ホテル客室清掃のお話。

ホテル客室清掃についての色々な話を、現場作業から現場責任者、担当者まで経験してきた人が語るっていうブログです。

背を伸ばそう!

清掃の人って、多分下ばっかり見てると思うんです。床に落ちてるゴミや埃、あるいは汚れを掃除するのが基本だから仕方ない職業病みたいなもので、しかも高齢者が多い職種だから腰の曲がった人も少なからずいるし、そんなわけで腰を痛めてしまいがちです。

 

腰というのはよく言われるように、人間の肉体的な弱点です。何故なら、腰は鍛える事が基本的には出来ないからです。脊髄には関節はなく、腰を曲げたりする運動は身体の色々な部位の筋肉が働いて可能になっているだけです。従って腰を支える筋肉がないため、脊髄を保護できず、姿勢の悪い人は腰が曲がった状態になってしまい、その状態で重いものなどを持ち上げようとすると腰が真っ直ぐな人より余計に負荷がかかり・・・・と悪循環に陥ります。

 

そうならないためには当たり前の話ですが、普段から姿勢をよくする事を心掛ける以外にはありません。実は個人的に私は何故か、小学生くらいの頃からこれを心掛けています。学校の授業では一人何故か机に座ってても腰を伸ばしているので、目だってしまい先生にもっとも当てられた記憶がありますw。とにかく、どうして姿勢をよくしておこうと思ったのか理由はよく覚えていません。

 

姿勢をよくする基本は三つです(昔、剣道の先生に教えられました)。

・顎を軽く引く。

・肩の力を抜く。

・立つ時には両足に均等に重心が掛かるように立つ。

何故か、背を伸ばす、という項目はありません。でもこの三つを心掛けるだけで確かに姿勢はよくなります。先生が仰っていたのは、重心を自由に動かせる状態を作れば、剣道の攻守に瞬時に対応できる、というような事だったと思います。

 

あと、普通によく言われるとおり、重いものを持ち上げる時などは出来るだけ腰を使わず膝を使いましょう、ってことですかね。

 

で。何故このブログでこんな事を書いてるのかというと、客室清掃作業をするメイドさんってば、作業にばっかり捉われて部屋の中を実はあんまりよく見ていないって事が多いんじゃないかと思うからなんです。作業は大変で、清潔さとスピードが求められるし、ベッド動かすのも大変だし、って感じなので仕方のない部分はあるんですけど、でもどうもやっぱり姿勢のいい人の方が部屋をしっかり見られているように感じる事が多いんです。

 

姿勢が良いと、自然と視野が少し広くなります。多分、そういうことなんじゃないかなと思うんですが、血行なんかもよくなったりして、脳を含めた身体全体の調子もよくなる、という効果もあったりするんじゃないでしょうか? ともあれ、腰が曲がるよりは遥かに良い事だけは間違いありません。よいこと尽くめだと私は思ってます。

 

とにかく、下ばっかり見ないといけないし、しゃがんで作業する事も多いお仕事なので、普段から背筋を伸ばすように心掛けるととってもいいんじゃないかと思いますよ~。

 

 

客室清掃現場責任者にとって大事な契約書について。

過去にこんな記事を書いてますね、私。

 

hotelsekininsya.hatenablog.com

 あるいはまたこんな記事も。

 

hotelsekininsya.hatenablog.com

 

でももしかすると、もっと大切な事があります。客室清掃現場責任者がしっかり頭に入れておかないといけないこととして。 

 

 業務委託契約で外部業者が客室清掃業務を請け負っているような場合は特に、客室清掃全般の業務内容は契約書に付随する仕様書に定められています。当然のことながら、仕様書に定めのない様々な細かい業務も、業務を実施していく中で発生していくわけですが、何れにしても契約の仕事であり、法的な責任という事を考慮すれば、仕様書を基本としてそれに準じた形で仕様書に定めのない部分まで考えて行く必要は絶対にあります。それ故、契約書・仕様書といったものはしっかりしたものを作成して発注側・受注側が十分認識しておくというのはどの仕事であろうと当然の話なのです。

