもらうような場合、常にフロアのリーダーさんのいる場所を把握するようにしておくとかね。そうすればリーダーさんを探す時間を減らす事が出来ます。それが難しいのであれば、みんなで話し合って何かすぐに居場所が分かる工夫を取り入れるとか。うちの現場はそうでした。ある工夫を取り入れて、そんなに探さなくてもいいようになってます。

 

あとね、意外にも長年勤めてるにも関わらず現場の事をいまいちよく分かっていない人がいたりするんですけど、現場の様々な事をよく知っておいた方がよい、というのもあります。これもホテルによりけりの話なんで具体的に書くのは難しいんですけど、例えばエレベーター。普通、行き先階のボタンを押してそこに行くわけですが、行き先階を間違えてしまって途中で気が付いて、正しいボタンを押すんですが、行き先階でないフロアでも止まってしまい、その分時間が無駄になる。が、実はキャンセルが出来るエレベーターって結構あるんです。出来ない場合も多いですけど、キャンセルできれば無駄な階に止まる時間を節約できます。或いはまた、バックヤードでいつも同じ道順しか利用して無くて、でもほんとはショートカットできるところがある、とかね。あるいはまた備品などの不足で探したりする時でも、どこに行けばすぐ見つかるかとか覚えておいて損なことはありません。

 

要は知恵を絞るってことですね。ちょっとしたことで、一日当たり何分も、或いは何十分も節約できるならそれに越した事は無いわけで、一刻も早く帰りたいのであれば知恵を働かせましょうよ、と(笑)

 

つーわけで、早く帰ればいいのに無駄に残業してブログ書いてる私なのでしたw

手抜きテキトー清掃の奨め

ホテル客室清掃は厳しい。特に私の勤めるシティホテルは競争激化の流れもあり、とにかく厳しい。不備は相変わらずなくならないが、それでも諦めてはいけない。油断大敵だし、膨大なチェックリスト(真面目に作ったら項目だけで1部屋100項目を超えてしまったので完成させるの諦めたw)の全て、漏らさず不備のないよう努力しなければならない。

 

おそらく大抵のホテル客室清掃現場責任者は、毎朝、前日宿泊客から出て来る苦情・クレームに怯えながらの出勤をしている。ビクビクしては、不備がないとホッと溜息をつき、不備があるとガクッと項垂れて溜息をつく。溜息を一回つく毎に何日か寿命が縮まる、というのがもし本当なら私はもうとっくに死んでいるのかもしれない(笑)

 

だから、客室清掃作業をするメイドさんたちも大変なんだけども、実際のところ毎日全部屋100%完璧に清掃する事は不可能である。どんなに頑張ったって、結果として100%完璧はあり得ても、それは運に恵まれたからであって、人は人である以上、ミスをしない人は存在しない。あるいは部屋の状態だって様々、しばしば考えられないような汚れだとかそんな状態にも遭遇する。例えばテーブルの下面にガムが付着してて、何日か後に泊まったお客さんがそこに手を触れてしまい大クレームになった事がある。あんなの普通、経験がなきゃ分かるわけがない。

 

そもそも時間的制約がある。「今日は5部屋でお願いねー」と言われたらその日は5部屋やらないといけない。その時間的制約の中で100%清掃なんて出来るわけがない。私は何年か前、ほんとに100%清掃やろうとして1室3時間くらいかけて頑張ったが、最後には精も根も尽き果てそれが不可能であることを悟った。よく考えて欲しい、たかがベッドをメイクする事ですらも、シーツに刺繍された糸一本のほんの僅かなほころびですらもお客様はクレームに出来てしまうのである。いや、あのね、マジでそういう異次元の世界に住むお客さんはいらっしゃるんですよ。そういう話を前回書いたわけですけどね。

 

だからっつって、あからさまに手抜き清掃していいかと言う事では当然なくて、それなりに出来る限り100%に近づける努力はもちろん必要です。ですが、今回書きたいのはそういうきれいごとっつーか、ではなくて、そんなに厳しい厳しいホテル客室清掃だって、手抜きしてテキトーに出来るところは別にしたって構わない、ということです。むしろ、手抜きテキトー清掃でなんとかなるのなら全然やった方がいいと思います。

