ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

プロフェッショナル意識は大切。

客室清掃の求人募集広告を読んでいると時折こんなコピーを見かけます。

家庭の清掃と同じですから誰にでも出来ます。

確かに、拭き掃除したり掃除機かけたり、やっている事は大して違わない。ホテルのベッドメイクは家庭にはたぶんあんまりないと思うけど、布団のカバー替える延長線上にあるから同じと言えなくもありません。

 

だけど極論すりゃ、どんな仕事だって、可能性としては誰にでも出来る仕事だ。99.99999%あり得ないとしても、可能性だけを言うならプロ野球選手にだってなれる。それは言い過ぎとしても、世の中「私には無理だ」と思う人が多いのか、そうした「誰にでも出来ます」ってキャッチコピーは有用なのかもしれない。とにかく、ホテル客室清掃の仕事は売り手市場、簡単だよーみたいなアピールも必要なのだろう。はい、実際簡単です。この世界を舐めてもらって結構です。むしろ舐めて掛かって欲しい。大したことはありません。但し・・・なんてな但し書きもありません。肉体は駆使しますけど、しんどかったら辞めちゃえばいいんですから。

 

でもね、その仕事で多少なりともお金貰うってだけで、世間ではプロと呼ばれるんです。プロフェッショナルには必ず仕事に対する責任が伴います。どんな簡単な仕事にも例外はありません。しかし、悲しい事にそれが分かってない人が少なからずいるんですよね。うちの現場にもいるんですよ、そういう人が。具体的に書きますと・・・・

 

Aさんはベテランといっていいでしょう。表面的に見る限りあまり問題のない仕事をします。まぁそれなりに長くやってるからそこは当たり前でしょう。ところが、Aさんは基本、言われたとおりにしか仕事をしないんです。例えば、客室内なんて何か破損してたり傷ついてたりってことはしょっちゅうあるのに、滅多に報告しないんですよ。で、こっちは「客室内で気付いた事柄は何でもきちんと報告して下さい」って指導している。で、例えばシャワーホースに破損があったとすれば、大抵の人はきちんと報告してくるんですけど、Aさんは「気付かなかった」って平気で言うんです。あのね、気をつけてくれとまで言わなきゃいけないの?あるいはシャワーホースの破損を必ず確認しろとまで指導しなきゃいけないのか? そんな細かいこと言い出したらはっきりいって指導項目は莫大なものになる。

 

いちいち細かい事までいわないと分からない人って、プロ意識がない、あるいは意識が低いんだと思います。ただただ、お金くれるから仕事してるだけって言うか、最低限のことをしさえすればいいんだ、みたいな、そういうのってはっきり言ってプロじゃない。私は本気で、Aさんには辞めて欲しいと思ってますが、人員不足なのでそんな贅沢は言えないため、我慢するしかありません。もちろん人が十分増えた時点で解雇を通告するつもりです。

 

客室清掃って要するに、宿泊されるお客様に対して、快適な客室にする事、そのために仕事してるわけであり、不快な思いをさせてはいけない、という意識が不可欠なんです。特に高いクオリティを求められるレベルのホテルではほんとにその意識が大切です。確かに、じゃぁどこまでやればいいのか?っていうのはありますが、少なくとも意識だけは常に持ってなきゃならない。自分のした仕事に何か不備があるかもしれない、気付かなかった事があるかもしれないって多少なりとも不安を持ってやらないといけない。

 

私たち、上の立場に立つ人間はもちろん完璧であればいいのにとは思いますが、実際には完璧は求めていません。そんなのは無理です。ただ、仕事に対して誠実であって欲しい。一言で言えば、「向上心を持つ事」なんですけど、そんな堅苦しいことは言いません。深く考える必要もないです。でも、辞めて欲しいとか思われるような仕事をしないで頂きたい。

 

なんだか、異常なくらい説教っぽくなってしまいましたが、Aさんにはほとほと困ってます。実際Aさん以外に辞めて欲しいと思う人はおらず、つまりそれくらい酷いんです。「言われたとおりには仕事する」って上では表現しましたが、Aさんはちょっとでも基本以上のことを指示するようなものなら、とたんに「なんでそんなことしなきゃならないの?」って文句ブーたれるんですよ。ほんと、人手が足りてたら辞めさせたい!・・・はぁ(溜息)。