ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

客室清掃の三大難問。髪の毛・シャワーカーテン・埃について。

難問中の難問だと、個人的には思っています。

 

十年ほど前、フィリピンセブ島に社員旅行(豪勢だと思わないでください。きっちり親睦会費を給料から差っ引かれて、安い給料がさらに安くなってましたからね)に行った時に泊まったホテル。バスルーム髪の毛だらけでした。そのなん年後かに行ったサイパンでもセブよりはマシだったけど、髪の毛ありました。埃もそうだったし、シャワーカーテンも匂ってましたね。全世界のあらゆるホテルに行ったわけではないですけど、しょっちゅう聞く話ではあります。

 

1.髪の毛

以前に記事に書いたこともありますが、コロコロやテープなどで対応されている方も多いと思います。髪の毛が清掃後に残ってしまう要因は一つではありません。以下に箇条書きします。

 

  • バスタブなどの洗いですすぎ洗いにしっかりシャワーを流していない。
  • バスタブやバス内床面までしっかり掃除機がけしていない。
  • 頭巾等を使用せず、清掃員自身の髪の毛が落ちることまで配慮していない。
  • 拭き上げ専用タオルを使わず、使用済みバスタオルなどを使っているので、そのバスタオルに付着した髪の毛が拭き上げ後に残ってしまう。
  • 掃除機はかけているが、掃除機のゴミやフィルタなどの整備が行き届いておらず、しっかり吸えない。
  • 確認を怠っている。
  • お客さんの洋服などに付着した髪の毛が落ちているのに、お客さんが清掃が行き届いてないと誤解している。
  • 部屋の状態から明らかに抜け毛の多いお客様の後なのに、気を配って清掃していない。
  • シーツやデュベを客室内床面など髪の毛があると思われるところに、直置きしたりしている。

 

さっと思いつくだけでもこれだけありますし、まだまだあると思いますが、最大の理由は髪の毛は見えにくいことです。黒毛ならまだしも白髪ならどうか、とか。清掃員さんの視力の問題もありますし、そうなってくると結構厄介な話です。ではどう対策していくのか。

 

まずは、上のように要因を可能な限り列挙していくことだと思います。私の方針は一つ一つ潰していくことでしたので、要因何十個レベルで地道に対策していきました。上には挙げてませんが、掃除機先端のヘッドを髪の毛をよく取ってくれるヘッドにしたりもしましたが、これはこれでそれだけでは済まない対応策も迫られました(そのヘッドを毎日整備する必要に迫られました)ので、一つ一つの対応策自体もよく考えて実行する必要があります。

 

他、清掃員の目視の前で、掃除機がけ済みのカーペットにコロコロをかけて、それでもこんなに髪の毛が落ちてるんだぞ、とか認識もさせたり、Webサイトからデータ取ってきて人間は1日あたり50本から数百本髪の毛抜けるんだぞとか言ってみたりとか。髪の毛ってそれくらい厄介なのです。

 

2.シャワーカーテン

シャワーカーテン問題は何度かこのブログでも記事にしています。お客さんの垢などを栄養分とする雑菌が繁殖するからなのですが、まずはしっかり匂いを嗅いで確かめる必要があります。そして、基本的には臭うカーテンを新しい洗濯済みカーテンに交換するわけですが、多くのホテルでは予備のシャワーカーテンを用意してはいますが、色々と問題がありこれも列挙します。

 

  • そもそも予備シャワーカーテン枚数が少なくて、その当日必要な枚数に足りない。
  • 回収した臭うカーテンをどうするのか。洗濯機がない、あっても乾かす場所がない、ハイターなどにつけ置きしているが、乾かしている時間もなく誰がするかも決まっていない。
  • 清掃員が匂いに鈍感
  • 清掃員が交換を怠る

 