 

例えばね、一万人に一人しかクレーム出さないようなところを完全にしようとか、私はそういうのってあまり必要だとは思わないです。前回書いたようなほんとに細かいところにまで注意を払うとかね。或いは、拭き掃除に手間を掛けすぎとか、掃除機に時間を掛けすぎとか、丁寧にするのは必要だけど、時間を掛けすぎて他のところへの注意が出来てないのであれば本末転倒です。実はこういうのって初心者の人に多くて、初心者の場合は一つ一つ時間掛けてやってもらって、どっか他が抜けててもそれは初心者だから仕方ないっつー感じで思ってたんですけど、意外にも熟練した人にも時々見かけるんです。

 

うちに、異常なくらいベッドを綺麗に仕上げるメイドさんが一人いるんですけど、この人、しょっちゅう抜けがあるんです。ベッドだけを取ればこの人以上に綺麗にベッドメイクするのは無理、というレベルです。だから、ぱっと見、すっごい熟練さんに思えるんですが、実は違う。あまりにベッドに執着しすぎてて、正直、「いやベッドはもうちょっと雑でもいいので他にも気をつけて下さい」とか最早指導できません。どう考えたってあんなに綺麗にしても自己満足以上には意味はないと思うんですが・・・・。

 

そうじゃなくて、一つ一つの事をある程度丁寧にしとけば、完璧じゃなくたって全然良い。ほんとに隅の隅の埃なんか取らなくたって構わん。そーゆーところは、テキトーに手を抜け、そのほうが全然必要とされる仕事だと、私は思うんです。それが私の言うお奨め手抜きテキトー清掃なのです。で、色々とメリットがあって、そういう優秀な手抜き清掃の出来る人は、他の事も色々と気を配れるんですね。常設家具のちょっとしたキズに気が付くとか、エアコンの調子がおかしいとか、そういうところに気がつく余裕が出来るのだと思います。

 

或いはもっと、向上心のある人は、自分なりにテーマを持って仕事する人もいます。例えば今日は今まであまりやってなかった壁の埃を丁寧に取っておこうか、とか、デスクの引き出しの奥まで拭いておこうか、とかそういう風に自分なりに気がついてなかったようなところに注意するように他人に言われなくても自分自身でやろうとする。なかなかそんな人はいませんが、何人かはそんなメイドさんもいます。そういう人には責任者の私が逆に教わったりします。しかし、私の言うような手抜きテキトー清掃がなかなか出来ない人はほんとに上達しないですね。10年いても10年前とレベル一緒、みたいな。で、逆の意味でやって欲しくないような手抜きテキトー清掃をする。

 

でまさに今日、その人を結構厳しく注意したんですけどね(笑)。何をしたかというと、呆れた事に見た目分からないからと、掃除機をサボりやがった。なのでコロコロで髪の毛がいっぱい残ってる事を突きつけて、反省を即した次第。

 

何十人もメイドさんがいるので、そういう人がいても仕方ないんですけどね。

超絶細かい指摘をするお客様。

客室清掃のレベルを上げる、というチャレンジは面白いものではある。限られた人材、限られた時間、限られたコストの中でも実際出来ることは多い、というのが1年以上現場責任者をやってきた実感である。業務の全体を俯瞰的に把握する事の出来る現場責任者の特権みたいなところがあって、ここをこうすれば、そっちはああなって、あっちはこうなるから・・・みたいな全体を一つのシステムと考える事でレベルを上げる事が出来るのである。

 

具体例を挙げよう。毎日の清掃作業というのは肉体的に大変で、にも関わらず仕事を増やしてしまうと逆にレベルが下がってしまう危険性がある。例えば、ある箇所の埃を取れてないと言うクレームに対応しようとして、メイドさん全員にそれだけを指示したとしても、今まで余りそういう箇所の埃を取っていなかったのなら、その作業分増えるだけで、他の部分の不出来が生じかねない。なので例えば、余り問題のなさそうな箇所の清掃作業を一週間に一回にしてしまうとかして作業量自体を減らしつつ、その問題箇所の埃取り作業を加える、という風にすると作業量を余り変えないでレベルを上げる事が可能になるのである。