 ところが、往々にして契約書や仕様書がずさんだったりする事もしばしばあるのが日本では多い、とよく聞く話で、なんと、私の今やってる当のホテルとの契約書には仕様書がありませんでした(えーーー!?と書いてても驚く話w)。多分前業者からの引継ぎなので、同じようにやってくれたらそれで良い、みたいなえーかげんな考えだったのでしょう。でも契約書に「業務内容は別途添付仕様書に示す」のような事書いてあるじゃないか、と。

 ホテル側でも問題になったので、時間がなかったのでやむを得ず、私が仕様書書きました、貴重な仕事時間削ってね。たかが現場責任者が大事な大事な契約仕様書を書くとか、しかも本社の確認もなしってどういうこっちゃ? まー私は本来は本社社員だけどさ、上司に問い合わせたら「そっちで勝手に作っておいて」だって・・・。

 

 これね、法的な問題が発生した時に、決定的な部分になるのが契約書なのでめっちゃくちゃ大事なんですよ。例えば、仕様書に記載のない作業をホテルから指示されて実施した時に、何かホテルに損害を与えてしまったとしたら、一体どっちの責任になると思います? もちろん契約書には通常、「記載のない事項については甲乙協議の上・・・」のような事が書いてあるんですけど、それでも揉めたら? ってことになりかねないわけです。だから可能な限り業務内容の子細を仕様書に落とし込んでおく必要があるわけです。

 

 ちょっと話したいことから脱線気味になりましたが、一言で言えば、契約書をしっかり頭に入れておきましょう、ということになります。もし、あなたが客室清掃責任者をやっている現場に契約書や仕様書がないのであれば、会社にお願いしてコピーをしっかり貰って下さい。

 

 とにかく日本の商慣習って、見積書・発注書・請求書だけで仕事するって事が頻繁に行われており(それすらなく銀行振込みだけで完結するって言う極端な例もかなりあります)、だから本来契約上の受発注関係でしかないのに、お金出す側と貰う側という主従関係が暗黙のうちに成り立って、そういういい加減な商慣習が「お客様は神様だー!」みたいな思想が蔓延ってしまう元凶になってるんだと思います。

 

 で、仕様書外のことをする事も多いとは思いますが、責任者は契約書の内容をしっかり把握しておく必要はあります。大事なことは、主従関係ではなく契約関係として仕事をしているという認識です。契約外だからあれはする・これはしない、ってことではありません。この辺を誤解している人が多くて、私が今の会社に入社したての頃に、とあるショッピングセンターの清掃責任者が「高さ1.8m以上のところは契約書に書いてないからやらなくていいんだ」と、きっちり壁の1.8mのところまで清掃して上は放ったらかし、だったのが忘れられません。当時はよく分かってなかったので「そんなもんなのかなぁ?」と思ってただけですが、趣旨は「脚立などを使用した作業は日常清掃には含まれない」ってことでしかないんです

 

 だったらそう書け!てのもあるけど、そんなね、契約書だってどんなに頑張って書いたって曖昧な部分は残ります。つーか、常識で考えろよ、と。壁の高さを2.4mとすれば、床面から1.8mまでは清掃しておいて、残る上部の60cmは汚いまんまとかおかしいだろ!・・・ってくらい妙な箇所があったんですよ。そりゃ、1.8m以上の部分をトータルで清掃するってんなら別契約で特別清掃でやるべきなんでしょうが、たかが2m幅範囲の箇所で下はヤニ汚れが綺麗に取れてて上は真っ茶ってどうなのよ?・・・杓子定規にも程がある!みたいな。そんなもん、1mくらいの低い脚立でささっとできるだろーがw

 