サクッとあげれれるのはこの程度かな。匂いに鈍感な人は結構多いらしく、私はかなり敏感なので、よく「これ臭うけど?」「え?全然臭わなかったんですが・・」ということがありました。私、家庭でもダメなんです、雑菌臭のする布巾やらそれで拭いた食器、湿気のあるところで乾かされた雑菌臭のする衣類などの匂いが元々我慢できません。

 

なので、最も大切なのはシャワーカーテンを鼻に引っ付けるくらいにして匂いを嗅ぐことです。で、責任者側は必要なシャワーカーテンを毎日どう供給していくかに知恵を絞る必要がありますし、ホテルもケチってないでシャワーカーテンの予備をドカンと用意する必要もあります。髪の毛も大変だけど、シャワーカーテンも大変なのです。

 

3.埃

埃は、基本的には埃を溜めない、という認識を持つことではないかなと思ったりしています。これは上の二つとは別の観点で厄介な問題を含みます。埃は清掃中に舞い上がり、清掃後に落ちて溜まっていく、ということなのですね。ですので、埃が目立つ黒い表面素材などには、実際には少ししか溜まっていないのに目立つので溜まっているように見えて、清掃出来てないじゃないか!などと言われてしまうことがあるのです。そこを踏まえた上でポイントが三つあります。

 

  1. 埃がたまる箇所をしっかり把握しておく
  2. 埃を取る箇所をきっちり毎回の清掃で埃取り作業をする癖をつける
  3. 可能ならば清掃前と清掃後の二回、目立たない箇所は先に、目立つ箇所は後に埃取りをするタイミングを分ける。

後もう一つあるのですが、作業効率を考えて、清掃しにくい箇所などを選択して週一などの埃取り作業で済ませる箇所を検討してもいいでしょう。お客さんは触れないしあまり見ない箇所などで、毎日は必要ないかと思えるような箇所ですね。週一程度の頻度にすると逆に、清掃員はその日だけでいいので、その日だけはしっかりやってくれるようになります。他の日はそこはやらなくて済むので楽にもなりますしね。ともあれ、作業を習慣化させてしまうのです。

 

なお、清掃前後に分けるのは何故か。それなら清掃後の一回で済ませる方が良いのではないのか? という意見もあろうかとは思いますが、一つは清掃前でないと埃が取りづらい箇所もあるからです。あるいはその時に作業効率的に一気にやってしまった方が良いとか。もう一つは、埃の塊があちこちに落ちたりもするわけです。するとその場合は清掃前の方が良いということになります。清掃後に実施する箇所はあくまでも清掃中に舞い上がった埃の堆積を可能な限り防止するだけの意味しかありません。

 

追記:

 清掃前とか清掃後とか変な言葉使いですね。ホコリ取りも清掃作業なのですから(-。-; で、ベッドメイク前半と後半というくらいに考えるといいと思いますけど、後半にする掃除機がけより前なのか後なのかという問題はありますが、埃取ってできた塊が落ちることを考えれば掃除機掛け前がいいだろうし、埃が目立つ箇所を無くしたいのであれば掃除機かけより後ということになろうかと。要は、ベストなタイミングでのホコリ取りがいいのではないか、という一つの提案です。一回で済ませたいところではありますが、一回ではベストな埃取りは無理じゃないかと思います。

 

 

他にも、鏡などに付着した水垢問題や、トイレの清掃をしっかりやるにはどうすればいいか、鏡やガラス面の手垢など、様々な清掃ポイントもありますが、ただ清掃員に「しっかりやれ!」では対策にはなってないと思います。対策とは対策前と対策後で効果がはっきり現れないといけないし、対策後には継続して同等もしくはそれ以上のレベルを維持していけるようになってないといけません。

 

人手不足の世の中であり、客室清掃はただでさえ不人気職種なので、口頭指導ばかりがエスカレートして軍隊方式になっては労働者が寄り付かなくなってしまい、自滅の恐れが高くなってしまいます。なので、知恵を絞ってそうならないように、出来る限り科学的に考えて合理的に、効率よく対応策を捻り出さなければなりません。

 

少なくとも私はそう思います。