 

この例は比較的単純な例であるが、こうした考え方は非常に有効でメイドさん個々人のレベルの違いに依存しないで全体のレベルを上げる事は十分可能なのだ。他にも人をどう動かすかとか、誰それに何をやってもらうか等々、現場責任者が直接客室清掃しなくたって出来ることは非常に多いのである。現場責任者をやり始めた最初の頃は「もっと優秀な人を多く欲しいなぁ」などと思ったもんだけど、ないものねだりをしても仕方ない。人のレベルに依存せずに、品質を上げる仕組みを作ったほうが結果的に楽、ということもある。

 

だがしかし。

 

たまに、・・・・いや結構しばしば、物凄いお客様が宿泊される事がある。どう物凄いかと言うと、「えーーーー!?いくらなんでもその指摘をクリアするのは無理だろ!」と頭を抱えざるを得ないレベルのクレームをつけるお客様がいらっしゃるのである。カーテンの裾の端に付いた僅か直径5ミリほどのよく目を凝らさないと見えないくらいの薄い染みを指摘された時にはほんとに心の中で「こ、・・・これは無理だろ」と思ったものだ。

 

或いはまた、バスルーム内のトイレ便器の裏側の、どうやったって直接は見る事の出来ない箇所の汚れを指摘された時には、もうね、あなたいったい何者なんですか?と小一時間問い詰めたくなった事もある、マジで。

 

とてもじゃないが、そんなの不可能と言うしかないレベルのクレームを言って来るお客様に対してはお手上げだ。或いは不可能とまではいえないが非常に難しい事も言われた事は度々ある。日常の客室清掃では通常取れないような汚れであるとか(毎日特別清掃でもしろっつーのか)、掃除機が入らないベッド下の埃であるとか(毎日ベッドをどけろとでも言うのか)、そーゆーのね。

 

一体、そーゆーお客様たちはどんな世界で暮らしているのか? 普段はどういう生活をしているのか?、見当も付かない(笑)

 

で、そうした厳しい厳しい超絶厳しいお客様がアンケートで五段階評価で清掃を最低とするもんだから、一気に平均点数が下がるっつーかね。こっちは頑張ってレベル上げてんのに点数が下がるんだよ!wカーテンの裾の隅の薄い小さな染みだけで、たったそれだけでどーして五段階評価の1なんだ?www

 

つか、なんでこのホテルに泊まるんですか?(^^;)

現場責任者は複雑な人間関係に悩むの巻。

全国の客室清掃に携わっておられる皆様はいかがお過ごしでしょうか? 地域によっては忙しかったり、暇になったり色々あるとは思われますが、うちのホテルは満室近い稼働率が続いていて、人員は相変わらず不足しておりますのでその調整に毎日頭を悩ませる日々が続いております。時給1500円でも2000円でも払えれば楽に集められるかも知れないのですが、この請負金額ではどうにもなりません。ただでさえ実態は赤字でございます。何せ、比較して現場スタッフよりは給料の高い本社社員の応援無しには回らない現状ですからね。私自身がそうですし。安いんですよ、私の給料。でも、さすがに本来雇うべき現場責任者に支払う給料よりは幾分高いので。

 

しかし、聞いた話では他のホテルでも人手不足が酷いところが多くて、酷いところだと一人のメイドさんが本来メイクする部屋数が倍近くになってるところもあるそうで、まだまだうちのホテルは恵まれているのかなぁと思ったりもします。とにかく、やりくりを工夫しまくって、手を抜けるところがあれば力の限り手を抜かせて(笑)、聞き入れてあげる事があれば出来る限り聞き入れてあげて、現状スタッフの一人として現場を理由には辞めさせない様、あらゆる手段を講じているところでございます。その甲斐もあってか僅かではありますが現場スタッフの紹介を通じて若干名新人が増えたりもしています。ありがたいお話です。

 

ところでしかし、仕事の中で発生する様々な人間関係トラブルと言うのは、たくさんの人間がいますからどうしたって生じてしまいます。みんなが協力してやらねば出来ない仕事なので、例えば誰かさんが片づけをしないだとか、挨拶もしないだとか、或いはまたあの人の部屋は手伝いたくないだとか、そういう色んな不満はちらほらこちらにも届きます。これが、そう言われているその人だけを指導して何とかなるのなら簡単なんですけど、ほとんどの場合そうではありません。