  でも、可能であればそうした細かい部分も契約書・仕様書に落とし込むべきではあるんでしょうけどね。現実にはそこまで細かく仕様書に落とし込まれてない事がほとんどなので、その辺は話し合うとか常識などを踏まえてやっていくしかないってことでもあります。何れにしても、繰り返すようですが契約書が基本です。それはそれとして、受発注双方で助け合い協力して仕事を進めていく事も大切ではあります。ホテルなんてのは特に何が起こるかわからない部分も多いので、当然契約書に縛られてたら仕事が進まない事もありますからね。

 

 ただ、決してホテルとは主従関係ではないということはしっかり認識しておく必要はおおありだと思います。

 

プロフェッショナル意識は大切。

客室清掃の求人募集広告を読んでいると時折こんなコピーを見かけます。

家庭の清掃と同じですから誰にでも出来ます。

確かに、拭き掃除したり掃除機かけたり、やっている事は大して違わない。ホテルのベッドメイクは家庭にはたぶんあんまりないと思うけど、布団のカバー替える延長線上にあるから同じと言えなくもありません。

 

だけど極論すりゃ、どんな仕事だって、可能性としては誰にでも出来る仕事だ。99.99999%あり得ないとしても、可能性だけを言うならプロ野球選手にだってなれる。それは言い過ぎとしても、世の中「私には無理だ」と思う人が多いのか、そうした「誰にでも出来ます」ってキャッチコピーは有用なのかもしれない。とにかく、ホテル客室清掃の仕事は売り手市場、簡単だよーみたいなアピールも必要なのだろう。はい、実際簡単です。この世界を舐めてもらって結構です。むしろ舐めて掛かって欲しい。大したことはありません。但し・・・なんてな但し書きもありません。肉体は駆使しますけど、しんどかったら辞めちゃえばいいんですから。

 

でもね、その仕事で多少なりともお金貰うってだけで、世間ではプロと呼ばれるんです。プロフェッショナルには必ず仕事に対する責任が伴います。どんな簡単な仕事にも例外はありません。しかし、悲しい事にそれが分かってない人が少なからずいるんですよね。うちの現場にもいるんですよ、そういう人が。具体的に書きますと・・・・

 

Aさんはベテランといっていいでしょう。表面的に見る限りあまり問題のない仕事をします。まぁそれなりに長くやってるからそこは当たり前でしょう。ところが、Aさんは基本、言われたとおりにしか仕事をしないんです。例えば、客室内なんて何か破損してたり傷ついてたりってことはしょっちゅうあるのに、滅多に報告しないんですよ。で、こっちは「客室内で気付いた事柄は何でもきちんと報告して下さい」って指導している。で、例えばシャワーホースに破損があったとすれば、大抵の人はきちんと報告してくるんですけど、Aさんは「気付かなかった」って平気で言うんです。あのね、気をつけてくれとまで言わなきゃいけないの?あるいはシャワーホースの破損を必ず確認しろとまで指導しなきゃいけないのか? そんな細かいこと言い出したらはっきりいって指導項目は莫大なものになる。

 

いちいち細かい事までいわないと分からない人って、プロ意識がない、あるいは意識が低いんだと思います。ただただ、お金くれるから仕事してるだけって言うか、最低限のことをしさえすればいいんだ、みたいな、そういうのってはっきり言ってプロじゃない。私は本気で、Aさんには辞めて欲しいと思ってますが、人員不足なのでそんな贅沢は言えないため、我慢するしかありません。もちろん人が十分増えた時点で解雇を通告するつもりです。

 

客室清掃って要するに、宿泊されるお客様に対して、快適な客室にする事、そのために仕事してるわけであり、不快な思いをさせてはいけない、という意識が不可欠なんです。特に高いクオリティを求められるレベルのホテルではほんとにその意識が大切です。確かに、じゃぁどこまでやればいいのか?っていうのはありますが、少なくとも意識だけは常に持ってなきゃならない。自分のした仕事に何か不備があるかもしれない、気付かなかった事があるかもしれないって多少なりとも不安を持ってやらないといけない。

 

