ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

辞めたのでちょっと暴露する……(注)大したことありません。

暴露するったって、守秘義務は辞めてからも適用されてしまうので、やばい話はできません。例えばどこのホテルに勤めていたのかについては、明言は避けます(守秘義務になるのかどうかはしりませんが)。後、誰それが不倫していたとかもヤバすぎます(笑)。なお、勤務地は京都であったとだけはいっておきましょう。ほとんどバレバレ寸前で語ってきたのでわかる人にはわかっていたとは思われますが。

 

というわけでお話しするのはできる限り役に立つ系です。

 

ホテル客室清掃というのは、やることの基本はどこでも同じでしょう。出勤時間があり、朝礼があって、清掃作業に入り、終わったら帰る、ってだけの毎日です。しかしながら、従業員の給与をカウントするにあたって、時給制度にしている場合、例えばこんな問題が生じやすくなります。

 

早くて綺麗な清掃をする人が、遅くて雑な清掃をする人と給与が同じ、ということは不公平。

 

時給制で、10時ー15時の5時間で時給千円だと、五千円貰えるわけですが、同じ時間で五部屋しかできない人と七部屋できる人で同じ給与というのはあり得ない話ですが、現実に人によってスピードは異なってしまうわけです。個人間の能力差というのは如何ともし難い話です。

 

じゃぁ、ということで、人手不足ですから、遅い人に時間をオーバーしてでも早い人と同じ七部屋のノルマを課してしまうと、これは五時間分しか給与を払わないのに、二時間オーバーさせるということでその分を払わないというのは違法です。

 

あるいはそれならと、七部屋出来る人がそれでは不公平だから、五部屋にして早く終わるけど給料は五時間分払って欲しい、というのも変な話です。四時間で終わって帰ってしまうのなら四時間分しか払えません。

 

ホテル客室清掃というのは、パート仕事と考えた場合、一般的な就労現場とはかなり異なり、能力差が大きく影響してしまうので、均一時給でやらせるのはかなり難しい問題があります。もっともこの仮定では一人一室清掃という考え方になっているのでその点は注意する必要があります。

 

ではこれを解決、あるいは不公平感を低減させるにはどうすれば良いかというと、単純に言えば部屋数の歩合制にすればいいのですが、それをそのまま実行してしまうと労働法規上は違法になってしまいます。給与はあくまでも時間単位で支払わないといけないというのが労働法規上の原則です。

 

以前にもこの話はしています。

 

hotelsekininsya.hatenablog.com

 

メイドさん達を個人事業主扱いにし、契約書を個別に交わして、請負契約とし、雇用契約という形を取らない、という方法ですが、これは完全に偽装請負であり、訴えられたら会社は負けます。やってるところが結構あるという実態は聴いてますが、ダメなものはダメです。

 

ではどうすればいいのでしょうか、という問題ですが、この話は違法な話なので暴露してもいいと思いますので言いますが、辞めた会社はまさにこれをやってました。勤めている間は自分にも及ぶ話なのでこのブログ上では曖昧に誤魔化したり出鱈目を言ってましたが。

 

もともと請負単価が安過ぎるので、地域最低賃金でやらせても赤字は必至で、あの請負単価で利益を出したいならこうする以外にありません。私は何度も時給にすべきだというような話を内々にはしていましたが、ともかく酷い話です。それが為に、メイドさん達には労働法は適用されず、労災も降りないし、失業保険もなく、有給なんてあり得ない*1世界の話になってました。

 

違法な話はさて置くとしても、この問題の根っこは請負単価の適正なレベルというものがあると思います。以前に見積もりの話をしていますが、きちんと見積もりすれば、企業の適正な請負金額というのは簡単に出てきます。

 

さて、それは踏まえた上での話として、ではどのように公平さを実現していけばいいのかという話をします。その為には、メイドさんの労働の質と量をどうにかして計測する必要があります。質については、メイドさん達のレベルに応じて時給にランクをつけるというものですが、評価基準をどうするのかについては色々な考え方があり、今回はちょっと難しい話なのでこれは割愛します。

 

もう一つの量は比較的簡単です。部屋数、部屋の種類や清掃のやり方などでの区分などを厳密にカウント出来るようにして、記録し、賃金に上乗せしていくという形です。カウントして集計し、データ処理して賃金計算するだけなので、簡単といえば簡単なのですが、これ、一応、請負制度のもとでやったのが私なのですが、実は集計する側はかなり大変です。過去にその辺の話はしていて、集計システムをわざわざかなりの労力をかけて作成して楽にはしましたが、あのシステムがなければお手上げでした。

 

で、おそらくそこまでやってるホテルなんてほぼないに等しいのが現実だと思います。多分、時給制であったとしても、実態は日給制、つまり早く帰ろうが遅くなろうが同じ給与しか払わない、というところが多いと思いますね。歩合制の部屋数だけというのはそこそこあるみたいですが、仕様が単純でないホテルでは部屋数だけでは不平不満を解消できませんし、一体どうやってるのか教えて欲しいです。

 

ともあれ、労働法規を守ってまともにやろうとすると、賃金計算は大変だという話でした。しかし、これなんの暴露話やねん(笑)。あ、もし賃金計算システム作って欲しいなら、コメントでお話しいただければ、ご相談させていただきたく存じますので、よろしくお願いします。

 

*1:厳密にいうと適用されると思います。何故かというと請負契約は違法であって、実態は雇用契約に相当すると判断されるからです。もし請負契約になっていて労災などで困っている方がおられたら、労基署等に相談してください。違法なのは会社であり、働いている人ではありません。