 

例えば片づけをしないと名指しされた当人にお話を伺うと、自分はやらないといけない事はきちんとやっていると言う。で、確かにそのとおりきちんとやってたりするんです。で、「なんだちゃんとやってるじゃん」とかと思って、名指しした人にもう一回聞いてみると「あの人はそればっかりやってるけど、他にもやらないといけない事はあるのにやらないんですよ」と。で、もっかいその当人に事情聴取するとそのとおりその他にもやらないといけない事はやってない、がしかし、それにはカクカクシカジカな理由がちゃんとある、とか言うわけです。そう、大抵話はそう単純ではないわけなのですね。

 

で、実は本来の問題はそこじゃなくて、当事者同士の不信感が他にあって、過去にあんな事やこんなことがあって根に持ってたりする。・・・・おまいら、仲良くしてくれよー、と。ほんとに困った話です。そういう妬みや恨みみたいなところで「あの人を注意して下さい」みたいに私に言ってくる人もいます。ほんと、そういう人間関係の複雑なところをコントロールするって難しい・・・つか、本来そんなの私には向いてない仕事なのでして、本気で私は一人で仕事したいんです!w

 

しかしホテル客室清掃責任者として現場に磔の身になっておりますので逃げられませんから、ない知恵絞ってどうにかするしかないんですけどね。大抵の場合はのらりくらりかわしてたりするんですけど(笑)。

 

ただそれが、仕事の中身に関わってくるのであれば、そうのらりくらりかわしている訳にもいきません。例えば、バスタブをしっかり洗わないメイドさんがいる、などの場合はやはりどうにかしてしっかりみんなに洗ってもらわないといけない。これが単に「しっかり洗って下さい!」と言って済むなら簡単なんですけど、個々人のレベルや性格など色々と違うからそういう問題が起きるのであって、ならば具体的に対策を採らないといけない。例えば今以上にバスタブを洗いやすくする方法をみんなに提示するとか、そういうことです。そうする事でそうした不満の声を減らす事が出来ます。

 

人によってやり方は様々だと思います。そうした不平不満、人間関係の縺れみたいな所を、具体策でコントロールする私みたいなやり方をする人もいれば、ひたすらに厳しく指導する事によって現場をまとめていくとか、とにかくスタッフと話し合って相談して解決していくとか、色々やりかたはあるでしょう。それはそれ、上に立つ立場の人が自分に合った方法でやりやすいようにやれば良いと思いますけど、とにかく私は基本「辞められたら困る」が基本なので、余り怒らずやさしくやさしく対応するしかないのですね。

 

それでも、結構大変です。最近なんかだと、そもそもたった一人の不平不満なのですが、それだけで何人かを巻き込んでトラブルになってしまい、やむを得ずない知恵絞って出来た対策を実行するために、そのために使用する道具を何十個も私自身がほぼ一人で用意せざるを得なくなったとか、泣きたくなります。解決のためだから致し方ありませんが、多分誰も褒めてくれないでしょう(笑)

 

いやほんと現場責任者って苦労が絶えないですねー>他のホテルの現場責任者の方へ。

こまけぇこたぁいいんだよっ、とは申しますが。

夏がとうとうやってまいりました。くそ暑い!くそ暑い!くそ暑い!・・・と言ってもほとんど大抵のホテルではエアコン冷房ガンガン効かせまくりで涼しく清掃されておられるでしょうけどねw

 

客室清掃では、夏の方がいいというメイドさんも多いのですが、その大きな理由はバチッとあの嫌な静電気が夏はないから、です。静電気と言うのは実はベッドのシーツではなくて、冬場の人体表面が乾燥してるから生じるんだそうです。乾燥していると電気が逃げる為の水分が少ないので、体に静電気が蓄積されてしまい、結果たくさん溜められた静電気が一度にドカンと流れてしまうのでバチバチなるという理屈。とは言え、要するに夏は発汗してるということなので、水分が体から失われてしまうため、水分をこまめに取らないと熱中症になりますので気をつけましょうね。