私たち、上の立場に立つ人間はもちろん完璧であればいいのにとは思いますが、実際には完璧は求めていません。そんなのは無理です。ただ、仕事に対して誠実であって欲しい。一言で言えば、「向上心を持つ事」なんですけど、そんな堅苦しいことは言いません。深く考える必要もないです。でも、辞めて欲しいとか思われるような仕事をしないで頂きたい。

 

なんだか、異常なくらい説教っぽくなってしまいましたが、Aさんにはほとほと困ってます。実際Aさん以外に辞めて欲しいと思う人はおらず、つまりそれくらい酷いんです。「言われたとおりには仕事する」って上では表現しましたが、Aさんはちょっとでも基本以上のことを指示するようなものなら、とたんに「なんでそんなことしなきゃならないの?」って文句ブーたれるんですよ。ほんと、人手が足りてたら辞めさせたい!・・・はぁ(溜息)。

え?ホテルが南京事件で揉めるって何事?

www.itmedia.co.jp

 

取引先の偉いさんが「あのホテルはダメだ、委託業務なんてやるべきじゃ無い」と、何年か前に私にそう語った記憶がある。どういう理由でダメだったのかまでは覚えてないが、アパとは別の有名ビジネスホテルチェーンの方が遥かにマシだ、とは仰っておられた。多分、安さで売ってるようなビジネスホテルってのは外注委託料金がかなり安いことが多いので、そう言った話なのだと思う。

 

アパホテルって、あのド派手なTVなどのメディアにもよく登場する社長が有名なのだけど、まさか、南京大虐殺論争を蒸し返す事態を引き起こし、もしかすっとある種の国際問題になりかねない(既に在中日本大使館に抗議すべきなどと中国では言われているみたいだし)事態になろうとか、想像の斜め上すぎにも程がある。

 

で、これ、多分、アパホテルって日本全国に6〜7万室持ってるそうだから、全客室に本を置くようにすれば、6〜7万部*1は確実に売れたことにすることができる!って考えたからなんじゃ無いかと邪推するw 自腹切ることにはなるが、社長夫婦なんてそもそもお金持ちなんだからどうってことない額だし、ベストセラーってことにしとけばもっと売れるって読みもあったりしたのかも。あるいは単にベストセラー作家って箔づけが欲しかっただけなのかもしれないw

 

しかし、中国人観光客もかなりの比率で宿泊するであろうアパホテルの客室に南京事件否定本置くとか、自殺とは言わないが、自傷行為に等しいとしか思えない。これで確実に中国人観光客の一定割合について稼働率を落とすことになったわけだからね。中国にもアパホテルあるそうだけど営業できなくなるんじゃないだろうか。ともあれ、損失は結構なものになりそうである。(しかし、かなり前から置いてあったらしく、今までよく問題にならなかったなと思う。英語はあったけど中国語がなかったからかな?)

 

さて、南京事件というと、実は私も過去にど素人レベルではあるがかなり詳細に調べ上げて、ネットで議論してた経験がある。歴史には疎いので日中戦争の細かい話はあんまり知識ないのだけど、その書かれていたという内容は相当酷い。

 

www.apa.co.jp

 

例えば、

中国は日本軍が南京で三十万人を虐殺したと主張しているが、そもそも当時の南京市の人口は二十万人であり、三十万人を虐殺し、その一ヶ月後には人口が二十五万人に増えていたなどあり得ない

だなんて、一体これ、何十年前の議論なんだ? というくらいだ。例えば以下のページを読んでほしい。

二十万都市で三十万虐殺?

