ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

客室清掃というお仕事の現実。

ホテル客室清掃業界というのは広いのか狭いのかよく知らないけど、他のホテルで働いてたー、あっちのホテルではこうだったー、みたいな話はよく聞くし、同じようにうちのホテルのことも話されてんのかなーと思う・・・・けども、実際、何故かよく分からんけどうちのホテルから辞めて別のホテルに行く人はどうも最近少ないみたいだからそれはあんまりないかも。

 

で、そうした他のホテルの話を聞いても、状況は大して違わない。基本的には何処も人手不足である。こないだ聞いたところなんか、うちのホテルだとほぼ清掃が終わるのが大体15:00~16:00ってところだけど、そのホテルでは18:00になっても終わらず、フロントがルームチェンジ先考えるのも四苦八苦だとか。上には上が、というよりも下には下があるものだ。

 

そのように人手不足が酷くなると、スタッフもきついので辞めてしまうという悪循環に陥りがちである。それもあって、とにかくスタッフにやめて欲しくないという大前提で頭を絞りに絞って、スタッフに出来る限り無理をさせない方針でやってきているわけだが、実際のところ運に恵まれていると言うか、スタッフに恵まれている感覚の方が大きい。だから、偽らざる本音を言えば、スタッフに何人も辞められたりしていつピンチに陥るかと思うと恐くて仕方ない。

 

大抵のホテル客室清掃の現場がそうであるように、ある程度高齢の人を何人も抱えているから、ただでさえ肉体的にハードな仕事なのに、過剰にきつく仕事させてしまうとリタイヤ続出になるのは目に見えている。実際のところはその辺を騙し騙しやってきているし、いつボロが出てもおかしくない。知恵を絞るのも限界がある。実際、ホテル同士、宿泊客を奪い合うという意味の競争は激しいだろうし、むやみに手を抜かせることも出来ない。私は常に散々考えて、可能な限り無理はさせないようにはしてきたつもりだけど、だからといって不備が増えては本末転倒だから、やるべき事はやってもらわないと困る。

 

要するに、如何に働く人に不満を与えず、ホテルサイドに対しても要求に答えつつ、という匙加減が結構きついのだよね。自分の所属する会社への利益は正直後回しにしてるけど、まぁそれはホテルに対して一定の評価をもらえるようにしてればいいだろうってところであまり考えないようにしている。そもそも安過ぎるんだから、これ以上はしゃーねーだろー、と。そこまで単なる現場責任者が考えてたら正直身が持たない。

 

でも、世の中先ずは"お金"だろうと。どうしてホテルサイドはもっと客室清掃にお金を出さないのだろう? ホテルの経営がどうやって成り立ってるのかなんて全然知らないけど、大抵のホテルは1室清掃していくら、程度の契約しかしてないはずだから、そのお金だとメイドさんにいくら支払われてるとかはそんなに複雑な計算をしなくてもある程度分かる筈であろう。より良い人材に来てもらえばクオリティだってあがる、その為にはある程度の賃金を支払わないといけないってことは誰でも分かって当然の筈なのに、現実は全然安い。

 

これは広く清掃業界全般に言えることだけど、バブルの頃は清掃ってそこそこ儲かったらしい。だがバブルがはじけるとどんどん金額が下がっていった。で、業者同士の価格の叩き合いになった。すると、潰れる会社も当然出てきたのだが、そこを辞めた人間が新しく会社を作ったりして業者自体は増えてしまったんだそうな。だから、価格の叩き合いがより加速度的に酷くなった、とうちの社長は言っていたw

 

それがホテル客室清掃の業界でもそうだったのかどうかは知らないが、そんな特に専門性が必要なわけでもない仕事だから、客室清掃をやろうとする会社も増えたかもしれない。基本的に人さえ集める事が出来れば出来るからね。ただ、近年はその人集めが大変なので客室清掃をやりたがらない会社も多いとも聞く。実際に、実数として客室清掃をやる意思のある会社がどれだけあるのかは知らないし、需給関係がどうなってるのかなんて全然、何処にもそんなデータはないけど、もし仮に客室清掃をやろうとする会社が減ってきているのであれば、需給関係に応じて金額は上がってくる、とは予想できる。

 

・・・とまぁ、この先どうなるのかは甚だ不透明ではあるけど、最低賃金もこれからは上がり続けるだろうから、ホテルとしても契約金額を上げざるを得なくなってくるとは思う。ていうかそうしてもらわないと困る。どんなに頭を捻ったって最早限界だ。今の金額でこれ以上レベルを上げるなんて私には出来ない。

 

やっぱりどう考えたって世の中金だよ。仕事なんだから。