 

さて当ブログも客室清掃に関するネタをいっぱい書いてきて、身バレしない範囲で書かないといけないと言う制約から、なかなかネタが思いつかなくなってきたと言うのが最近しょっちゅうブログ書くのをサボってしまう大きな理由なのですが、今日、自分で洗剤とかの準備をしていて、ちょっとそうした洗剤などの細かい話でもしてみようかなー、と思った次第。

 

洗剤にはアルカリ性と酸性と中性があって、最近ではアルカリ電解水とかもあって・・・みたいな話はしません。そういうのはググれば済む話だし、実際のところ無数に洗剤は存在し、洗剤のPHだけでは語れないくらい種類があります。唯一つだけ知っておかないといけないのは、洗剤と言うものは全て(※例外もあります)界面活性剤を主成分とする、ということです。

 

化学的な話をすると、界面活性剤は基本的に親水基と親油基という部分で構成される分子構造を持ちますが、難しく考える必要はありません。要するに親水基があるから洗剤は水に溶け込み、親油基で汚れを抱きこむんです。もっと簡単に言うと、洗剤は汚れ成分をひっ捕まえて水の中に引っ剥がしてくれるものなのです。だから、大抵の洗剤は、例えば洗剤をかけて少し待つだけで汚れの取れ方が違ってきたりします。

 

で、最近の洗剤は界面活性剤自体の性能はもちろん、他にも色々な成分が入っていたりして、汚れをもっと取りやすくするとか、或いは除菌性能を持つとかそうした働きもあるので、出来ればそういう洗剤の性能を有効に使うべく、洗剤を掛けてから少し時間を置く方がベターなのです。よくあるのが、洗剤を掛けてすぐに擦ったりし始めて泡立たせた方が汚れが落ちやすいのでは?と言う誤解です。実は泡って洗浄には関係ありません。むしろ純粋な理屈から言えば泡立たない方がいいのですけど、泡立つのは界面活性剤自身の性質なのでどうにもなりません。ただ、泡には別の性質があり、例えば泡立つ濃度が洗浄が最も効果的な濃度と分かるとか、或いは泡の性質で洗浄面にある程度引っ付いてくれる、など無意味と言うわけでもありません。

 

しかし、それでもすぐに泡立たせるべきではなく、洗剤の能力を有効に使うには少し待ってから擦ったりする方がやはりベターなのです。漬け置き洗いなどを思い浮かべれば分かるかと思います。それでうちのホテルでは、先ず最初にバスルームのトイレに洗剤を掛けてから、そのまますぐ洗うんじゃなくて例えばバスタブ洗いをしてからトイレを洗いなさい、などという教育をしたりしています。その効果が出ているのかどうかまではよくわかんないんですけど、清掃の順序って大事なんだなーと思わせることは少しくらいは出来ているかも知れません。

 

あと、その洗剤なんですけど、ほんとに色んな会社から色んな洗剤が出てて、選ぶのを考えるのも嫌なくらい、一度選び出したらめんどくさいんですが、変えてみるのもいいと思います。私なんかは本来の職業柄「洗剤屋っつーのは嘘付きばっかで困る」と思ってしまうほど色んな洗剤使ってきましたが(笑)、いやほんと、売り文句がいい事ばっか書いてあるから何がいいのかさっぱりわかんないんですけど、そこそこ当たる事もありました。洗剤ってのは洗剤の基本性能だけじゃなく、コストもあるし、使いやすさもあれば、臭いの面でどうかとか評価ポイントが色々あるんですが、今うちで使っている洗剤は昨年変えたものなのですが、ベストとは言わないまでもなかなか優れた洗剤なのかなーと思ってたりします。トイレだけじゃなく何でも使えるんで、非常に便利ってのがポイントだったんですけどね。トイレの臭い対策にも多少はなった、ってのも大きいかな。

 

あと洗剤だけじゃなく、道具などもちょこちょこ変えてます。とにかく、メイドさんたちに細かい事は言わないのに、そういうところには何故か拘る細かい私です(笑)。

 

ともあれ、今年は暑くなりそうです。夏バテしないように頑張りましょうねー(・ω<)☆