南京の人口は増えたか

この手のネット議論では超有名なゆうさんという人のページだが、このサイト自体が今ではもうあまり見られない古さを感じさせる(失礼)ことからもわかるように、ネットでも何年も前に詳細に論駁を受けている。南京事件に関する人口議論は、結構色々な資料を突き合わせて調べないとなかなか分かりにくいんだけど、要はこの否定論自身に都合のいいような数値を持ってきてあたかも「そんなわけないじゃないか」と思わせたいだけなのである。

 

このブログは南京事件を議論する目的はないので、これ以上は述べないけど、他もあまりに幼稚で酷い内容である。こんな内容の本を、中国人観光客も多く利用するホテルの客室に置くとか、頭おかしいと言わざるを得ない。

 

で、「撤去するつもりはない」って? やっぱあの辺の人たちって、どうしようもないね。現場で働いてる人たちに同情するしかないです。そりゃ、言論・思想は自由だけど、南京事件とか過去に何回外交問題になったと思ってんの? それくらいナーバスな問題なのにね。

 

 

*1:間違ってました。実際には3万室くらいだそうです。そう書いてあった記事はど忘れしてしまったのでリンクは示せません。すみません

ホテルの偉い人とお話しする機会があった。

今回は短い記事です。

 

われわれ雇われ業界の現場清掃人間が普段接するホテル側の人って、せいぜい支配人クラスどまりである。その上の、例えばホテルチェーンの元締め会社の人とか、オーナー会社の人などと接する機会はほとんどないに等しいし、話する機会など皆無である。所詮は下っ端、こき使われる最下層貧民・・貧民は余計か(笑)、ともかくそういうカースト制度なので当然だ。

 

が、この前、わけは話せないが、ホテルの偉い人とテーブル挟んで小一時間ほどお話しする機会があった。流石によく知ってらっしゃる方で、フロントに日々厳しく言われて、人手不足もあって大変だろうというような話をされた時には涙が滴り落ちた(話はホントだが涙なんて真っ赤な嘘w)。直接その人の下で働いているわけではなく、所属する会社は別だけども、ああ、こういう人の下で働いてたんだなぁと思ったら、いいホテルで働いてたんだなぁなんて思ったりもした。すごくこちらに対して気を使っていただいて非常にあり難い気分にさせられた。

 

「じゃぁもっとお金下さい」だなんてもちろん言えなかったわけだが、業界のことは良くご存知で、非常に安い金額で引き受けていることに対しての御理解があった。その偉い人の一存で委託金額が上げられるわけではないのが現実なんだろうし、それは仕方ないと理解しているが、相手は決して鬼・悪魔ではなかったのが分かったのが何よりの収穫だった。

 

特に、中国人やフィリピン人などの外国人を雇わざるを得ない現実をよく理解されていて、日本人が理想だけどそれは無理だろう、というような話を色々された。で、外国人を雇うことによる様々なリスクなども非常によく理解されておられた、というか私などよりもずっと知識・経験が豊富なようであったので、非常に勉強になった。

 

別にこの話、何か特にオチがあるわけではないが、なんつーか、やっぱ人って、人格みたいなところが一番大切な部分なのかもしれない。私など全然褒められた人格じゃないと常々自分で思ってるけど、他人からそう思われてみたいなぁと思ったり。偉くなれれば、だけどねw

 

 

これからのホテル客室清掃とは。

いつものとおり間が空いてしまったこのブログだけど今回は人手不足が主因である。出来る限り現場を理由としての退職はないように、必要以上に厳しくしないとか、コミュニケーションとるとか、要望は出来る限り聞くとか、様々な努力はしているが、現場が理由ではない事情で辞める人も当然いるわけで、その分の不足を新人雇用により補えないと、結局のところ責任者である私がどうしても補わざるを得なくなる。

 

出来る限り食べるようにはしているのだが、それでも2ヶ月で3~4キロ痩せた。元々の体重だって少ないのに、ホテル責任者の仕事の多忙さでそこから痩せていたところにさらに痩せてしまった。それでも、過労だけは避けたいと、メリハリをつけて仕事をするようにしてるので、今のところ体力面での問題はないわけだが、ブログを書くような余力はなかったというのが本音である。

 

人手不足を解消するには、つまるところ金しかなかろう。実際にメイド作業をやってみるとあまりに時間がなさ過ぎる。こんな短時間で不備なく綺麗に仕上げないといけないとか、冗談にも程がある。だが金を稼ぐには、部屋数をこなさざるを得ないのが現実。そういう金銭的事情もあって、私はスタッフに必要以上にきつく言わない事にしている。そのクォリティに見合った賃金が払えないからだ。

 

私のいるホテルがどこだかは特定されたくはないのであまり詳しくは書けないが、メイドさんの給料を考慮に入れると、多分、地域ではトップクラスのクオリティであることに疑いの余地はほとんどない。ほんとに良く頑張ってもらっていると思う。毎日のように多目の部屋数をこなしてもらわないといけないので、メイドさんにはほんとに頭が上らない。正直言って、良くこんな安い賃金で働くなぁといつも思っているが、働いてもらえるのは賃金だけではないからだと自分なりに労働環境を良くしようとがんばってみたりはしているのだけど、、、、。

 

前にも書いたけど、客室清掃単価が安いのは、引き受ける業者が安値で叩きあったからに他ならない。経営者同士が、あそこは一室いくらでやってるとかそういう情報を真に受けて、値引き合戦をやった結果がこれである。それが結局業者自身の首を絞めて、その末端で働くメイドさんたちスタッフを苦しめている。うちのホテルなどはあまりに安すぎて他業者からもその値段では出来ないといわれている。安値で引き受けてくれるうちのような会社を見つけたホテル側だけがほくそえむこの構図。仕事がないと食っていけない、自ら仕事を発生させる事がほぼ不可能なビルメンテナンス・清掃業界の足元を見られたのである。業者同士に競争させればコストを下げられる、と。

 

で、タイトルの話になるわけだが、もちろん今後、最低時給を上げるなどの政府の政策もあって、これ以上に下がる事はなく、徐々に賃金は上っていくだろうことは間違いない。メイドなんかは成り手が少ないから、賃金(やその他の待遇面)でつり上げていくしか道はない。政府だって外国人観光客をどんどん伸ばそうとしているし、引く手あまたの売り手市場になる筈だ。だから、客室清掃メイドって言う仕事は今後は絶対食いっぱぐれはないよ、・・・と宣伝したいところなのだけども、求人募集広告を見てるとそれでもなお業者間が様子見していると言うか、劇的に上ってる様子は伺えないのが何とも言えないところと言うか、やっぱ業者って弱いんだなぁと思ってしまった。

 

ならば、いっそ客室清掃の現場で働くメイドさんたちが協力して労働組合でも作ったらどうかと思う。もちろん現状ではそんなの夢物語だけど、メイドさんが働いてくれなかったら困るのは業者でありホテルなわけであって、仕事を出す側よりも仕事をする側のほうが現状ですらも力関係としては上に十分なれる気がする。一致団結してストライキなんかされたらホテル・業者はたまったもんじゃないと思うんだけど。

 

お前が音頭取れ、と言われても困るけどね。

ホテル客室清掃業務の料金見積方法。

って、実際に私が関わった事はないし、もちろん見積もりもした事はない。教えてもらったこともなければ、見積資料も見たこともない。今のホテルについては客室単価等は知ってるし、毎月の請求金額なども知り得る立場にはあるが、特に詳しく計算したことはない。

 

でも、たぶんあんまり複雑じゃないと思うので、ちょっと仮定を立てて、見積計算をしてみよう。やり方は色々あると思うので、一例と言う程度に思ってくれれば幸い。このモデルが適用困難なホテルもあるとは思うが、ともかくやってみよう。

 

  • 客室数は200室。常に満室状態で稼動するものと仮定する。
  • メイドさんには時給で支払う。労働時間は平均で5時間(ここでは労働時間は関係ない)。
  • 一室清掃時間は一人当たり平均で30分とする。客室清掃外作業も含めると考える。
  • 時給は1,000円とする。その他の福利厚生費・交通費等は一切考慮しない。

 

先ずこの条件で、清掃作業分のみ、要するに単純に清掃だけをしてチェッカーとか責任者とかその他の経費を含まない状態で人件費計算してみよう。

 

先ず、1室30分だから、毎日200室清掃するのであれば、1日あたり必要な作業累計時間は以下のとおりとなる。

 

200室×30分=6,000分=100時間

 

なので、時給で積算すると、

 

100時間×1,000円=10万円

 

となる。これが一ヶ月を30日とすれば、一ヶ月の客室清掃人件費は300万となるわけだ。

 

ここに、チェッカー人件費であるとか責任者人件費、清掃資機材等の現場経費部分、他交通費であるとか、募集に掛かる広告費、あるいは会社の粗利益部分となる一般経費など、様々な経費を漏れなく足していけばよいだけだからそんなに複雑ではない。で、以上の計算で肝心要となるのは、清掃時間であることがわかるだろう。たとえば30分が40分になったりすると、時給が変わらなければ一ヶ月当たり約90万も増加する。

 

ではどうやって客室清掃時間を見積もればよいのか。契約する前に見積もる場合がほとんどだと思うが、これは色々だと思う。ベテランの社員がいて図面等の資料を一瞥するだけで分かる場合もあるだろうし、社内的に参考資料を持ってる場合もあれば、既に入ってる業者などから聞くとか、ホテルサイドからデータが出てくるとか様々だと思う。何れにしても、清掃時間が分からないと見積もりは困難だろう。

 

ともかくも、そうやって積算した総額を総清掃部屋数で割って契約上の客室単価を出す、と言うのが一般的なやり方だと思われる。予断になるが、ホテルサイドの人が客室単価=人件費みたいに言ってたのを耳にした事がありビックリした事がある。馬鹿野郎、1室単価とはその名のとおり、1室清掃するのにいくら掛かっているか、と言う意味であり、それがその他の費用を含むことなど常識だろう。

 

今回なぜこんな話を書いてるかというと、どうもうちの会社、驚いた事に見積もりそのものをしてないらしい事が朧気に分かってきたからだ。簡単に経緯を説明すると、色々と噂レベルの話を総合しての推測だが、前にやってた会社の契約金額からちょっと客室単価をちょっと値引いた、だけで契約したらしいのである。マジだとするとかなりがっくりする話だ。何にいくら掛かるかまるで知らん、と言われてもおかしくないレベルw

 

もっとも、そもそも真面目に積算しても最初から利益どころか赤字必至だと分かっていたのは事実で、それでも契約したのは経営者なりの考えがあってのことだろうとは思う。でもさ、上で書いたようにこれ、そんなに難しい計算なんか何処にもないぞ。見積するだけで大変な作業量になる仕事、ってなら話は分かるけど、どう考えたって半日掛からずに、あるいはもう1時間も掛からずに電卓あれば誰にでも簡単に計算できるレベルだと思うんだが。稼働率とか最低保証稼動率(※要するに稼動が低くても金額上は下限を設けてその金額だけは保証しますよって事。大抵のホテル客室清掃委託業務には設定されてるらしい)のところが多少ややこしいが、それだって平均値で仮定すれば良いだけの話、何も難しいことはない。

 

ともあれ、見積をやってないと言う推測が当たっていると考えられるフシはあり、トータルで赤字だとは言うくせに、細かい部分での検討は一切ないのである。まー、人手不足で人件費の高い社員応援は入りまくってるから、何とかして人入れて応援減らすくらいしか今は手はないと分かってるんだけどね。でも、以前に書いたけど給与計算のために結構手間隙掛けてシステム作って、そこそこ細かいデータは全て記録してあるんだから、それ使って分析とかすりゃぁいいのにと思う。例えばエクストラベッドが月平均何台出てて、いくら掛かっててって計算して、契約交渉に使うとかさー。なんか出来るだろ。

 

でもうちの会社そんなの「こまけぇこたぁいいんだよ」って風で全然やる気配もなしなのw やっぱ会社辞めよかなー(笑)